近年、労働環境の変化に伴い会社に所属することなくフリーランスで自由に働きたいと考えている方も増えてきています。 IT関連の仕事においては人材不足の影響もあり、フリーランスに対する需要は高まってきているため、フリーランスを目指すのであればチャンスは大きいでしょう。
フリーランスエンジニアを目指す方の中には、自社開発のエンジニアになりたいと考える方もいるのではないでしょうか。ただ、自社開発のメリットや必要なスキルを具体的にイメージできていない方も多いでしょう。
そこで、今回は「エンジニアの働き方の種類と向いているタイプ」から「自社開発の特徴」「自社開発エンジニアのメリット/デメリット」「自社開発エンジニアになる方法」など自社開発エンジニアのメリットについて解説していきます。
自社開発エンジニアとして働きたいけれど知識不足で不安だと感じている方はこの記事を最後まで読んで、ぜひ参考にしてください。
・自社開発とは?
・エンジニアの働き方の種類と向いているタイプ
・自社開発の特徴
・自社開発エンジニアのメリット
・自社開発のエンジニアのデメリット
・自社開発エンジニアに求められる4つのスキル
・自社開発エンジニアになる方法
自社開発とは
自社開発とは、企業が自らの手でシステムやアプリなどを開発することを指します。つまり、外部の開発会社やベンダーなどに発注せずに、自社内で開発を行うことです。自社サービス、自社製品の開発を指すケースもあれば、自社内での開発を幅広く自社開発と表現するケースもあります。
自社開発を行うことで、企業は開発費用を抑えつつ、自社のビジネスや業務に合わせたシステムを開発することができます。一方で、自社開発には開発コストや時間がかかるというデメリットもあります。近年ではアジャイル開発やDevOpsなど、より迅速かつ効率的な開発手法が注目されており自社開発にも導入されることが増えています。
エンジニアの働き方の種類と向いている人
そもそも、エンジニアの働き方には、大きく自社開発、SIer、SESの3種類があります。ここでは、それぞれの働き方と向いている人について解説します。自身がどの働き方が適しているか考えてみてください。
自社開発
自社開発は、企業のIT部門や開発部門に所属し、自社のシステムやアプリの開発専任のエンジニアとして働くことになります。同じシステムやアプリに関わる続けることになるため、飽きずに1つのシステムやアプリの開発を続けられる人が向いているでしょう。
また、チーム内でのコミュニケーションや開発部門外との調整も発生するため、コミュニケーション能力に長けている人は向いているといえます。自社のシステムやアプリの開発に携われるため、自社のビジネスに強い興味を持っている方もやりがいを持って働くことができるでしょう。
SIer(受託開発)
SIerは、System Integration(システムインテグレーション)の略称で、企業が外部のシステム開発会社やベンダーにシステム開発を委託することを指します。外部の開発会社やベンダーは、受託開発としてシステム開発や運用保守を行います。したがって、SIerのエンジニアは複数のクライアントからの受託開発を行うことが多いため、多様な案件に携わりたい人はSIerエンジニアに向いているといえるでしょう。
様々な案件に携わることで様々な開発手法に触れることもできるため、スキルアップをしたい方、業務の幅を広げたい方にもおすすめです。
SES(客先常駐)
SESは、System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)の略称で、顧客先に技術サービスを提供する会社を指します。したがって、SESのエンジニアはクライアント先のオフィスに常駐し、クライアント先での開発や保守業務を行うことになるため、クライアントと直接やりとりをすることに抵抗がない人に向いているといえるでしょう。
また、案件が頻繁に変わる可能性も高いため、新たな案件にすぐに馴染んでいける適応力やコミュニケーション能力がある方にも向いています。
自社開発の特徴
エンジニアの働き方の中では自社開発エンジニアを目指したい方も多くいるでしょう。それでは、具体的に自社開発にはどのような特徴があるのでしょうか。SIerの違いとSESの違いに分けて詳しく説明します。
自社開発とSIer(受託開発)の違い
必要な技術
自社開発では、企業内で開発チームを組んで自社のビジネスに合わせたシステムを開発するため、ビジネスに関する知識やその企業独自の技術を必要とします。一方SIerでは、クライアントからの受託開発が主な仕事であるため、開発に関する幅広い技術や高い専門スキルを必要とします。
スケジュールの組み方
自社開発では、企業の事業計画に合わせて開発スケジュールを組むため、開発期間は長期に渡ることが多いでしょう。一方SIerでは、クライアントからの受託案件に応じて開発スケジュールを組みます。クライアントの要望やスケジュールに合わせて素早く開発を行う必要があるため、開発期間は比較的短くなります。
裁量の大きさ
自社開発では、企業の方針に従って開発を進めるため、開発チームの裁量は比較的大きく自由度が高いです。一方SIerでは、クライアントの要望に合わせた開発を行うため、クライアントの意見に従う必要があります。クライアントによっては、要件の変更や開発スケジュールの短縮を求められることがありますが、開発チームの裁量は小さいため、従わざるをえないケースもあるでしょう。
安定感
自社開発は企業のビジネスに直接関わるため、企業の業績や経営方針によって開発の方向性が大きく変化します。時には開発をストップするようなケースも出てくるでしょう。一方SIerは、クライアントからの受託案件に応じた開発を行うため、受託案件が決まり開発がスタートすれば、比較的安定して開発が進んでいくでしょう。
売上発生のタイミング
自社開発は、自社のビジネスに直接関わるため、システム開発が完了してリリースされた後に売上が発生します。一方SIerは、受託案件に応じて開発を行うため、受託開発が完了した時点でクライアントから受け取る報酬によって売上が発生します。そのため、自社開発の場合は売上予測をつけることが困難なことも多いですが、SIerは受託案件が決まった時点で売上予測をつけることができるでしょう。
自社開発とSES(客先常駐)の違い
人間関係
自社開発は、1つのプロジェクトに複数の人が携わりチームで協力して開発を進めるため、チームのメンバー同士の関係性が大切でありお互いに協力し合いながら開発を進める必要があります。一方SESでは、常駐先での人間関係が重要となります。常駐先での社員としての立場を理解し、クライアントとの程よい距離感を保った上での信頼関係を築くことが求められます。
残業量
自社開発では、自社内での開発ということもありプロジェクトの進捗状況やスケジュールに応じてある程度自由に残業量を調整することができます。一方SESでは、常駐先の企業との契約に基づいて働くため、残業が発生した場合でも所属企業の方針や業務の都合に合わせて対応する必要があります。
スキルの幅
自社開発では、プロジェクトごとに必要な技術やスキルが異なるため、幅広いスキルが求められます。また、自社の開発プロセスや技術を習得する機会も多くスキルアップが期待できます。一方SESでは、常駐先での業務内容に応じた技術やスキルを求められるため、その業務に特化したスキルを身につけることが求められます。
昇給のタイミング
自社開発では、昇給のタイミングは自社の規定に従って決定されます。また、評価者と共に働くケースが多いため、成果を残すことができればほぼ確実に昇給につなげることができるでしょう。一方SESでは、クライアントとの契約に基づいて昇給のタイミングが決まります。クライアントごとに契約期間は異なるため、どれだけ成果を残しても昇給が自社開発よりも遅れてしまうことがあるでしょう。
開発場所
自社開発は開発環境が整備された自社オフィスや研究所での作業がメインとなります。一方SESでは、常駐先の企業での業務が中心であり、開発環境がどれだけ整備されているかは常駐先の企業次第となるでしょう。また、リモートワークの有無も常駐先の方針に沿って決定されることになり、コントロールすることは不可能といえるでしょう。
自社開発エンジニアのメリット
ここからは、自社開発エンジニアのメリットを紹介していきます。
スケジュールの融通がききやすい
裁量が大きい
システムに永続的に携われる
安定した環境が用意されている
特定のスキルのプロになれる
スケジュールの融通がききやすい
自社開発エンジニアは、自社内での開発が中心となるため、比較的自由にスケジュールを調整できます。短期的なプロジェクトに縛られることなく長期的な視点で仕事に取り組むことができるので、残業量を調整できたり、有給が取りやすかったりと、仕事とプライベートの両立もしやすくなるでしょう。
裁量が大きい
自社開発エンジニアは、企画段階からプロジェクトに携わることができるため、自分でアイデアを出してチームの合意さえとれれば、やりたいようにシステムを構築することができます。また、開発の進め方や開発ツールの選定、設計などにも携わることができ、自分の開発しやすい環境を整えることができるでしょう。
システムに永続的に携われる
自社開発エンジニアは、自社の開発がストップしない限り、自社のシステムに永続的に携わることができます。開発だけでなく、運用や保守などの開発の全ての工程に関わることができるため、システム全体を把握して深い知識を習得することができます。
安定した環境が用意されている
自社開発エンジニアは、自社オフィスでの開発となるため開発に集中できる安定した環境が用意されています。また、同じメンバーと働き続けることになるため、コミュニケーションも取りやすいでしょう。福利厚生なども整っていることが多いため、長期に渡って働きやすい環境です。
特定のスキルのプロになれる
自社開発エンジニアは特定のシステムに関わることが多いため、そのシステムに特化したスキルを磨くことができます。また、自社内での開発のためにその分野のスキルを学び続ける必要があるため、特定の分野においてはプロになることができるでしょう。
自社開発のエンジニアのデメリット
自社開発エンジニアにはデメリットも紹介します。ここでは下記の6つのデメリットを説明します。
スキルの幅を広げにくい
外部エンジニアとの接点を持ちにくい
入社の難易度が高い
常にスキルアップが求められる
企業による環境の差が大きい
利益が出なかった場合、会社に大きなマイナス影響がある
スキルの幅を広げにくい
自社開発エンジニアは1つのプロジェクトに専念するため、プロジェクト内で必要な技術やスキルに特化していることが多く、幅広いスキルを身に付けることができない場合があります。また、プロジェクトが長期化することもあるため、最新の技術のキャッチアップが遅れてしまうこともあります。
外部エンジニアとの接点を持ちにくい
自社開発エンジニアは、企業内での仕事がメインのため、外部エンジニアとの接点を持ちにくくなるでしょう。それにより、業界の最新の動向や最新技術などを知ることができない場合があります。また、もし転職やフリーランスへの挑戦を視野にいれている場合には、エンジニア同士の繋がりを通じた案件獲得が難しくなるでしょう。
入社の難易度が高い
自社開発エンジニアは企業にとって重要な存在であるため、一般的に採用のハードルが高いとされています。また、常に募集がかかっているわけではない上に人気がある職種のため、倍率も高くなるでしょう
常にスキルアップが求められる
自社開発エンジニアは、1つのプロジェクトに長期間にわたって携わるため、常にスキルアップが求められます。また、技術の最新の情報についていくために自主的に勉強する必要があるでしょう。時には、業務時間外で勉強時間を確保することが必要になってきます。
企業による環境の差が大きい
自社開発エンジニアの働く環境は、企業によって大きな差が出る傾向があります。そのため、一緒に働くメンバーや勤務環境、会社の方向性などが、自分にマッチした企業を選ぶことが大切といえるでしょう。
利益が出なかった場合、会社に大きなマイナス影響がある
自社開発エンジニアとして開発したサービスがもし仮にヒットしなかった場合、会社にとって大きなマイナス影響があります。新規のサービス開発のみに頼っている会社だとリスクがあるため、すでに自社サービス・製品できちんと売上を上げている会社や、複数のサービス・製品を取り扱っているような会社を選ぶと安心でしょう。
自社開発エンジニアに求められる4つのスキル
ここからは、自社開発エンジニアに求められる4つのスキルについて説明します。自社開発エンジニアになりたい方はぜひチェックしてみてください。
高いIT技術スキル
まず求められるのが、高いIT技術スキルです。システム設計やアルゴリズム設計などの開発の基本的なスキルや開発言語やフレームワークなどの技術知識はもちろん、セキュリティ対策やパフォーマンス最適化など、システム全体を見渡すことができる総合的な技術力も必要とされるでしょう。
ユーザーのニーズを分析するスキル
自社開発エンジニアには、ユーザーのニーズを正確に把握し、システムに反映するスキルも求められます。そのため、ユーザーのビジネスモデルや市場環境を理解するスキル、ユーザーの声を聞き出すコミュニケーションスキルや、分析スキル、さらにシステムに反映させるための要件定義や設計などの上流工程でのスキルが必要となります。
スピード感を持って対応するスキル
自社開発エンジニアには、スピード感を持って業務に取り組むスキルが求められます。自社開発の場合、リリースしてからがようやく売上発生のスタートとなります。クオリティの高いサービスをいかにスピード感を持ってリリースまで到達させ、いかに早く売上を作れるかが自社開発エンジニアとしての腕の見せ所です。
エンジニア以外とのコミュニケーションスキル
自社開発エンジニアは、エンジニア以外の社員と関わることも多いため、高いコミュニケーションスキルが求められます。マネジメント層やビジネスチームといった開発の知識がない社員に開発について伝えることは容易ではありません。高いプレゼンテーションスキルやマネジメントスキルなどが必要になるでしょう。
自社開発エンジニアになる方法
ここからは、具体的に自社開発エンジニアになる方法について説明します。
スキルを高める
自社開発エンジニアを目指すのであれば、スキルを高めることが何よりも重要です。また、ITの技術は進化のスピードが早いため、一度身につけたらそれで終わりではなく常に新しい技術を学び続ける必要があります。
AIやビッグデータ、セキュリティなどこれからのIT業界において欠かせない分野のスキルを高めておくと、多くの企業から引く手数多なエンジニアとなれるでしょう。
SNSを利用する
TwitterやGitHubなどのSNSで開発に関する情報を発信している人をフォローすることで、他のエンジニアとの情報共有や交流をすることができるでしょう。また、自分が開発したプログラムを公開すると、他のエンジニアからの評価を得ることができ、もし興味をもった方がいた場合にはSNS経由で交流をすることも可能です。
自分の開発したプログラムと共に自社開発エンジニアになりたい旨をアピールすれば、すでに自社開発エンジニアとして活躍している方から声をかけてもらえる可能性があるでしょう。
エージェントに相談してみる
ある程度、スキルと経験がついてきたのであれば、エージェントに相談して自社開発エンジニアへの就職を目指すのもおすすめです。
自社開発をおこなっている会社は非常に多く、個人では収集できる情報に限界があるため、エージェントに希望条件を伝えることでマッチする企業を効率よく見つけることができます。また、もし自社開発エンジニアとして十分なスキルがなかったとしても、その事実を教えてもらうことができるというメリットがあります。
自社開発エンジニアへの就職を検討しているのであれば、一度エージェントに相談してみることをおすすめします。
まとめ
このページでは、「エンジニアの働き方の種類と向いているタイプ」から「自社開発の特徴」「自社開発エンジニアのメリット/デメリット」「自社開発エンジニアになる方法」など自社開発エンジニアのメリットについて解説しました。
全ての方が自社開発エンジニアに向いているわけではないため、それぞれの違いを踏まえて、自分のスキルやキャリアプラン、働き方に合った選択をすることが大切です。
このページの情報を参考に自分にあった働き方を見つけ、エンジニアとしてのキャリアを充実させていきましょう!
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