・青色申告をすると良いことがあるの?
・確定申告と青色申告の違いが分からない…
上記のように、青色申告関連で悩んでいる人もいるでしょう。
フリーランスに転身したから青色申告を利用しようと考える人もいると思います。
しかし、条件を満たさないと利用できません。
すなわち、青色申告を利用する時はルールを把握しておくことが重要です。
しかし自分で理解しようとしたものの、専門用語が多くて、ギブアップしてしまった人もいると思います。
そこで今回は、青色申告の内容やメリットなどを、確定申告経験がない人にも分かりやすく解説します。
青色申告とは確定申告の一種
確定申告をした人は、青色申告と白色申告に分けられます。
3種類の申告の違いは、下記の通りです。
1.確定申告:原則、全てのフリーランスが行う申告処理
2.青色申告:確定申告を行った人のうち、青色申告の条件に該当する人が対象
3.白色申告:確定申告を行った人のうち、青色申告の条件に該当しない人が対象
青色申告対象者は、確定申告時に税制面で優遇されますが、白色申告対象者は青色申告対象者のように税制面で優遇される内容は、ありません。
しかし青色申告対象者になる場合は、いくつかのルールが設定されています。
フリーランスの中には、青色申告の対象者になりたいものの、ルールを守ったり所得が少なく節税効果が小さかったりするという理由で、あえて白色申告を選ぶ人もいるようです。
サラリーマンの副業でも青色申告はできるの?
サラリーマンの副業でも、青色申告を行うことは可能です。
しかし、「事業所得・不動産所得・山林所得」のいずれかの所得に該当しないと、青色申告はできません。
3つの所得の違いは、こちらの通りです。
- 事業所得:事業を営んでいる人が得た所得
- 不動産所得:不動産投資などで得た所得
- 山林所得:農林関係(山林の伐採や売却など)で得た所得
ただし、一時的な所得だったり所得額が低かったりすると「雑所得」扱いになることがあります。
この場合、青色申告の利用は認められていません。
青色申告をするメリット・意味
青色申告が良いと聞くものの、どんなメリットがあるかイメージできない人もいるでしょう。
ここでは、青色申告をするメリットや意味を紹介します。
青色申告特別控除が認められている
最大のメリットは、青色申告特別控除が利用できることです。
この制度を利用すると、所得から最大で65万円控除されます。
所得税や住民税、社会保険料などの課税対象額が減るため、節税効果が期待できます。
具体的な数字を当てはめて、青色申告特別控除を利用した場合と利用しなかった場合の、年間の所得税額を見てみましょう。
例.年間の売上300万円、経費100万円、所得控除50万円、所得税率5%の場合
1.青色申告特別控除で65万円控除される場合
(300万円-100万円-65万円-50万円)×5%=4万2,500円
2.白色申告で青色申告特別控除を使えない場合
(300万円-100万円-50万円)×5%=7万5,000円
上記の場合、青色申告特別控除で65万円控除した方が、年間の所得税が3万2,500円安くなります。
純損失の繰り越し・繰り戻しが可能
青色申告対象者は、赤字分を次期以降(最長3年)に繰り越せます。
例を見てみましょう。
例.前期で発生した10万円の純損失を当期に繰り越す。なお、当期の純利益は100万円。
100万円-10万円=90万円(当期の確定申告で適用される純利益額)
このように、当期の純利益額を減らして確定申告ができるため、赤字になっても翌年以降の節税になるのです。
ただし赤字でも、繰り越せない項目もあるため、確認してから繰り越しをしてください。
貸倒引当金の計上が認められている
青色申告対象者には、貸倒引当金の計上が認められています。
貸倒引当金とは、売上金を計上できなかった時のために、設定しておく引当金のことです。
債権が回収できなかった時の保険として、設定する引当金と思っておくと良いでしょう。
債権の回収が不能になっても、引当金を補填すれば良いだけなので、資金繰りがショートする確率を抑えたい人に、おすすめです。
取得価額が10~30万円未満であれば、減価償却費として一括計上できる
減価償却費とは、固定資産の価値を下げる時に発生する費用です。
仮に25万円で購入した固定資産の価値を、5年かけて価値を0にする場合は、減価償却費として毎年5万円ずつ計上できます。
しかし青色申告対象者で条件をクリアしていれば、固定資産の取得価額が10~30万円未満の場合に限り、一括で減価償却費として計上することが認められています(少額減価償却資産の特例)。
つまり、25万円の減価償却費を一度に計上できるのです。
ただし、1年間で計上できる限度額は300万円までです。
また、事業開始日から1年経っていない状況で確定申告をする場合は「事業年度の月数×25万円」が限度額になるため、気を付けてください。
青色申告特別控除で65万円控除してもらう時の条件を5つ紹介
青色申告をする最も大きなメリットは「青色申告特別控除」で、所得から最大で65万円控除されることです。
しかし、これを利用するには5つの条件をクリアする必要があります。
ここでは、5つの条件を見てみましょう。
青色申告承認申請書の提出をしている
「(所得税の)青色申告承認申請書」を提出する必要があります。
管轄の税務署へ提出する書類で、開業後に一回提出すれば大丈夫です。
用紙は、税務署でもらう方法と国税庁のホームぺージよりプリントアウトする方法があります。
複式簿記で記帳をしている(現金主義はNG)
複式簿記で記帳するのも要件に入っています。
現金主義での記帳はNGです。
例を出して、現金主義と複式簿記の仕訳の違いを比べてみましょう。
例.1月1日に10万円の商品を掛けで売り上げて、1月31日に売上金を回収した。
- 現金主義の場合
1月31日:(借方)現金10万円 (貸方)売掛金10万円 - 複式簿記の場合
1月1日:(借方)売掛金10万円 (貸方)売上10万円
1月31日:(借方)現金10万円 (貸方)売掛金10万円
現金主義の場合、入出金に関する取引のみ記帳します。
しかし複式簿記では、入出金が発生していない取引も、記帳しなければなりません。
つまり、青色申告対象者の方が記帳内容は細かいといえます。
必要な帳簿が保管されている
帳簿の保管義務もあります。
代表的な帳簿は、こちらです。
- 仕訳帳
- 総勘定元帳
- 買掛金元帳
- 売掛金元帳
- 現金出納帳
- 売上帳
- 仕入帳
- 固定資産台帳
これらの帳簿は、全て保管しなければなりません。
その他にも、取引で発生した書類(請求書、見積書、契約書、注文書、財務諸表)などの保管義務もあります。
税務調査時は、これらの書類を提示しなければならないため、年度ごとで分かりやすく保管しましょう。
財務諸表と確定申告書を、期日内に提出している
確定申告書と一緒に、財務諸表を期日内に提出することも条件です。
財務諸表とは「損益計算書」と「貸借対照表」「キャッシュフロー計算書」のことですが、フリーランスの確定申告では、損益計算書と貸借対照表を提出します。
損益計算書とは、費用と収益に関する勘定科目の金額を計算してまとめた表です。
一方、貸借対照表とは、資産と負債、純資産に関する勘定科目の金額を計算してまとめた表を指します。
「電子帳簿保存」or「e-tax」にて確定申告している(2020年分の確定申告~)
2020年分の確定申告以降は、「電子帳簿保存」or「e-taxにて確定申告を行う」のどちらかに該当しないと、青色申告特別控除額は最大で55万円になります。
2つの要件を、詳しく見てみましょう。
電子帳簿保存
電子帳簿保存とは、コンピュータなどのネットワーク上で帳簿を保存することです。
紙で保管する場合と比べて、保管場所を取らずに済みますし、帳簿を紛失するリスクも低いです。
よって保管の手間を省きたい人に、電子帳簿保存は便利といえます。
ただし利用する時は、前もって税務署への申告が必要です。
e-tax
e-taxとは、ネットワーク上で確定申告ができるシステムのことで、国税庁が提供しています。
インターネット環境があれば、どこからでも確定申告処理ができるためラクです。
税務署で確定申告の順番待ちをする必要もありません。
ただしe-taxを利用する時は前もって、初期登録をしたりe-taxソフトの使用準備をしたりする必要があるため、ご注意ください。
これまでの内容も踏まえて、青色申告のやり方を見てみよう!
ここからは、さきほどの内容も踏まえて青色申告のやり方を見てみましょう。
①青色申告承認申請書を提出
青色申告承認申請書を最寄りの税務署に提出します。
ただし、提出した時期によって適用開始年度が異なるため要注意。
たとえば、2020年分の確定申告~青色申告を利用したい場合は、2020年の3月15日までに提出しなければなりません。
その年の1月16日以降に事業を開始した場合は、事業開始日より2カ月以内の提出となっています。
青色申告承認申請書を提出した年の翌年以降から、青色申告が適用される場合もあるため、気を付けてください。
②日頃の取引内容を仕訳処理する
事業で発生した取引の内容を仕訳処理しましょう。
取引内容に合わせて、借方と貸方に勘定科目と金額を記入します。
なお、借方と貸方に書くケースは、こちらの通りです。
~借方に書くケース~
- 資産の増加
- 負債の減少
- 純資産の減少
- 費用の増加
- 収益の減少
~貸方に書くケース~
- 資産の減少
- 負債の増加
- 純資産の増加
- 費用の減少
- 収益の増加
仕訳の例を、いくつか見てみましょう。
1.現金1万円を支払って備品を買った
(借方)備品1万円<資産の増加>(貸方)現金1万円<資産の減少>
2.借入金1万円を現金で返済した
(借方)借入金1万円<負債の減少>(貸方)現金1万円<資産の減少>
3.会議へ出かけるために新幹線代を2万円支払った
(借方)旅費交通費2万円<費用の増加>(貸方)現金2万円<資産の減少>
4.20万円分の商品を売り上げ、10万円を現金で受け取り、残りを後払いにした
(借方)現金10万円、売掛金10万円<資産の増加>(貸方)売上20万円<収益の増加>
5.商品を売り上げて10万円を現金で得ていたが、その後お客様へ返金することになった
(借方)売上10万円<収益の減少>(貸方)現金10万円<資産の減少>
勘定科目の種類や金額の増減を考えると、仕訳処理をしやすいでしょう。
③仕訳の内容を基に、財務諸表・帳簿を作成する
仕訳の金額を基に、財務諸表や帳簿を作成します(転記)。
転記先が異なると、複数の帳簿で金額が合わない事態が起こります。
金額が合っていない状況を放置すると、確定申告後に税務署から指摘されたり、税務調査の対象になったりする恐れもあるため、注意してください。
④確定申告書を財務諸表と一緒に提出する
財務諸表・帳簿の作成が終わったら、財務諸表は確定申告書と一緒に税務署へ提出します。
提出期間は、毎年2月16日~3月15日です(休日の場合は、日にちがズレます)。
郵送の場合は、封筒に押された消印日が提出日となります。
なお、e-taxで確定申告を行う場合は、財務諸表と確定申告書を税務署へ提出する必要はありません。
インターネット上で確定申告が完了した日が、提出日となります。
ただしe-taxでの申請は、ネットワークがつながりにくくなる場合もあるため、日にちに余裕をもって申請を完了させましょう。
⑤提出後は関係書類を保管しておく
提出後は、帳簿や領収書などの書類は保管してください。
帳簿や決算関係・現金預金に関する書類は7年間、他の書類は5年間の保管が義務付けられています。
なお2年前の、確定申告で所得が300万円以下だった場合は、保管のルールが一部異なります。
詳しい内容は国税庁のホームページに載っていますので、確認しておきましょう。
参考:国税庁
青色申告をする時は会計ソフトを使うと便利!
青色申告の場合は、会計ソフトを活用すると便利です。
最後に、会計ソフトが便利な理由を紹介します。
仕訳の内容が自動で帳簿や財務諸表に転記される
多くの会計ソフトでは、入力した仕訳の内容が、自動で帳簿や財務諸表に転記されます。
すなわち、自身で帳簿や財務諸表へ転記する作業をしなくて良いということです。
転記作業が減れば、確定申告に関する作業時間も減るため、おすすめです。
コンピュータ上で帳簿を保管できる
会計ソフトを利用すると、コンピュータ上で帳簿を保管できます。
よって、紙ベースで帳簿を保管しなくても大丈夫です(電子帳簿保存の申請を出してることが条件)。
クレジットカードと会計ソフトの自動連携ができる
クレジットカードの支払内容を、会計ソフトに自動連携できる会計ソフトもあります。
仮に10万円の備品をクレジットカード決済で買った場合、購入日や金額などは自動で、会計ソフトに反映されます。
自ら会計ソフト上で仕訳を入力しなくて良いため、作業の簡略化に役立つでしょう。
会計ソフトの中には、勘定科目まで自動で設定できるサービスが付いており、簿記や会計の知識がない人にも、おすすめの機能です。
ただしクレジットカードのブランドによっては、自動連携の機能が利用できない場合もあるため、ご注意ください。
自身で確定申告ができない時は税理士への委託が便利
読者の中には、簿記や会計の知識がなかったり、確定申告の作業時間をつくれなかったりするため、自分で確定申告の準備ができない人もいるでしょう。
その場合は、税理士へ委託する方法もあります。
税理士へ委託すれば、確定申告の作業に充てる時間が減ったり、確定申告でミスが起こる確率を抑えたりできるため、おすすめです。
しかし、そうは言っても費用が高すぎて、利用できない人もいると思います。
費用を抑えるために、税理士以外への委託を考える人もいるかもしれませんが、法律上、税理士資格を保有していない人への業務委託は認められていません。
そんな人は、Tech Bizカードの会員向けサービス「税務代行サポート」を利用するのも1つの手です。
関連記事>>Tech Bizカードについて
このサービスは、毎月5000円~で税務処理の一部を委託できるサービスです。
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税理士事務所へ依頼した場合の相場と比べると月々の金額も安いです。
お手頃な値段で税理士へ委託したい人は、選択肢として入れておくと良いでしょう。
まとめ
フリーランスの青色申告に関することを中心に紹介しました。
まとめると、このようになります。
①青色申告特別控除が認められている
②純損失の繰り越し・繰り戻しが可能
③貸倒引当金の計上が認められている
④10~30万円未満であれば、減価償却費として一括計上できる
①青色申告承認申請書の提出をしている
②複式簿記で記帳をしている
③必要な帳簿が保管されている
④財務諸表と確定申告書を、期日内に提出している
⑤電子帳簿保存or「e-tax」にて確定申告している(2020年分の確定申告~)
ルールを守らずに、勝手に青色申告の制度を利用することは認められていません。
申請を出して、ルールを守ったうえでの利用が鉄則です。
確定申告後に問題を起こさないためにも、ルールを確認してから青色申告の制度を使いましょう。
※本記事の情報などは2019年10月現在の情報です。
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