「挑戦する組織をつくりたい」と語る企業は増えています。しかし現場に目を向けると、失敗への不安から挑戦を控える社員も少なくありません。組織風土改革が進まない背景には、意識や姿勢の問題だけでなく、経営や評価の仕組みが深く関係しています。
変化の激しい時代において、企業が成長を続けるためには。社員一人ひとりの行動をどう支援するのか、その設計こそが、いま改めて問われています。
組織風土改革が経営課題になる時代──なぜ企業はいま「チャレンジできる組織」を求めるのか
「この街では失敗が許される」──。
Toyota Woven CityのCMで語られたこの一言は、多くのビジネスパーソンの心に残ったのではないでしょうか。多くのビジネスパーソンが望みながら、現実には存在しないだろうと思われる環境。
近年、企業を取り巻く環境は急速に変化しています。市場の正解はすぐに更新され、過去の成功がそのまま通用するとは限りません。こうした状況で求められているのは、完璧な計画よりも、まず行動し、試し、学ぶ力です。その土台となるのが、組織風土改革です。
多くの企業が「社員には挑戦してほしい」と語ります。しかし現場に目を向けると、失敗すれば評価が下がる、前例がなければ動きづらい──そんな空気が残っているケースも少なくありません。その結果、社員は無意識のうちに挑戦を控え、組織全体が静かに硬直していきます。
最近の取材では、「挑戦しないことこそが、いま最も大きな経営リスクだ」という声をよく耳にします。安定を重視するあまり変化を避ければ、気づかないうちに競争力を失ってしまう。だからこそ、組織風土改革は人事の話ではなく、企業の未来を左右する経営テーマになっているのです。
社員が安心して行動できる環境をどう支援するのか。 失敗を恐れずに一歩踏み出せる組織をどう設計するのか。 いま、多くの企業がその問いに真正面から向き合い始めているのではないでしょうか。
組織風土改革は「挑戦か、安定か」という問いを疑うことから始まる
挑戦に対して抵抗を感じる組織の上部が恐れるのは、それが「安定」から離れることになるのではないでしょうか。多くの人は、安定が崩されるのに大きな抵抗を感じるでしょう。
しかし、以前取材した組織開発を研究する教授は、この考え方そのものに違和感を示していました。
「挑戦か、安定か、という二択で考えてしまうと、かえって思考が硬直します。企業には、そのどちらもが必要なのです」
一見すると正反対に見えるこの二つですが、実際には深く結びついています。安定しているからこそ社員は安心して挑戦できますし、挑戦を重ねることで、企業は次の安定を築くことができます。どちらかを切り捨てるのではなく、両方をどう成立させるか。その視点こそが、組織風土改革の出発点になります。
この関係を説明する例として、教授が挙げていたのが「バンジージャンプ」です。高い場所から飛び降りる行為は、まさに挑戦の象徴です。ただし、人が実際に飛ぶためには、丈夫なゴム、つまり命綱が欠かせません。命綱があるからこそ、人は安心して一歩を踏み出せるのです。
さらにもう一つ、挑戦には欠かせない要素があります。それは「誰かが見てくれている」という感覚です。失敗しても見捨てられない、きちんと向き合ってもらえる。こうした支援の存在があるからこそ、人は自分から行動を起こせます。
ここで誤解されがちなのが「心理的安全性」という言葉です。居心地の良さや仲の良さと混同されることもありますが、本質はそこではありません。ハーバード大学の エイミー・エドモンドソン は、「Fail Well(うまく失敗できる)」という考え方を提示しています。失敗しても評価から外されず、干されない。そんな安心感があるからこそ、社員は自分の意思で挑戦できるのです。
チャレンジできる組織とは、社員一人ひとりに勇気を求める組織ではありません。失敗しても壊れない構造を整え、挑戦と安定を同時に支える組織です。そこにこそ、これからの企業が目指すべき組織風土改革の姿があります。
フリーランス活用が「挑戦」を現実の行動に変える理由
ここまで見てきたように、チャレンジできる組織をつくるには、失敗しても壊れない構造が欠かせません。とはいえ、いきなり社内だけでその構造を整えるのが容易でないのも事実。そこで一つの現実的な選択肢として注目されているのが、フリーランスの活用です。
実務の現場では、フリーランスが仮説設計の段階から関わり、プロジェクトを前に進める推進力として機能するケースが多く見られます。社内の前提や慣習に縛られていない外部人材だからこそ、別の視点や進め方を持ち込み、挑戦のスピードを引き上げることができるのです。
この点は、組織風土の観点でも重要です。社員だけで構成されたプロジェクトでは、「失敗したらどうなるか」「前例がない」といった空気が、無意識のブレーキになることがあります。一方、外部のフリーランスが入ることで、プロジェクトそのものが「試しながら進めるもの」という前提に切り替わりやすくなるのです。挑戦が個人の覚悟ではなく、仕事の進め方として扱われるようになるでしょう。
また、フリーランス活用では、期間や役割があらかじめ区切られているケースが多く、続けるか撤退するかを判断する場面が必ず訪れます。だからこそ、結果を振り返り、「何が分かったのか」を言葉にすることが欠かせません。このプロセスを重ねることで、挑戦は個人の勇気ではなく、組織の仕事として定着していくはずです。
フリーランス活用は、人手不足を補うための手段ではありません。不確実な領域において、失敗を結果ではなく検証として扱う仕事の型を、組織に持ち込む方法です。その型が積み重なったとき、失敗を前提とした挑戦は、特別なものではなく、企業の日常的な行動へと変わっていくでしょう。
挑戦を支えるために、外部の力という選択肢を
変化の激しい時代において、すべてを社内で完結させようとすると、組織や事業は次第に硬直していきます。だからこそ今、多くの企業が外部の力を前提に、柔軟な体制づくりへと舵を切り始めています。
テックビズは、そうした企業の挑戦を支援するフリーランス活用サービスです。単なるリソース補填ではなく、企業の課題や事業フェーズに合わせて、必要な専門性を必要なタイミングで取り入れることを重視しています。継続稼働率97%という実績は、スキルだけでなく、事業やチームとの相性まで考慮したマッチングを積み重ねてきた結果です。
事業戦略や組織設計の段階から、外部の知見をどう活かすか。その選択肢として、テックビズは企業の挑戦に寄り添い続けています。
【編集後記】失敗を語れる職場が、成長を止めない理由
以前、とある成長スタートアップの採用記事を制作する中で、若手社員による対談企画を行ったことがあります。テーマの一つが、「挑戦しやすい環境とは何か」でした。
そのとき印象的だったのは、参加したメンバー全員が「失敗して怒られた記憶がない」と口をそろえたことです。失敗して不安になったときも、上司との会話は「なぜ失敗したのか」を一緒に言語化する場だったそうです。原因を整理し、次にどう活かすかを考えることはあっても、失敗そのものを責められることはなかったといいます。
さらに興味深かったのは、20代後半のメンバーが上司から「最近、失敗してないよね」と声をかけられたという話でした。仕事に慣れて安定してきたからこそ、もっと挑戦してほしい、もっと失敗してほしい。その言葉には、成長を止めないための明確な意図がありました。
その会社で特に印象的だったのは、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の浸透度です。社員の誰に話を聞いても、MVVに紐づいた具体的なエピソードが自然と出てきました。掲げているだけの言葉ではなく、日々の意思決定や行動と結びついた言葉として、確かに使われていたのです。
その背景には、経営陣だけでなく、社員一人ひとりが普段の業務の会話の中でMVVを口にしている文化がありました。会議や振り返りの場で、「それってMVV的にどうなんだっけ」と自然に言葉が出てくる。だからこそ、挑戦や失敗も、個人の問題ではなく、組織としての学びに変換されていきます。
組織風土改革を一過性の取り組みにしないためには、スローガンを掲げるだけでは不十分です。大切なのは、それが日常の言葉として使われているかどうか。挑戦や失敗をどう捉えるかという価値観もまた、日々の会話の中で育っていくものなのだと、あらためて感じさせられました。
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