SIerとSESの違いを徹底比較|ポイント別の違いやそれぞれに向いている人の特徴も紹介

近年のIT化は激しく、多くの企業で様々なITシステムを導入する機会が多くあるでしょう。システム開発は、要件定義から始まり、設計、開発、運用保守などと多くのステップを経て導入されます。専門的スキルに加えて多くの人手も必要になるため、開発支援を外部に依頼する会社も多く存在するのが現状です。したがって、開発の専門的スキルを備えたエンジニアの方の中には、開発支援に携わっている方も多くいるでしょう。

開発支援は大きく2つの種類に分けられ、それぞれSIerとSESと呼ばれます。SIerもSESも開発支援をする点は共通していますが、その役割は大きく異なります。しかし、SIerやSESでエンジニアとして活躍したいと考えている方の中には、SIerとSESの違いを説明できない方もいるのではないでしょうか。

違いを理解していないまま働き始めてしまうと、理想と現実のギャップを感じることもあるかもしれません。

そこで、今回は「エンジニアの働き方の種類」「【ポイント別】SESとSIerの違い」から「SIerとSES、どちらが良いのか」など、SIerとSESの違いを解説します。

SIerやSESの違いが分からなくて不安だと感じているエンジニアの方はこの記事を最後まで読んで、ぜひ参考にしてください。

  • SIerとは
  • SESとは
  • 【ポイント別】SIerとSESの違い
  • SIerとSES、どちらが良いのか
  • SESと派遣の違い

これからフリーランスエンジニアとして独立をしたいと考えている人は「【決定版】フリーランスになるには?必要な手続きや準備」や「【6ステップ】フリーランスエンジニアになるには?」をぜひ読んでみてください。

フリーランスエンジニアになる前に準備しておくことや必要なスキルから、独立した後の成功の秘訣や案件獲得方法についてまで、独立前に知っておくべきことの全てをまとめてあるので、ぜひ参考にしてみてください。

エンジニアの働き方の種類

エンジニアの働き方には、大きく「自社開発」「SIer」「SES」の3種類があります。自社開発のエンジニアは自社のサービスやシステムの開発や運用を行いますが、SIerやSESのエンジニアはクライアントの開発支援を行います。IT化が急速に拡大する社会において企業が自社内で開発を進めていくことは困難である場合も多く、SIerエンジニアやSESエンジニアはなくてはならない職業となっています。

まずは、SIerとSESの定義について下記で詳しく説明します。

SIerとは

SIerとは、System Integrator(システムインテグレーター)の略称で、「エスアイヤー」と読みます。システムの導入を検討しているクライアントのシステム開発の全ての工程を請け負う企業を意味し、「ベンダー」と呼ばれることもあります。

システム開発の要件定義〜設計〜開発〜テスト〜運用保守まで全てを請け負いますが、開発の規模によっては1社のSIerで全てを請け負うのではなく、複数社で開発を行うケースも多くあります。所属するSIerが元請けなのか、下請けなのかによってエンジニアの携わる工程が大きく異なるでしょう。

また、クライアントと親会社やグループ会社の関係にあるSIerも多く存在し、その場合は親会社やグループ会社の開発のみを請け負うことになります。逆に、独立しているSIerは様々なクライアントの開発を請け負います。

このようにSIerと一言でいっても、元請けか下請けか、親会社やグループ会社があるか独立しているのかによって、エンジニアの業務内容は大きく異なるため、SIerごとの立ち位置を把握しておくことが大切です。

SESとは

SESとは、System Engineering Service(システムエンジニアリングサービス)の略称で、「エスイーエス」と読みます。システム開発の様々な業務に対して、エンジニアのスキルを提供するサービスのことを指します。提供先は自社開発である場合とSIerである場合がありますが、どちらの場合も請け負いではなく、エンジニアのスキルを時間単位で提供する契約になり、これを「準委任契約」といいます。

SESエンジニアの勤怠管理や業務の指揮命令などは所属企業が行いますが、基本的に提供先で勤務するスタイルが一般的で、これを客先常駐といいます。したがって、SESエンジニアの業務内容は提供先によって大きく異なります。また、定期的に提供先が変わる可能性も考えられます。

SESエンジニアとして働く場合は、どのような提供先で働く可能性があるのかをきちんと確認しておくことが大切でしょう。

【ポイント別】SIerとSESの違い

SIerとSESの定義について説明しましたが、ここではそれぞれの違いをいくつかのポイント別に説明します。SIer、SESそれぞれにメリット、デメリットがあるため、どちらが自身のキャリアに適しているかを考えながら読んでみてください。

違いを理解した上で選択できると、安心して働き始めることができるでしょう。

契約形態

SIerとSESの違いの中で1番重要といっても過言でないのが、契約形態です。SIerの主な契約形態は請負契約で、SESの主な契約形態は準委任契約となります。この契約形態の違いにより、契約上、成果物に責任を負うか否かが変わります。請負契約のSIerの場合は、成果物に対して報酬が支払われるため、スケジュール通りに納品する責任が発生します。一方、準委任契約のSESの場合は、エンジニアのスキルの時間単位の提供に対して報酬が支払われるため、成果物の納品の義務は発生しません。

また、例えば納品したシステムに不備があった際も、請負契約のSIerの場合は責任を追う必要がありますが、準委任契約のSESの場合は責任を負う必要がありません。エンジニア目線でいえば、SESエンジニアの方が業務を遂行する上でプレッシャーを感じにくいといえるでしょう。一方、業務にやりがいと責任を持って働きたいエンジニアの方にとってはSIerの方が向いているといえるかもしれません。

勤務形態

続いて、SIerとSESの勤務形態の違いについて説明します。

前述したように、SESエンジニアは客先常駐が一般的となっており、一緒に働くエンジニアは、クライアント企業所属のエンジニアや他のSES企業所属のエンジニアだったりするケースが多くなります。そのため、所属企業とのコミュニケーションをとる機会が少なく、繋がりを感じにくくなってしまうのが特徴です。さらに、案件ごとに一緒に働くエンジニアが変わるため、繋がりを増やしたい方はSESエンジニアに向いているでしょう。

逆に、SIerのエンジニアは、同じ組織で働き続けることになるため、良い関係性を築くことが大切です。一度信頼関係が築けたら、働きやすい環境を維持することができるのが良いポイントですね。

スキル

次は、SIerのエンジニアとSESエンジニアのそれぞれに求められるスキルの違いについて説明します。

まず、SIerのエンジニアは要件定義や設計などの上流工程を担当するケースが多く、SESエンジニアは開発や運用などの下流工程を担うケースが多く見受けられます。そのため、SIerのエンジニアには要件定義や設計などのスキル、SESエンジニアには開発のスキルがより求められるケースが多いです。

また、SIerのエンジニアの場合は、クライアントとの調整が発生することもあるため、調整力やスケジュール管理力などが必要といえるでしょう。対してSESエンジニアの場合は、一緒に働くエンジニアや働く環境がどんどんと変化するため、柔軟性や適応能力が必要といえます。

したがって、全体を調整したり管理したりすることが得意な方はSIer、開発の専門性が高かったり柔軟性や適応能力が高かったりする方はSESが向いているかもしれませんね。

収入

続いて、SIerのエンジニアとSESエンジニアの収入の違いについて説明します。

エンジニアの収入は専門の言語の種類や企業ごとによっても大きく変動しますが、商流が関係するケースが多く見受けられます。商流とは、システム開発のクライアントから実際に手を動かすエンジニアまでの連なる企業の流れのことを指します。

クライアントが支払った開発費用も商流通りにエンジニアまでたどり着くため、上流の企業に所属している方が収入が高くなることが多いでしょう。SIerでもSESでも自分の属する企業が商流のどこに位置しているか把握することで収入が推測できるようになります。

一般的に、SESよりもSIerの方が上流に存在するケースが多いため、SESよりもSIerの方が収入が高いといわれています。ただ、SIerでも元請けではなく2次受け、3次受けだった場合は収入が低くなったり、SESでもクライアント先と直接契約だった場合は収入が高くなったりするので、一概にどちらが収入が良いかは断言できないでしょう。

将来性

最後に、将来性の観点からSIerのエンジニアとSESエンジニアの違いを説明します。

スキルの観点の際に説明した通り、SIerのエンジニアには要件定義や設計などのスキル、SESエンジニアには開発のスキルが求められるケースが多いため、将来のキャリアを考えて選択するのが良いでしょう。

例えば、将来はプロジェクトマネージャーを目指していたり、システムの前工程に携わりたかったりする方は、SIerのエンジニアとして活躍すると良いでしょう。もし、開発の専門的なスキルを極めたかったり、自身で手を動かしてサービスを作り続けたかったりする方は、SESエンジニアとしての道を選ぶと理想像に近づけるかもしれませんね。

SIerとSES、どちらが良いのか

さて、ここまでSIerとSESの違いについて説明してきましたが、結局どちらが良いのか迷ってしまう方もいるでしょう。

SIer、SESそれぞれにメリットデメリットがあるため一概にどちらが良いとは言い切れませんが、キャリアプランが決まっていて磨きたいスキルが明確な場合はSESが向いているでしょう。案件に参画後、その役割が大きく変わることはほとんどない、かつ業務の幅も広くはないので、磨きたいスキルに特化した仕事ができます。

逆に、キャリアプランが決まっていなくて磨きたいスキルが不明瞭な場合は、幅広い経験が積めるSIerを選択するのが良いでしょう。開発の様々な工程に関わりながら、自身のキャリアプランを考えることができます。

SIerかSESか悩んでいる方は、一度自分のエンジニアのキャリアプランを考えてみると良いかもしれませんね。

SESと派遣の違い

SESは客先常駐となりますが、派遣も同様に客先で働くことが多いでしょう。何が違うのか、と疑問に感じる方もいるのではないでしょうか。

SESと派遣の違いは契約形態にあります。前述したように、SESは準委任契約であるのに対して、派遣は労働者派遣契約を結びます。この契約の違いによって生まれるのがエンジニアへの指揮命令権です。SESの場合はエンジニアへの指揮命令権はSESの会社にあり、派遣の場合はエンジニアへの指揮命令権はクライアントにあります。

そのため、SESの会社から参画したエンジニアに対してクライアントが業務に関する強制的な指示や作業時間、場所などに関する指示を出すことは法律で禁止されています。もし、SESのエンジニアへクライアントからの指揮命令が行われている事実が発覚した場合、偽装請負と判断されて罰則の対象となる可能性もあります。

SESエンジニアとして働く場合には、クライアントには指揮命令権がなくSESの会社が指揮命令権を持っていることを覚えておきましょう。

まとめ

このページでは「エンジニアの働き方の種類」や「【ポイント別】SESとSIerの違い」について解説しました。

近年のフリーランスに対する需要の高まりから、正社員だけでなくフリーランスの方もSIerエンジニアやSESエンジニアとして活躍できる環境が広がっています。フリーランスエンジニアとして活躍したいと考えている方は、このページの情報を参考に、自分にあった働き方を選択して、安心してフリーランスとしてのキャリアをスタートさせましょう!

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