・契約書に載っている内容は?
・契約書の種類って色々あるの?
契約書は案件を受ける時に必要な書類です。しかし契約書の内容を理解していなかったり、手元に契約書がなかった場合、仕事上でトラブルが起こることも…。
そこで今回は契約書の種類を紹介しつつ、どんなことに気を付けて契約を結ぶべきか解説します。
契約書が必要な理由
はじめに契約書が必要な理由を見てみましょう。
契約の事実を明確にする
契約書は契約の有無を明確にするための証拠になります。口約束で契約をした場合、ボイスレコーダーなどで録音されていない限り、本当に契約を結んだのか分かりません。仮に契約を結んでいることが把握できたとしても、どのような内容の契約を結んでいるか解明するのは難しいです。
しかし契約書があれば、契約の有無でトラブルになる確率を抑えられます。仕事を進める中で「勝手に契約内容が変わっていた」という状況を防ぐ意味でも、契約書は交わした方がいいでしょう。
仮に契約を交わしたとしても、手元に契約書の控えがなければ、どのような契約を結んだのか分からなくなってしまうため、契約書を交わす時は、必ず契約書の控えを保管しておきましょう。
仕事を円滑に進める
仕事を円滑に進めるためにも、契約書は役立ちます。
例えば、契約した内容を確認したい時、控えを見ただけでどんな内容の契約をしているかが分かります。自分のやるべき仕事内容の確認もスムーズです。
時間を無駄にしたくないフリーランスにとっても、契約書の存在は大事です。契約書をすぐに見返せるように、分かりやすい場所にファイリングしておくといいでしょう。
仕事のモチベーションを高める
契約書を結ぶことで、仕事に対する責任感が強くなって、仕事のモチベーションが上がるかもしれません。契約書を確認して仕事の重要性を再認識する意味でも、契約書の存在は効果的です。
近年は紙ではなく、電子契約書が増えています。電子契約書について詳しくはこちらをご覧ください。
関連記事:電子契約サービス17選|紙で交わす時の違い・メリットも解説!
契約書にはさまざまな種類がある
契約書の代表例が「基本契約書」です。
基本契約書とは、同じクライアントと継続的に取引をする時に契約を結ぶ書類のことです。「毎月同じ案件をもらえるクライアント」「隔週で案件をらえるクライアント」とやり取りする時に用いられます。
たとえば、同じクライアントから長期にわたって取引をする時に交わす「業務委託契約書」や「秘密保持契約書」は、基本契約書の一種です。
関連記事:秘密保持契約書(NDA)とは?フリーランスが注意するべきポイント
基本契約書に載っている内容
基本契約書に載っている内容は、契約書の種類や各クライアントによって若干異なるものの記入する内容はおおよそ決まっています。
ここでは、どのような内容が載っているか見てみましょう。
契約を結んだ年月日
原則、基本契約書に明記されている年月日から効力が発揮されます。
仮に年月日が載っていなかった場合、契約上のトラブルが起こった時に解決できない恐れもあります…。必ず契約開始日が載っているか確認してから、基本契約書を交わしましょう。
お互いの個人情報
住所・連絡先・氏名・屋号など、お互いの個人情報も載せます。大抵の場合、基本契約書の一番最後に記入します。
印鑑を押すこともあるため、出先で基本契約書を交わす時は印鑑(認め印など)も持っていきましょう。
契約内容
契約内容とは、基本契約書の効力が発揮される内容ということです。例えば業務委託に関する基本契約書を結ぶ時は、その契約書の対象となる業務内容が載っています。
業務内容の欄に「システムの保守」「アプリの制作」と載っていた場合は、その業務に関して基本契約書の効力が発揮されるイメージです。業務範囲が幅広い場合は「システムの保守およびその他に付随する業務」と載せる場合もあります。
納品方法
納品方法についても載っています。たとえば、このようなパターンです。
ファイル化して納品
制作した作品をファイル化して納品するパターンです。ファイルをZIP化してメールやチャット上で送ることが多いです。
しかしデータの容量が大きすぎて、メールやチャット上で送れないことがあります。その場合は大容量のデータを送れるツールを使ったり、クラウド上にアップしたりすることが多いです。クライアントによっては、第三者がファイルを開かないように暗号化を指示する場合もあります。
直接Web上にアップロード
成果物を直接Web上にアップロードした段階で、納品したと認定されるケースもあります。
クライアントのホームページに入場するためのIDやPWを与えられている人は、Web上にアップロードできます。ただし操作を誤ってしまうとWeb上のデータを消してしまう恐れもあるため、ご注意ください。
報酬の支払時期
報酬の支払時期も載っています。
支払時期には、このようなパターンがあります。
月末締め翌月末払い
1カ月分の報酬を翌月に支払うパターンです。たとえば7月に仕事をした分の報酬であれば、8月末に支払います。月末が土日祝日の場合は「前倒しまたは後倒し」になることが多いです。
月末締め翌々月末払い
1カ月分の報酬を翌々月に支払うパターンです。たとえば7月に仕事をした分の報酬であれば、9月末に支払います。
月末払いと比べて少ないですが、受注者の中には翌々月末払いであることを頭の中に入れていなかったため、資金繰りに苦しむ人もいるようです。なお月末が土日祝日の場合は、月末払いと同様「前倒しまたは後倒し」になることが多いです。
納品から○日後以内に支払う
納品日から支払日が決定するケースです。たとえば「納品日から15日以内」といったイメージです。
ちなみに納品の基準は、クライアントによって違います。成果物を提出した日を基準にする場合もあれば、クライアント側で成果物を確認して受領した日を基準にする場合もあります。
納品物の所有権
納品物の所有権についても載っています。大抵の場合、納品物の所有権はクライアントに移転します。所有権がクライアントに移ると、受注者に所有権がなくなるということです。
この場合、これらのことに気を付けなければいけません。
- 成果物を過去の実績として紹介する時は、クライアントの許可をとらなければいけない
- 別の作品を作る時に盗用してはいけない
- 勝手に成果物を利用してはいけない
ちなみに納品物の所有権がクライアントに移転するタイミングは「クライアントに納品した日または受領した日」が多いです。
契約解除内容
契約が解除される要件についても載っています。たとえば、このような内容です。
- 著作権を守らずに制作した
- クライアントの指示に従わなかった
- クライアントに巨額の損失・被害を発生させた
契約解除内容に該当すると、無条件で契約解除になるケースがあるため、業務に励む時はこれらの内容を頭の中に入れておきましょう。
基本契約書の他に「個別契約書」もある
「個別契約書」とは、単発の案件を契約する時に結ぶ書面です。継続的な取引を行う時に交わす「基本契約書」とは意味合いが異なります。個別契約書を交わす時は単体で結ぶケースもあれば、基本契約書と併用することもあります。
ちなみに個別契約書に載っている内容は、基本契約書と比べると簡素化されているケースが多いです。なお、個別契約書には「注文書」も含まれます。
関連記事:フリーランスの注文書・注文請書の書き方
基本契約書と個別契約書はどちらが優先される?
基本契約書と個別契約書を交わした場合、契約内容が異なっていて、どちらを優先させるべきか分からなくなるケースがあります。
その決め手となるのが「優先事項」です。優先事項とは、それぞれの契約書で矛盾が生じた時に「どちらの内容を優先するか示した条項」のことで、契約書に載っています。
しかし優先事項がないときは、どちらの契約書を優先しても大丈夫です。とは言っても、どの契約書の内容を優先するかで揉めるケースも…。そのようなトラブルを防ぐ意味でも、優先事項はあった方が良さそうです。
まとめ
契約書に関する内容を紹介しました。
①契約の事実を明確にする
②仕事を円滑に進める
③仕事の重要性を高める
①契約を結んだ年月日
②お互いの個人情報
③契約内容
④納品方法
⑤報酬の支払時期
⑥納品物の所有権
⑦契約解除内容
契約書が手元にあれば、業務上のトラブルが起こった時に守ってくれるかもしれません。
ただし、契約書には「基本契約書」と「個別契約書」の2種類あるため、どの種類の契約を結んだか把握しておきましょう。同じクライアントと2種類の契約書を結んでいる場合、書いてある契約書の内容によって効力が変わるため注意が必要です。
本記事の内容を頭の中に入れてから契約を結ぶことで、仕事上のトラブルを防ぐのに役立つでしょう。
※本記事の内容などは2020年9月現在の情報です。