フリーランスの契約書とは!?種類や注意点についても徹底解説

・契約書を締結する理由
・契約書に載っている内容とは
・契約書の種類

プロジェクトを引き受ける際には契約書が必須の書類となります。しかし、契約書の内容を十分に理解していない、あるいは契約書が手元にないと、業務上の問題が発生する可能性があります。
今回は、契約書の種類を紹介するとともに、契約を結ぶ際に注意すべきポイントについて説明します。

契約書が必要な理由

はじめに契約書が必要な理由を見てみましょう。

契約の事実を明確にする

契約書は契約の存在を明確化し、その証明となります。口頭での約束だけで契約を進めた場合、録音などの証拠がなければ、実際に契約が成立したのかどうかを確認するのは難しいです。また、契約が成立していると認識できたとしても、具体的な契約内容を明らかにするのは一層困難です。
しかし、契約書がある場合、契約の有無に関するトラブルのリスクを低減できます。「契約内容が一方的に変更された」という状況を避けるためにも、契約書を作成し交換することが推奨されます。
さらに、契約を結んだとしても、契約書のコピーが手元になければ、何の契約を結んだのかを確認することができなくなります。そのため、契約書を交換する際には、必ず契約書のコピーを保管しておくことが重要です。

仕事を円滑に進める

仕事をスムーズに進めるためにも、契約書は非常に役立つツールとなります。
例えば、契約内容を再確認したい時、契約書を見ればすぐに何の契約を結んでいるのかが明確になります。自分が遂行すべき業務内容の確認も容易になります。
時間を有効に使いたいフリーランスの方々にとっても、契約書の存在は重要です。契約書をすぐに参照できるように、アクセスしやすい場所に整理して保管しておくことをお勧めします。

仕事のモチベーションを高める

契約書を結ぶことは、仕事に対する責任感を強化し、仕事へのモチベーションを向上させる可能性があります。契約書を見直すことで仕事の重要性を再認識する意味でも、契約書の存在は有効です。
近年では、紙の契約書ではなく、電子契約書が増えてきています。電子契約書についての詳細はこちらをご覧ください。

関連記事:電子契約サービス15選|紙で交わす時の違い・メリットも解説!

契約書にはさまざまな種類がある

契約書の一例として「基本契約書」が挙げられます。
基本契約書とは、同一のクライアントと継続的に取引を行う際に結ぶ契約書のことを指します。「毎月同じプロジェクトを依頼するクライアント」や「隔週でプロジェクトを依頼するクライアント」などとの取引に使用されます。
例えば、同じクライアントと長期間にわたって取引を行う際に交わす「業務委託契約書」や「秘密保持契約書」も、基本契約書の一種と言えます。

関連記事:フリーランスが結ぶ請負契約とは?メリット・デメリット・委任契約との違いを解説

関連記事:秘密保持契約書(NDA)とは?フリーランスが注意するべきポイント

基本契約書に載っている内容

基本契約書に記載される内容は、契約書の種類やクライアントごとに若干の違いはありますが、大まかな記入内容は決まっています。
ここでは、どのような内容が記載されているのかを見ていきましょう。

契約を結んだ年月日

基本的に、基本契約書には明記された年月日から契約が有効となります。
もし年月日が記載されていない場合、契約に関するトラブルが発生した際に解決が困難になる可能性もあります。そのため、必ず契約開始日が記載されていることを確認し、その後で基本契約書を交わすようにしましょう。

お互いの個人情報

住所、連絡先、氏名、屋号など、双方の個人情報も記載します。これらの情報は通常、基本契約書の最後の部分に記入されます。
また、印鑑を押すこともありますので、外出先で基本契約書を交わす際には印鑑(認め印など)を持参しましょう。

契約内容

契約内容とは、基本契約書が効力を発揮する具体的な内容を指します。例えば業務委託に関する基本契約書を結ぶ際には、その契約書が対象とする業務内容が記載されます。
業務内容の欄に「システムの保守」「アプリの制作」などと記載されていた場合、それらの業務に対して基本契約書の効力が発揮されるということです。業務範囲が広範囲にわたる場合には、「システムの保守およびその他に付随する業務」のように記載することもあります。

納品方法

納品方法についても記載されています。以下にその例を挙げます。

ファイル化して納品

制作した作品をファイル化し、それを納品するパターンです。ファイルをZIP形式にしてメールやチャットで送ることが一般的です。
しかし、データの容量が大きすぎてメールやチャットで送信できない場合もあります。そのような場合は、大容量のデータを送信できるツールを使用したり、クラウド上にアップロードしたりします。クライアントによっては、第三者がファイルを開けないように暗号化を要求することもあります。

直接Web上にアップロード

成果物を直接Web上にアップロードし、その時点で納品と認定されるケースもあります。
クライアントのホームページにアクセスするためのIDやパスワードを与えられている場合、直接Web上にアップロードできます。ただし、操作を誤るとWeb上のデータを削除してしまう可能性もあるため、注意が必要です。

報酬の支払時期

報酬の支払時期についても記載されています。
支払時期には、以下のようなパターンが存在します。

月末締め翌月末払い

1ヶ月分の報酬を翌月に支払うパターンです。例えば7月に行った仕事の報酬は、8月末に支払われます。月末が土日祝日の場合、支払いは「前倒しまたは後倒し」になることが多いです。

月末締め翌々月末払い

1ヶ月分の報酬を翌々月に支払うパターンです。例えば7月に行った仕事の報酬は、9月末に支払われます。
月末払いに比べて少ないですが、受注者の中には翌々月末払いであることを意識していなかったため、資金繰りに困る人もいます。また、月末が土日祝日の場合は、月末払いと同様「前倒しまたは後倒し」になることが多いです。

納品から○日後以内に支払う

納品日から支払日が決定するケースです。例えば「納品日から15日以内」などとなります。
なお、納品の基準はクライアントによって異なります。成果物を提出した日を基準にする場合もあれば、クライアント側で成果物を確認し受領した日を基準にする場合もあります。

納品物の所有権

納品物の所有権についても記載されています。一般的には、納品物の所有権はクライアントに移転します。所有権がクライアントに移転するということは、受注者が所有権を失うということを意味します。
この場合、以下の点に注意しなければなりません。

  • 成果物を過去の実績として紹介する際には、クライアントの許可を得る必要があります。
  • 別の作品を作成する際に、成果物を盗用してはいけません。
  • 成果物を勝手に利用してはいけません。なお、納品物の所有権がクライアントに移転するタイミングは、「クライアントに納品した日または受領した日」が一般的です。

契約解除内容

契約が解除される条件についても記載されています。以下にその例を挙げます。

  • 著作権を侵害して製作した
  • クライアントの指示に従わなかった
  • クライアントに大きな損失や被害をもたらしたこれらの条件に該当すると、無条件で契約が解除されるケースがあります。そのため、業務を遂行する際にはこれらの条件を意識しておくことが重要です。

基本契約書の他に個別契約書もある

「個別契約書」とは、一回限りの案件を契約する際に結ぶ書類のことを指します。これは継続的な取引を行う際に交わす「基本契約書」とは異なる意味合いを持ちます。個別契約書を交わす際には、単独で結ぶケースもあれば、基本契約書と併用することもあります。
なお、個別契約書に記載される内容は、基本契約書と比較すると簡略化されていることが多いです。また、「注文書」も個別契約書の一種と考えられます。

基本契約書と個別契約書はどちらが優先される?

基本契約書と個別契約書の両方を交わした場合、契約内容が異なり、どちらを優先すべきかが不明確になるケースがあります。
その判断基準となるのが「優先事項」です。優先事項とは、各契約書で内容が矛盾した場合に「どちらの内容を優先するかを示す条項」のことで、契約書に記載されています。
しかし、優先事項が記載されていない場合、どちらの契約書を優先しても問題ありません。ただし、どの契約書の内容を優先するかでトラブルが生じることもあります。そのようなトラブルを防ぐためにも、優先事項を設けておくことが推奨されます。

まとめ

契約書に関する内容を紹介しました。

✓契約書が必要な理由
①契約の事実を明確にする
②仕事を円滑に進める
③仕事の重要性を高める
✓基本契約書に載っている内容
①契約を結んだ年月日
お互いの個人情報
③契約内容
納品方法
⑤報酬の支払時期

納品物の所有権
⑦契約解除内容

契約書が手元にあると、業務上のトラブルが発生した際に保護してくれる可能性があります。
ただし、「基本契約書」と「個別契約書」の2種類の契約書が存在するため、どの種類の契約を結んだのかを理解しておくことが重要です。同じクライアントと2種類の契約書を結んでいる場合、契約書の内容によってその効力が変わるため、注意が必要です。
本記事の内容を理解し、それを踏まえて契約を結ぶことで、業務上のトラブルを防ぐことができるでしょう。

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