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フリーランスにとってのふるさと納税:外国人フリーランスが調べてみた

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フリーランスとして働き始めてから、税金との距離が急に近くなったと感じています。
会社員の頃は、税金は給与明細の中で静かに処理され、自分が能動的に選ぶ余地などほとんどありませんでした。

しかし独立すると、税金は“毎日のキャッシュフローに直接効いてくる数字”になります。
そのタイミングで知った制度が、ふるさと納税でした。

似たような制度が韓国含め海外にもありますが、日本はその中でも特殊な形をしておりました。

この記事では、「ふるさと納税の現実的な使い方 × 海外との制度比較 × 日本の文化的背景」という3つの視点から、フリーランスにとってのふるさと納税を整理していきます。

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そもそも、ふるさと納税とはどんな制度なのか?(フリーランス目線で整理)

ふるさと納税という言葉は知っていても、実際の仕組みやメリットをきちんと理解している人は意外と多くありません。特にフリーランスの場合、税金との向き合い方が会社員とは大きく異なるため、この制度の“本質的な位置づけ”を理解しておく価値があります。

ここでは、制度の概要から、近年の改定ポイント、フリーランスにとってのメリットまでを簡潔に整理します。

ふるさと納税とは何か?(制度の基本を簡単に)

ふるさと納税は、「自分が応援したい自治体に寄付をすると、その寄付額の一部が税金から控除される制度」です。

国税庁は制度を次のように説明しています。

ふるさと納税は、ご自身の選んだ自治体に対して寄附を行った場合に、寄附額のうち2,000円を超える部分について、所得税および個人住民税からそれぞれ控除が受けられる制度(寄附金控除)

(参考:国税庁 No.1155 ふるさと納税



寄付先は、生まれ故郷に限らず、全国どの自治体でも構いません。
また、多くの自治体では返礼品を受け取れるため、制度が一般に広まった背景のひとつとなりました。

一方で、本質は「寄付と税控除」であり、返礼品はあくまで制度普及のための仕組みに過ぎません。

“税金の使い道を自分で選べる”という点が、ふるさと納税のもっとも特色あるポイントです。

ふるさと納税、2025年には何が変わるのか?(制度改定のポイント)

2025年10月から、ふるさと納税をめぐる大きな変更がありました。

仲介サイトが寄付額に応じて付与していた楽天ポイント・PayPayポイント・Amazonギフト券などの独自ポイント還元が全面禁止されることになったことです。

これまで多くの寄付者は、「どのサイトが一番ポイント還元が高いか?」を基準に寄付先を選ぶケースが多く、制度本来の目的から離れつつあるという議論がありました。

一方で例外もあり、クレジットカードやQRコード決済に伴う通常の決済ポイント(概ね1%前後)は「通常の商取引」として継続可能です。

ポイント制度の廃止は、“表面的なお得さ”を基準にした寄付を抑え、返礼品の価値や自治体の取り組みに重きが戻るきっかけになると言われています。

制度の根幹(寄附金控除の仕組み)は変わりませんが、“寄付先を選ぶ基準”が変わる転換点といえます。

この改定については、複数の専門記事・税務系サイトで報じられています。
本記事では、簡略にポイントだけまとめておきます。

■ 2025年10月からの「ふるさと納税」改定内容を表でまとめてみた

区分

改定内容

補足・影響

ポイント付与の禁止

楽天・PayPay・Amazonギフト券など、寄付額に連動したポイント付与を全面禁止

還元率3〜30%の高還元キャンペーンが消滅

禁止対象の範囲

寄付に伴う経済的利益の提供を広く禁止(第三者提供含む)

返礼品以外の金銭的メリットはすべてNG

例外(継続OK)

クレカ・QR決済の「通常ポイント」は例外として付与可能

一般的な1%前後の通常還元は維持

自治体側の影響

ポイント依存の集客が不可に

返礼品の品質・地域性・ストーリーで勝負する時代へ

仲介サイト側の影響

特別ポイントが使えなくなり、差別化が困難に

UI/UX改善、使途可視化、体験価値など新施策が重要に

寄付者側の変化

「ポイント目当て」の寄付が消え、返礼品重視へシフト

制度が本来の“地域支援”に近づく



フリーランスにとって税金面でどんなメリットがあるのか?

ふるさと納税は、税制上の控除が受けられる点で誰にとってもメリットがありますが、特にフリーランスにとっての利点はより大きくなります。

まず、寄付額から2,000円を除いた金額が、所得税・住民税から控除されます。
控除の仕組み自体は国税庁でも明確に説明されています。

寄附金控除の対象は「寄附金額-2,000円」。所得税の還付および住民税の減額として反映される。

(参考:国税庁 No.1155



また、寄付の上限額(控除枠)は年収・家族構成・所得控除によって変わり、計算方法は各ポータルサイトでも公開されています。

(参考:ふるナビ「寄附金控除の仕組み」

フリーランスの場合、

  • 所得変動が大きい
  • 経費の使い方で課税所得が変わりやすい
  • 税金の支払いが“自分のキャッシュフロー”と直結している

という特徴があるため、控除枠の調整によって負担感を軽減しやすいというメリットがあります。

さらに、返礼品による生活費削減も、固定費を自分で管理するフリーランスには相性が良いと言われています。

フリーランスにとってのふるさと納税は、実はもっと“現実的”な制度

きれいな地方貢献ではなく、キャッシュフロー対策として使われている現実

ふるさと納税というと、「地域を応援する」「地方創生に参加する」といった前向きな言葉が並びますが、フリーランスの現実はもっと率直です。

収入が月ごとに変動し、突然の出費にも備えなければならない働き方では、まず第一に “生活コストをどう安定させるか” が大きなテーマになります。その視点で見ると、ふるさと納税は極めて実用的です。

利用者の多くが選んでいる返礼品は、米・肉・加工食品・ティッシュ・洗剤 といった「生存に直結する生活必需品」が中心です。

これはきれい事ではなく、フリーランスの生活実態に合っていると感じました。


毎月1万円の寄付を数回行えば、届く返礼品だけで数週間分の食費や生活用品が賄えます。

つまり、ふるさと納税は、節税の皮をかぶった“キャッシュフロー改善” として機能しているのです。



日本の制度が特に優れているのは、返礼品に生活必需品がこれほど多い国はほかにない点です。

海外では、寄付をしても返礼品は基本的に存在せず、あくまで慈善として扱われます。

フリーランスは固定費を自分で背負う働き方だからこそ、米20kgが届き、ティッシュが1年分届き、肉や日用品が揃うことの“現実的な価値”を本能的に理解できます。

制度は立派でも、使い方はとても現実的。それが、フリーランスとふるさと納税の実際の関係です。

利用率の高さが示す“生活インフラ化”——日本では18.5%が利用

ふるさと納税が“生活インフラ化している”と言えるのは、制度の利用率とその広がり方があまりにも現実的だからです。

PR TIMESの調査によると、ふるさと納税の利用経験者は日本全体で18.5%
人口で換算すると 1,000万人以上 が寄付を行っている計算になります。

参考:ふるさと納税の都道府県別「利用者数・利用率」と「平均寄附金額」を発表|2025年最新データ

当たり前かもしれませんが、地方より都市部の方が利用率が高かったです。

都市部に人口が多いというのも理由になりますが、都市部の住民は生活コストが高く、地域との結びつきも薄くなりがちだからこそ、返礼品の価値がより直接的に響き、制度を使う必然性が強くなった解釈することもできます。

フリーランスの生活実態とも重なります。自由に働ける一方で、収入の波によって“生活の再現性”が揺らぎやすいです。

米や日用品の返礼品は“ちょっと嬉しい特典”ではなく、生活を安定させるための実質的な手段ではないでしょうか。


これは海外の寄付制度では考えにくい構造です。米が届き、肉が届き、ティッシュが届き、洗剤が届く。慈善ではなく“生活費の最適化”にまで踏み込んでいる制度は、明らかに日本独自です。

キム:補足ですが、最近韓国は日本のふるさと納税をベンチマークし、返礼品を導入し始めました。
所得に敏感な20・30代の利用率が毎年増加傾向ですが、40代以上の利用は少ない状況です。

日本をベンチマークした韓国の事例からも感じることですが、こういった利用率の高さは、“生活への直結性”を物語っています。
都市住民の多くが生活の一部として取り入れ、フリーランスも収入の波をならすために積極的に使う。こうした行動の積み重ねが、ふるさと納税を単なる “節税制度”ではなく“生活の仕組み”に変えているのではないでしょうか。

日本の制度は海外と比べて圧倒的に“個人に有利”

海外にはほぼ存在しない“自治体を選ぶ税制度”という仕組み

海外にも寄付文化はありますが、ふるさと納税のように

① 自治体を自分で選べて
② 返礼品が受け取れて
③ 税金まで控除される

という制度はほぼ存在しません。

一般的な海外制度は「慈善団体への寄付 → 税控除」であり、自治体との関わり方はもっとシンプルです。

一方、日本では市区町村ごとに制度に参加しており、自治体側が返礼品を企画し、PRし、寄付金を獲得する“競争市場”のような構造が形成されています。

この点については、OECDが発表したレポートでも
「Japan Hometown Tax Donation Programme is internationally unique」
と明確に言及されています。

つまり、日本のふるさと納税は、国際的に見ても“制度の構造からして異質”です。

行政 × マーケティングが融合した、日本特有の制度文化

日本のふるさと納税がここまで複雑かつユニークになった背景には、自治体が「行政」でありながら「事業者」のように振る舞うという文化があります。

東京大学CIRJEの研究でも、“自治体間の競争構造が制度の拡大を加速させている”という話があります。

  • 返礼品開発
  • 広告PR
  • ブランド戦略
  • SNSキャンペーン
  • ECのようなUI改善

これらを行政が行う国は、日本以外ほとんどありません。

海外出身の立場からすると、これは行政というより “地域版スタートアップ” のような動きに見えます。

この“行政 × マーケティング”の混ざり方こそ、ふるさと納税を国際的に異質な制度にしている最大要因です。

◼︎日本と海外を比較した制度表

国/制度

名称/開始時期

寄付対象(選択可能性)

税制優遇 or インセンティブ

返礼品 or 特典

現状・特徴・制限

日本

ふるさと納税

全国の任意の自治体(住まい以外含む)へ寄付可能。寄付先自由

寄付額-2,000円の控除。住民税・所得税控除/控除制度

各自治体が返礼品(地方の特産品、地場産品、お礼の品)提供

地方間競争・返礼品競争が強く、返礼品の「返礼率(返礼品価値/寄付額)」制限や制度見直しあり

韓国

故郷愛寄付金制度

居住地以外の地方自治団体(広域または基礎自治体)への寄付が可能

一定金額までは全額(例:寄付上限まで)控除/段階税控除。制度内容に税額控除がある

寄付額の3割以内の返礼品提供可能

日本制度をモデルに設計。制度利用は発展中/寄付上限設定あり/制度運用が日本ほど成熟段階ではない

その他(制度型ではない/ベース構造が異なる国)

“Participatory Budgeting” 等

市や地域レベルで予算決定や住民がプロジェクト選定に参加可能

税金配分参加・住民参加型予算決定”型。特定税額再配分/税控除ではない/税還付型ではない

返礼品制度はない。住民主導で公共事業・プロジェクト決定。

全国規模では“寄付+返礼+控除”構造ではなく、制度タイプが異なる/自治体単位で範囲



フリーランスにとって“地域を応援する”という新しい選択

働く場所を選ばないからこそ、“応援する地域”を選べる

フリーランスの働き方は、会社員と違って特定の地域や組織に固定されません。

働く場所は自宅でもカフェでも、時には旅先でもいい。その自由さの裏側で、「自分がどこのコミュニティに属しているのか」 という感覚は少し曖昧になりやすい特徴があります。

私も韓国と日本を行き来しながら仕事をしているのでよりそう感じる部分があります。

だからこそ、ふるさと納税のような制度は、“自分がどの地域を応援するか”を考える一つのきっかけになります。

上でも話しましたが、都市部在住者の寄付率が地方より高く、特に東京圏では制度を利用する人が他地域と比べて多い傾向がありました。

都市で働きながら地方を応援するという構造は、まさに “働く場所に縛られない” フリーランスの価値観と重なります。

税金を“選べる”という主体性は、フリーランスの感覚と相性がいい

フリーランスになると、税金との距離がとても近くなります。

請求、経費、確定申告、住民税、国保など。会社が肩代わりしていたものを、すべて自分で把握しなければなりません。

その中で、税金の一部を 「自分が選んだ自治体に託す」 というふるさと納税の仕組みは、単なる節税テクニック以上の意味を持つと思います。

税金は本来、自分ではどうにもできない支払いですが、ふるさと納税は、その一部を「価値観に沿って使う」という選択肢をフリーランスに与えます。

これは、主体的に働くフリーランスという働き方と、非常に相性の良い制度だと言えます。

働き方の自由化が進むほど、“帰属”は自分で決める時代になる

会社に所属する働き方から距離を置くと、自分がどこの地域とつながっていたいのか、どんな社会を応援したいのかという問いが自然と生まれます。

ふるさと納税は、その問いに対して、「お金で地域に参加する」というシンプルな行動を提供してくれる制度であると感じました。



本コラムで話してきた通り、海外には自治体単位でここまで個人が選び、関わり、応援できる制度はなかなか見当たりません。

日本の地域社会の成熟度、自治体の発信力、国民の“ふるさと意識”が重なって生まれた、日本的な地域参加の形です。

働く場所も、所属する組織も自分で選ぶフリーランスにとって、“応援する地域を選ぶ”という行為は、その延長線上にあります。

まとめ:ふるさと納税は、フリーランスにとって“戦略”であり“選択”でもある

ふるさと納税をフリーランスの視点で整理すると、この制度には三つの側面があることがわかります。

第一に、現実的な価値
返礼品によって生活コストが下がり、収入が安定しづらい働き方のキャッシュフローを支える。
節税制度というより 生活を守る仕組み として機能する。

第二に、海外と比較して非常に個人に有利な制度設計
自治体を選べて、返礼品があり、控除が受けられる。
この“個人フレンドリーさ”は日本特有で、海外の寄付制度とは完全に別物の構造をしている。

第三に、日本人の強い地元意識という文化背景
制度の根底には、市区町村という小さな単位に対する日本独特の情緒や物語が存在し、返礼品にもそれが色濃く反映されている。

フリーランスにとってふるさと納税は、単なる節税テクニックではなく、

生活を整える“現実的な戦略”であり、どの地域とつながりたいかを選ぶ“小さな意思表示”
でもある。

制度を理解するほど、その両方の側面を持つ珍しい仕組みだということが見えてきます。

フリーランスという選択を、もっと安心できるものにするために

ふるさと納税のように、フリーランスには「知っているかどうか」で大きく差がつく制度や仕組みが数多くあります。
税金、契約、案件獲得、単価交渉、そして継続的なキャリア形成。
自由度が高い働き方だからこそ、同時に“自分で抱える責任”も大きくなります。

TECHBIZでは、エンジニアとして独立したい方、すでにフリーランスとして活動する方に向けて、税務・契約まわりの基本知識から、安定した案件獲得、単価アップの方法まで、専任のコンサルタントが伴走しながら総合的にサポート しています。

制度を知り、働き方を理解し、自分に合った働き方を選ぶ。そのプロセスを一緒に進めていきたい方は、ぜひ一度ご相談ください。

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編集後記:ふるさと納税は、フリーランスにとって“生活と価値観の両方に触れる制度”

今回、フリーランスという立場からふるさと納税を改めて調べてみて、
制度そのもの以上に 「日本という国の思想」 のようなものを感じました。

最初は、フリーランスとして単純に「生活を助けてくれる制度」として興味を持っただけでした。
米が届き、日用品が届き、キャッシュフローに余裕が生まれます。収入が安定しない働き方にとっては、それだけで価値があります。
とても現実的で、合理的な制度だと思いました。

ただ、制度の背景を掘り下げるほど、それだけでは説明できない層があることに気づきました。
海外にはほぼ存在しない“自治体を選ぶ寄付”という構造と生活用品が返礼品として届くという、個人に寄りそいすぎている制度設計。
行政がマーケティングを行い、地域がブランドとして競い合う現象など。

これはもう税制度というより、「国民と地域の関係性そのものが仕組みとして可視化されたもの」といったほうが近い気がします。

ふるさと納税はフリーランスにとって確かに節税であり、生活防衛であり、得をする制度です。
でも、それだけで語りきれない“文化の層”が確かにありました。

日本の制度を調べているのに、日本人そのものを見ているような感覚。そんな少し不思議な体験が、この特集を書きながらありました。

この制度が好きか嫌いかはともかく、「どの地域にお金を託すか」 を考えること自体が、フリーランスとして働く私にとって、自分の価値観を静かに見直す時間になった気がします。

執筆者

キム ジンヨン

キム ジンヨン

韓国出身韓国生まれ。日本の大学を卒業し、ITエージェントに入社。 営業としてITエンジニアの転職支援を3年ほど経験し、ITフリーランスエージェントであるTEHCBIZにフリーランスとして参画。今はマーケティング部に所属し、TECHBIZメディアの管理及びライティングを担当。

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