「税務調査、10年以上も来ない」それでも大丈夫ではない理由を、税理士が解説
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「税務調査の個人事業主への実施」について、テックビズ税務サポートの佐藤淳一 税理士は以下のようなコメントをしています。
Q. 税務調査の個人事業主への実施は、どのような場合に起こりうるのでしょうか?
佐藤税理士:具体的なケースとしては、4つ考えられます。
1つ目が「売上や経費の著増減」です(※本記事内でのちに解説)。
2つ目が、「事業所得の赤字を給与所得と相殺する所得税の不正還付」です。これは、個人事業主とは名ばかりのほとんど収入がない中で多額の経費を計上したり、給与所得の源泉徴収票を偽造して源泉所得税の還付を受ける等のケースが考えられます(※参考①、参考②)。
3つ目が、「資料せん(資料箋)」から確定申告書の内容と矛盾する内容が発覚すること。
4つ目が、「高額な消費税の還付申告」です。高額な還付の場合には、実地調査を実施されることがあるほか、少額な還付であっても、申告内容に疑義があった場合には、関係書類の提出や電話等による確認が行われることがあります。
Q. 税務調査が10年以上にわたって来ない場合は、「正しく申告できているから大丈夫」という認識で大丈夫でしょうか?また、長年とくに問題なかったのにも関わらず、税務調査が突然入るようなケースはあるのでしょうか?
佐藤税理士:10年以上税務調査が来ないから正しく申告できているというわけではありません。
「これくらいバレないだろう」と思っていても、確定申告書以外の情報と照らし合わせることで、税務調査の対象として選定されることがあります。
突然税務調査が来るような場合もあり、例えば以下のようなケースが考えられます。
●得意先が税務署に提出する支払調書の収入で、確定申告書に計上されていないことが明らか。
●SNSで成功者として目立つような露出をしているが、確定申告の所得との乖離が大きい。
●節税を謳いながら、実際には脱税になるようなスキームを利用。その実態が他の納税者の調査で発覚した場合、スキームの利用者が芋づる式に調査選定される。
Q. 「税務調査が入り、大変な思いをした…」のような事態にならないよう、注意喚起やアドバイスをいただけますでしょうか?
佐藤税理士:税務調査が来てから対応できることは限られています。
例えば、意図的な収入の除外や実態のない経費を長年計上していたという場合であれば、税務調査が来てから「修正申告します」といっても許されません。重加算税の対象となったり、悪質な納税者として定期的な税務調査の対象になってしまいます。
昨今では注目を集めるために、いわゆる脱税に近いような情報ノウハウやスキームが発信・拡散されることもあります。自分に都合の良い情報だけを受け取る(※)のではなく、本当に問題がないかを立ち止まって考えたり、専門家や税務署へ事前相談するといった慎重な姿勢が大切になってくるのではないでしょうか。
(※例として引用:2026年5月15日(金)のYahoo!ニュース)
『法人税など約1億5700万円を脱税したとして法人税法違反などの罪に問われており、2026年5月14日の公判で「節税と脱税の違いがわからない部分があった」と弁明しました。』
税務調査の目的と種類。「10年以上も来てないから」といって油断できない
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税務調査の主な目的は、「適正な税務申告が行われているかどうか」を確認することにあります。
特に個人事業主は帳簿管理や経費の判断が自己責任で行われるため、税務署側も定期的な確認を必要としています。
税務調査には以下の2つの種類があります。
種類 | 内容 | 特徴 |
|---|---|---|
任意調査 | 税務署の職員が事前連絡のうえで実施。 | 一般的な調査で、個人事業主のほとんどはこちら。協力的な態度が望まれる。 |
強制調査(査察) | 裁判所の令状を伴い、脱税の疑いがある場合に実施。 | いわゆる「マルサ」。通常は重度な脱税案件が対象で、日常の事業者には該当しにくい。 |
ほとんどのケースで行われるのは「任意調査」です。しかし任意であっても、事前準備がなければ対応は大きな負担になります。
税務調査が個人事業主に入るパターンとは?「自分には来ない」といえないかも
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税務署は、すべての事業者を無作為に調査しているわけではありません。
過去のデータや申告内容をもとに「調査の必要性が高い」と判断された事業者が優先的に対象となります。
特に以下のようなケースは、“申告の正確性に疑問があるサイン”と見なされやすく、調査リスクが高まります。
■ 売上の急増・急減
売上が前年と比べて大きく変動している場合、「裏付けとなる要因があるのか確認したい」と税務署は考えます。
たとえば、急成長しているのにそれに見合った経費が申告されていない場合は、売上除外(隠ぺい)を疑われる可能性があります。
逆に売上が極端に減っている場合も、「架空経費による調整ではないか?」という観点から調査対象になりやすいです。
■ 申告漏れや経費の不自然な増加
「前年より経費が急に増えている」「売上に比して経費が過大」などのケースでは、プライベートの支出を経費に入れていないか?という観点で精査されます。
特に、事業と関係性が不明瞭な接待費・交通費・通信費などは、“水増し”が起こりやすい勘定科目としてチェックされやすい傾向にあります。
■ 同業他社と比べた異常値
税務署は、業種・業態・売上規模・地域ごとに統計データを持っています。
「同じような事業者と比べて利益率が異常に低い」「経費率が高すぎる」などの申告は、“何か不自然な操作があるのでは”と見なされやすい傾向にあります。
例えば、次のような申告をした場合、調査の必要性が高い“異常値”として見られてしまう可能性があります。
- 通信販売業で平均粗利率が40%なのに20%台だった場合
- 売上1,000万円に対して経費が900万円といった収支構造の場合
いずれのケースも「異常=即アウト」ではありませんが、説明責任を求められる可能性が高くなるということです。
納得できる根拠や記録がなければ、疑いを払拭することができず、結果的に調査へとつながります。
帳簿の整理や経費の妥当性に不安がある場合は、事前に税理士などの専門家と連携して内容を見直すことが、最大の予防策になります。
税務調査を「10年以上も来てないから」で甘く見ない。日頃から気をつけたいこと
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税務調査が来てなくても注意①:帳簿や領収書を整え、記帳を習慣化
帳簿が不完全だったり、領収書が見つからない場合は、それだけで「信頼性に欠ける」と見なされやすくなります。
特に個人事業主の場合、一般的な法人企業のように会計担当がいないため、記帳の遅れや不備がそのままリスクに直結します。
記帳は「まとめてやる」のではなく「日々つける」ことを習慣にし、電子保存する場合でもレシートと支払明細をセットで保管しておくと安心です。
税務調査が来てなくても注意②:無理な節税・過剰な経費計上はしない
「できるだけ税金を減らしたい」という思いは当然ですが、無理な節税はかえって調査を招く原因になります。
経費として落とせるか曖昧な支出、プライベートとの区別があいまいな項目は、税務署から指摘されやすいポイントです。
例えば以下のような場合、「節税」の範囲を超えて、経費が否認されるリスクがあります。
・自宅家賃の大半を「事務所費用」として経費計上
・家族との外食費を「打ち合わせ費用」として申告
・趣味の出張を「業務出張」と主張
税務調査が来てなくても注意③:売上除外・二重帳簿などは「絶対NG」
意図的に売上を申告しない「売上除外」や、帳簿を複数作成して使い分ける「二重帳簿」は、税務署から“悪質な不正”とみなされる典型例です。
こうした行為が発覚すると、重加算税の対象となり、信用失墜にもつながります。
また、たとえ悪意がなかったとしても、「売上の記載漏れ」や「入力ミス」による未申告も、結果としてはペナルティ対象になります。
記帳やデータ入力をExcelや手作業で行っている場合は、特に注意が必要です。
税務調査が来てなくても注意④:電子帳簿保存法・インボイス制度への対応
最近では、電子帳簿保存法やインボイス制度など、制度面での要件強化も進んでいます。
これらに対応できていない場合、「形式不備による否認リスク」や「控除対象外」になる恐れがあります。
制度が複雑化している今だからこそ、専門家と連携するなどし、早めに体制を整えることが税務調査の予防につながります。
個人で行う場合は、以下のようなポイントに注意しながら進めるようにしましょう。
・電子保存要件に沿っていない領収書は、税務上認められない可能性がある
・インボイスに未対応だと取引先から控除対象として扱ってもらえない
・保管期間や検索性など、保存方法にも厳格なルールがある
税務調査が突然来ないように、覚えておきたいことはこれ
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税務調査に対する不安は、個人事業主であるフリーランスにとって避けられないものです。
しかし、適切な申告を行っていることに加え、
日々の領収書や帳簿づけをきちんと行い、説明責任を果たせる状態であれば、過度に恐れる必要はありません。
そのためも、以下の3つには、特に注意をして取り組むようにしましょう。
〇記帳の即時性:取引の都度、リアルタイムに帳簿に反映されている
〇証憑の整合性:請求書・領収書・取引明細が紐づいて保管されている
〇説明責任の可視化:試算表や事業報告書が定期的に作成されており、数字の背景が論理的に説明できる
これらが整っていると、調査対象になる確率そのものが下がるだけでなく、仮に調査されても「軽微な確認で済む」可能性が高まります。帳簿・領収書・事業報告の「三位一体管理」を意識し、第三者が見ても理解できる資料を整える習慣をつけましょう。
また、「自分では問題ない」という思い込みがリスクにつながっていることもあります。
制度変更・解釈のズレ・書類の不備などに気づかず、結果として税務調査へとつながることもあるので、不安がある方は税理士などのプロに依頼をすることがおすすめです。
とはいえ、記事でご紹介した内容を踏まえても、「これって経費になるのかな?」「帳簿のつけ方、これで合ってる?」など、それぞれのフリーランスで不安を感じるポイントは異なるものです。
そんなときは、信頼できるエージェントやサービスなど、相談できる窓口を作っておくのがおすすめです。
テックビズであれば、フリーランス向けにキャリア相談を行っているほか、税務サポートにも対応しています。
案件探しについてはもちろんのこと、税や申告に関する不安など、一人で悩まずにぜひプロへご相談ください。
なお、お問い合わせ・ご相談は無料です。まずは試しに、相談の一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?
【※記事監修:佐藤淳一税理士(テックビズ税務サポート)】








