・領収書を整理すると確定申告がスムーズになるって本当?
・領収書の整理の仕方に、良い悪いってあるの?
領収書を整理して確定申告の時間を短縮したいものの、自身で解決できないフリーランスもいると思います。
確定申告に大量の時間を割くと、本業に割ける時間が減り、事業に支障をきたす恐れがあります。
そんな人に今回は、確定申告をスムーズに進めるための、領収書の整理方法を紹介します。
会計ソフトの効果的な使い方も解説してありますので、参考にしてみてください。
領収書を整理整頓しておくと確定申告はラク
領収書の整理整頓をしておけば、確定申告が楽に終わります。
たとえば青色申告を利用する場合は、財務諸表の作成をしなければなりません。
財務諸表を作成する前は、必ず領収書の内容を見ながら仕訳を作成します。
ただ、その時に領収書の整理ができていないと、対象の領収書を見つけにくくなり、仕訳の作成で無駄な時間を使ってしまいます。
逆に、領収書を整理していれば対象の書類を見つけやすくなり、作業が楽に進むでしょう。
また作業終了後は、財務諸表と領収書の内容を照らし合わせながら、確認することもあります。
確認作業でも領収書を整理整頓していた方が、探している領収書を見つけやすいため、効率的に作業が進みます。
以上の内容より、確定申告を楽に終わらせるには領収書の整理整頓が大事といえるのです。
紙媒体での整理・管理の仕方
領収書の整理・管理が大事と言われても、どのような仕方が良いか分からない人もいるでしょう。
しかし、方法を覚えれば簡単に領収書の整理・管理ができます。
ここからは、紙媒体の領収書の整理・管理の仕方を3パターン紹介します。
封筒で月別に仕分ける
領収書を月ごとに分け、封筒に入れて保管する方法です。
その際、封筒に「20〇〇年×月経費」と記載しておくと、中身が見えなくても、何月分の領収書か分かります。
しかし、領収書の中には支払った月と、費用として計上される月が異なる領収書があります。
たとえば、このようなイメージです。
例.10月1日に搭乗する航空チケットの代金10万円を、5月1日に現金で支払った
この場合、領収書が1枚しかなくても、仕訳は2つ発生します。
5月1日:(借方)前払費用 10万円/(貸方)現金 10万円
10月1日:(借方)旅費交通費 10万円/(貸方)前払費用 10万円
封筒に入っている領収書を確認しながら仕訳を作成する場合、5月分と10月分の封筒に同じ領収書が入っていなければ、記帳漏れを起こしてしまいかねません。
しかし、2つの封筒に同じ領収書を入れても、仕訳作成時に二重(5月と10月)で旅費交通費を計上する恐れがあります。
それを防ぐには、下記3つのステップを踏むことが効果的です。
- 領収書をコピーする
- 5月分の封筒に、コピーした分の領収書に「前払費用として計上(旅費交通費として計上しない)」と書いて投入
- 10月分の封筒に、領収書の原本をそのまま投入
結果、記帳漏れや旅費交通費の二重計上を防げます。
とくに、前払・前受(前もって代金をもらう)・未払・未収(料金を後日回収する)に関する取引では、1回の支払で2つの仕訳を作成するケースが発生するため、ご注意ください。
勘定科目別に仕分ける
勘定科目ごとに、領収書を分けて保管する方法もあります。
たとえば、このようなイメージです。
・売上原価(仕入)
・旅費交通費
・外注費
・支払利息
・水道光熱費
勘定科目ごとで領収書を分けてから、会計ソフトの「複製機能」を利用すれば、仕訳入力時の作業が減ります(会計ソフトによっては付いていない場合もアリ)。
複製機能とは、会計ソフト上で同じ内容の仕訳を複製する機能のことです。
下記3ステップを経て操作すると、複製機能を効果的に使えます。
- 仕訳を入力した後に、複製ボタンを押す
- 複製ボタンを押すと、同じ内容の仕訳が表示される
- 金額や日付を変えれば、別取引の仕訳が完成
勘定科目別に領収書を分けて、上記のステップを踏めば、勘定科目を入力する操作が減るため、仕訳の作成時間短縮につながります。
よって、会計ソフト上での仕訳作成時間を減らしたい人は、覚えた方が良い機能なのです。
ファイルで保管
封筒に入れたり、勘定科目ごとに領収書を保管しても、領収書を紛失しそうで怖い人もいるでしょう。
その場合は、ファイルに入れて領収書を保管すると良いです。
ファイルであれば、封筒よりもサイズが大きいため紛失するリスクを減らせるでしょう。
なお、ファイルに保管する時は、このような手順を踏むと良いでしょう。
- 厚さ約2cmの厚紙でできているファイルを用意(表面に「20〇〇年経費分の領収書」と記入)
- ファイルの中に、クリアファイルを複数枚綴じる(月別で分ける場合は12枚、勘定科目別で挟む場合は、勘定科目の数に合った枚数を用意する)
- クリアファイルに1枚ずつ見出しを付ける(月別で分ける時は「1月分、2月分」…。勘定科目別で分ける時は「旅費交通費や水道光熱費・通信費」…。と付ける)
- 該当するクリアファイルに領収書を投入
上記のパターンで領収書を保管すると、紛失する確率が低くなったり、対象の領収書を探しやすくなったりするため便利です。
なおクリアファイルを安く購入したい人は、100円ショップへ行くと、税別100円で複数枚購入できます(取り扱っていない店舗もあります)。
領収書を保管する時の注意点
3つの保管方法を紹介しましたが、紙媒体の領収書を保管する際は、いくつかの注意点があります。
ここでは、その注意点を見てみましょう。
領収書の印字面が消えないようにする
領収書の印字面が消えると、経費で使った領収書であることを証明できなくなります。
そのため、保管をする時は印字面が消えないようにしましょう。
とくに、感熱紙を使用した領収書の場合、光に触れると印字面が消えてしまいます。
印字面を内側に折ったり、封筒やクリアファイルに入れたりして、印字面が光に触れないように保管してください。
クリップでまとめて保管する
領収書を複数枚保管する時は、クリップでまとめて保管しましょう。
領収書をクリップでまとめると、封筒やクリアファイルから出す時に紛失するリスクを減らせます。
しかも、領収書を見る時もクリップでまとまっている分、楽です。
なおクリップではなく、ホッチキスで領収書をまとめる人もいます。
ただ、ホッチキスでまとめた場合、領収書を取り外すのが手間です。
力の加減によっては、領収書を取り外す時に破れるかもしれません。
また、領収書をとめているホッチキスの芯が、指に刺さる恐れもあります、、
領収書を保管した後のことを考えると、クリップで保管した方が良いでしょう。
会計ソフトの機能を使えば確定申告はスムーズに進む
現代では確定申告をする時に、会計ソフトで処理する人もいます。
しかし、なかには機能を上手く活用できず、確定申告作業で手こずるケースもあります。
ここでは確定申告前に便利な、会計ソフトの機能を見てみましょう。
クレジットカード明細の連携
クレジットカード明細の連携とは、クレジットカードで支払った明細の内容を、会計ソフトのデータ上に反映させることです。
会計ソフト上で連携の設定をすると、クレジットカードの明細が会計ソフト上に自動で反映されます。
ただし、連携の設定方法や連携可能なクレジットカードの種類数は、会計ソフトの種類で異なるため、ご注意ください。
経費品目の自動仕訳
経費品目の自動仕訳とは、会計ソフト上で取り込んだ決済データを、自動的に仕訳する機能のことです。
通常、領収書に記載してある内容を仕訳入力する時は、日付や勘定科目、金額などは手入力します。
一方、自動仕訳機能を使えば、勘定科目や金額などの一部が自動で入力されるため、作業時間の短縮が可能です。
勘定科目を選ぶ必要がないため、会計が未経験の人にも役立つ機能といえます。
ただし、自動で入力される箇所は会計ソフトによって異なるため、ご注意ください。
口座連携で支払・請求の一元化
口座連携で支払・請求の一元化とは、会計ソフトと口座の連携をして、支払・請求の仕訳作業を一元化する機能のことです。
一元化しないパターンとするパターンの違いを挙げてみましょう。
例.クライアントへの請求書100枚分の仕訳を作成する時
- 通常パターン(一元化しないパターン)
請求書の内容を1つずつ会計ソフト上に入力するため、「請求書1の仕訳を作成→請求書2の仕訳を作成…請求書100の仕訳を作成」という流れで作業をします。
つまり、仕訳を作成する作業が100回発生するということです。 - 口座連携で支払・請求の一元化したパターン
100枚の請求書データを会計ソフト上に一括で取り込めるため、自動的に記帳をしてくれます。
手入力で仕訳を100回作成する必要もありません。
つまり、100個の仕訳を100分かけて記帳していた人が一元化すれば、100分の余裕時間ができるということです。
大量の請求書データを記帳している人は、覚えておいた方が良いでしょう。
紙媒体と会計ソフトを併用で管理しよう
紙媒体の領収書と会計ソフトを併用すれば、確定申告前の準備は、さらに楽になります。
おすすめは、紙媒体の領収書をスキャンして、会計ソフト上のデータに反映させることです。
この機能は会計ソフトとスキャナソフトを連携させると、利用できます。
活用すれば、手入力で仕訳を作成する手間が減るため、おすすめです。
もしスキャナーがない場合は、スマートフォンのカメラ機能で代用できる会計ソフトもあるので、利用してみてください。
おすすめのクラウド会計ソフト
最近では、クラウド上で利用できる会計ソフトも誕生しています。
ここでは、おすすめのクラウド会計ソフトを3本紹介します。
MF(マネーフォワード)クラウド
MF(マネーフォワード)クラウドは、2012年5月に設立した「株式会社マネーフォワード」が運営している会計ソフトです。
設立から浅いものの、クラウド会計ソフト界では有名な企業で、会計ソフト以外にも10種類以上のクラウドサービスを提供しています。
POSレジや電子マネーの情報を会計ソフトと連携させたり、AIが会計ソフト上のデータを基に、自動仕訳してくれたりする機能が付いているため、飲食店や小売店などにピッタリです。
さらにスマートフォン上で読み取った請求書の内容を、(スマートフォンの)アプリ上で承認できるため、外出先で請求書の承認作業を進めたい人にも、おすすめの会計ソフトといえます。
参考:MFクラウド
freee
2012年7月設立のfreee株式会社が運営している会計ソフトです。
こちらの企業も歴史は浅いものの、クラウド会計界で有名。
特徴は、確定申告書類の作成が簡単なことです。
freeeでは、いくつかの質問に答えていくと確定申告の書類が出来上がっていきます。
そのため、確定申告の知識がない人も利用しやすいでしょう。
さらに、スマートフォンでレシート画像を読み取って、経費の自動入力ができるアプリもあるため、会計の知識がない人にも、おすすめの会計ソフトです。
参考:freee
やよいの青色申告シリーズ
1978年に創立された弥生株式会社が取り扱っているクラウド会計ソフトです。
元々は、パソコンでダウンロードするタイプのソフトをメインに取り扱っていましたが、最近はクラウド製品にも力を入れています。
特徴は、サポート制度の親切な対応です。
カスタマーセンターの担当者が操作画面を共有しながら、回答してくれるため、口頭では伝わりづらい内容も理解しやすいです(質問内容によっては、口頭のみの回答になります)。
ただし、プランによってはサポート制度を使えませんので、ご注意ください。
参考:弥生
領収書・請求書は確定申告後より最大7年間保管する
個人事業主は確定申告が完了しても、領収書・請求書は7年間保管しなくてはいけません(白色申告者は5年間)。
また、その他の書類(注文書など)も5年間の保管が義務付けられています。
保管年数で迷うのが嫌な人は、とりあえず確定申告後から7年間保管すれば、ルール違反にはなりませんので、実践すると良いかもしれません。
毎月のこまめな整理で確定申告を乗り越えよう
領収書は毎月こまめに整理すれば、確定申告を乗り越えられるでしょう。
おすすめの方法は、こちらです。
- 領収書入れを用意し、領収書が発生したら、そのBOXに入れる(当月分と翌月分のBOXを用意)
- 月末になったら、BOXの中に入ってる領収書を勘定科目ごとに分ける
- クリップで、その月の領収書をまとめてファイルに入れて保管
上記の方法を使えば、領収書が月ごと、かつ勘定科目別に分かれているため、記帳をする時も楽です。
1年間の領収書を一気に整理するとなれば、時間が相当かかります。
領収書の整理に時間をかけないためにも、1カ月おきに整理することを、おすすめします。
ビジネスカードでの明細管理が簡単
個人事業主は、ビジネスカードで経費を支払えば、明細の管理が楽です。
さきほど話したように、クレジットカードで支払った明細を会計ソフトのデータ上に反映させれば、記帳の手間が省けます。
確定申告に割く時間が減るため、本業に時間を割きたい人にも、おすすめです。
ただ、そうは言っても自身で確定申告を行うのが面倒だと感じる人もいるはず。
そんなフリーランスにおすすめしたいのが、テックビズゴールドカード。
注目ポイントは、「税務サポート」が利用できることです。
「税務サポート」とは、記帳や確定申告作業を外部委託できるサービスのこと。
毎月5000円~の利用が可能ですので、費用を抑えたい人にピッタリです。
その他に、福利厚生が充実していたり、会員様向けの融資サービスも付いていますので、ぜひ活用してみてください。
関連記事:3分で作れるテックビズゴールドカード!申込み方法と作り方
まとめ
確定申告でフリーランスが楽をするための、領収書の整理術を紹介しました。
今回抑えるべきポイントは、こちらです。
①封筒で月別に仕分ける
②勘定科目ごとに仕分ける
③ファイルで保管
①クレジットカード明細の連携
②経費費目の自動仕訳
③口座連携で支払・請求の一元化
領収書の整理の仕方だけではなく、会計ソフトの活用度によっても、確定申告関係に発生する時間は変わります。
確定申告の時間を減らして、本業に割く時間を増やせば、経営成績がアップするかもしれません。
フリーランスとして活躍し続けるためにも、確定申告を効率的に行うことを意識してみてください。