フリーランスが知っておくべき年金の基礎知識|老後の対策についても紹介

近年、労働環境の変化に伴い会社に所属することなくフリーランスで自由に働きたいと考えている方も増えてきています。
IT関連の仕事においては人材不足の影響もあり、フリーランスに対する需要は高まってきているため、フリーランスを目指すのであればチャンスは大きいでしょう。

しかし、フリーランスにはデメリットも存在します。特に、老後の年金問題に関して不安に感じる方は多いのではないのでしょうか。会社員の場合は会社側にお任せできますが、フリーランスの場合は自分で手続きを行ったり老後資金を貯めたりする必要があります。

ただ、知識がない状態で年金の手続きや老後資金を貯めていくことを困難に感じる方も多いでしょう。

そこで、今回は「フリーランスが受け取れる年金額」から「年金を増やす方法」「フリーランスの老後対策」などフリーランスの方の老後の年金問題について解説していきます。

フリーランスになって働きたいけれど年金に関して知識不足で不安だと感じている方はこの記事を最後まで読んで、ぜひ参考にしてください。

  • そもそも年金とは
  • 国民年金保険料を免除する方法
  • 年金を増やす方法は?
  • フリーランスの老後対策

これからフリーランスエンジニアとして独立をしたいと考えている人は「【決定版】フリーランスになるには?必要な手続きや準備」や「【6ステップ】フリーランスエンジニアになるには?」をぜひ読んでみてください。

フリーランスエンジニアになる前に準備しておくことや必要なスキルから、独立した後の成功の秘訣や案件獲得方法についてまで、独立前に知っておくべきことの全てをまとめてあるので、ぜひ参考にしてみてください。

そもそも年金とは

公的年金制度は、原則として65歳以上の国民に金銭が給付される制度です。国民皆年金という仕組みがあり、20歳以上60歳未満の国民全員に国民年金保険への加入義務があります。

会社員の場合、会社側で毎月の給与から年金保険額を天引きしてもらえますが、フリーランスの場合は自分で年金保険を支払う必要があります。

また、会社員や公務員であれば国民年金に加えて厚生年金や共済年金に加入しますが、フリーランスの場合は国民年金のみの加入となるため、会社員や公務員と比較して将来の年金受給額が少なくなります。

参考:日本年金機構

具体的にいくらもらえるの?

まず、受け取る年金の種類には、高齢になった時に受け取る老齢年金、重度の障害を負った時に受け取る障害年金、家族が亡くなった時に遺族が受け取る遺族年金の3つがあります。ここでは老齢年金について説明します。

フリーランスの方が20歳から40年間年金保険の支払いを続けた場合、老齢基礎年金は満額となり、毎月64,186円を受け取ることができます。(令和4年度の場合

例えば会社員だった方の場合は、厚生年金が上乗せされるため毎月22万程度を受け取ることが可能です。(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額で計算した場合)

 令和4年度(月額)令和3年度(月額)
国民年金(老齢基礎年金(満額))64,816円65,075円
厚生年金※(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額)219,593円220,496円

このように、会社員や公務員と比較すると、フリーランスの方が将来受け取れる年金額は大幅に少なくなってしまうのが現状です。

国民年金を満額受け取れるように国民年金保険を確実に支払うことはもちろん、年金額を増やす方法や年金以外の老後資金を確保しておくことが大切なのです。

フリーランスは厚生年金に入れない

ここまでの説明で、フリーランスでも厚生年金の継続を希望する方もいるかと思いますが、残念ながら厚生年金を継続することはできません。退職すると、勤務先の企業が厚生年金の脱退手続きを進めることになりますので、自身で国民年金加入の手続きを進めましょう。

国民年金と厚生年金の違い

国民年金は日本国内に住む20歳以上60歳未満の全ての国民が加入対象であるのに対し、厚生年金は会社などに勤務している人が加入対象となります。

それでは厚生年金と国民年金は何が違うのでしょうか。

いくつか違いはありますが、大きな違いは、国民年金保険料は定額なのに対して厚生年金保険料は収入に対して定率となるため収入に応じて異なること、国民年金保険料が全額負担なのに対して厚生年金保険料の負担は会社と半額ずつとなることです。

会社員からフリーランスになることを検討している方は、厚生年金に加入できなくなるということを忘れないようにしましょう。

国民年金への切り替え方法

会社員からフリーランスになり、厚生年金から国民年金の切り替え手続きをしたい方は、最寄りの市区町村役場で手続きを行いましょう。

手続きの際、退職証明書などの退職を証明できる書類が必要となりますので、退職時に書類を受け取ることを忘れないようにしてください。また、年金手帳も必要ですので、どこにあるか分からないなどという方は事前に準備しておくようにしましょう。

切り替え手続きは、原則として退職日から14日以内に行う必要があります。退職後はスムーズに手続きを行うようにしましょう。

国民年金保険料を免除する方法

フリーランスの方の中にはまだ収入が安定せず、毎月の国民年金保険料を支払うのが困難な方もいるかもしれません。ここでは、国民年金保険料の免除制度について説明します。

国民年金の免除制度とは

所得が少なく、前年所得が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが難しい場合には、手続きを行うことで国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度を利用することができます。手続きを行わないと年金を全く受け取ることができなくなるリスクがありますので、支払が滞る際は必ず免除制度・納付猶予制度を利用しましょう。

免除してもらったらどうなるの?

免除額には全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があり、保険料免除期間と掛け合わせて年金額が確定します。

もちろん免除していない人と比較すると年金額は減りますが、保険料免除期間も老齢年金の2分の1(税金分)は受け取れますし、障害年金や遺族年金を受け取ることができます。

年金を増やす方法は?

フリーランスとして働いている方や今後フリーランスになることを検討している方の中には、年金額を増やす方法を知りたい方も多いでしょう。

ここでは下記の方法を紹介します。

  • 前納で国民年金保険料を節約する
  • 未払いの国民年金保険料を払う
  • 国民年金保険料を追加で払う
  • 繰下受給で毎月の年金額を増やす

前納で国民年金保険料を節約する

国民年金保険料の支払いには国民年金前納割引制度があり、前納でまとめて支払うことで国民年金保険料を節約することが可能です。

直接、年金額を増やす方法ではありませんが、支払った国民年金保険料あたりの年金額を増やすことにつながるでしょう。

前納期間が長いと割引額が大きくなり、具体的な割引額は下記の通りとなります。(令和5年度、口座振替の場合

振替方法1回あたりの納付額割引額2年分に換算した割引額振替日
2年前納385,900円16,100円4月末日
1年前納194,090円4,150円8,300円4月末日
6カ月前納97,990円1,130円4,520円4月末日

10月末日

当月末振替(早割)16,470円50円1,200円当月末日
翌月末振替(割引なし)16,520円なしなし翌月末日

2年前納の場合だと約1ヶ月分の年金額が割引になるので、まとめた国民年金保険料の支払いが可能な方は、前納を検討してみると良いでしょう。

未払いの国民年金保険料を払う

これまでに国民年金保険料の免除・納付猶予や学生納付特例の承認を受けた期間があるフリーランスの方は、その期間の国民年金保険料を追納することにより、将来の年金額を増やすことができます。

追納により社会保険料控除が発生して所得税、住民税の軽減もできるので、未払いの国民年金保険料がある方はぜひ年金事務所で申し込みの上、追納することをおすすめします。

参考:国民年金基金

国民年金保険料・掛金を追加で払う

フリーランスの場合、定額の国民年金保険料に加えて付加年金保険料400円を追加で支払うことで、将来的に受け取れる年金額を増やすことができます。付加年金額は「200円×付加保険料納付月数」が年額となり、払った付加年金保険料が全て上乗せされるわけではないことには注意が必要です。

具体的に、40年間(480ヶ月)付加年金を払い続けた方は満額支払いとなり、200円×480ヶ月=毎年96,000円が付加年金額として老齢基礎年金に上乗せされます。

参考:国民年金基金

繰下受給で毎月の年金額を増やす

老齢年金は基本的に65歳から受給されますが、開始時期を75歳まで繰り下げてその分毎月の年金額を増額させることが可能です。65歳時点でまだ仕事をしていて年金受給が必要でないという場合は、繰下受給を検討してみるのもよいでしょう。

繰下受給を希望する場合は、65歳になると送られてくる年金請求の申請を行わないことで自動的に繰下受給となります。

※昭和27年4月1日以前に生まれた方は、70歳に達した月まで繰り下げが可能。

フリーランスの老後対策

ここまでフリーランスが年金受給額を増やす方法を説明しましたが、国民年金受給額には限りがあり、それだけでは不十分に感じる方も多いでしょう。

ここでは、フリーランスの老後のため、国民年金以外の老後資金を用意する方法を紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

退職金制度:小規模企業共済を利用する

中小機構が運営する小規模企業共済制度は、小規模企業の経営者や役員、フリーランスの方のための積み立てによる退職金制度です。月々支払う積立金は1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定ができ、無理なく積み立てていくことが可能です。また、積み立てたお金は、退職時もしくは廃業時に受け取ることができます。

さらに、積立金の全額を所得控除の対象となるので高い節税効果があり、フリーランスの方にもおすすめです。

国民年金基金

国民年金基金は、国民年金に上乗せして加入できる公的な年金制度です。掛金月額は、給付の型と口数、加入時の年齢や性別等によって異なり、上限月額68,000円以内で型と工数を選択することが可能です。

国民年金基金は終身年金のため老後は一定の金額をずっと受け取れるので、とにかく老後は安心したいという方は国民年金基金を選ぶのがよいでしょう。

こちらも、掛金の全額が社会保険料控除の対象になり、さらに公的年金等控除も適応されるので、税制上のメリットも大きいといえます。

iDeCo(個人型確定拠出年金)

iDeCo(個人型確定拠出年金)は、国民年金基金と同様、国民年金に上乗せして加入できる私的年金制度の1つですが、大きな特徴として自分で運用する資産運用型であることがあげられます。

自らで選んだ金融機関や商品の運用結果に応じて将来的に受け取る給付金額が変動する仕組みになっており、60歳以降に老齢給付金として運用益を含めた金額を受け取ることができます。また、iDeCoは終身年金ではなく有期年金となっており、給付金を一括で受け取るか、数年かけて分割で受け取るかを自分で選ぶことが可能です。

iDeCoも掛金の全額が社会保険料控除の対象になる上に、通常は2割かかる運用益も非課税になるので、税制上のメリットを享受することができるでしょう。

まとめ

このページでは、フリーランスが知っておくべき年金の基礎知識について、フリーランスが受け取れる年金額から、年金を増やす方法、フリーランスの老後対策など、フリーランスの方の老後の年金問題について解説しました。

近年のフリーランスに対する需要の高まりから、フリーランス向けの厚生年金の代わりとなる制度が充実し始めており、年金という観点においてフリーランスのデメリットは以前よりも小さくなっています。

このページの情報を参考に、自分にあった老後対策をして生活の体制を整え、安心してフリーランスとしてのキャリアをスタートさせましょう!

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