・フリーランスの老後対策ってどうすればいいの?
・会社員との老後対策の違いってあるの?
「2,000万円不足問題」や「年金問題」など、メディアでも色々と言われてきました。快適な老後生活を送るには、早いうちから自分で対策することが大事です。とは言っても老後対策の仕方が分からない人もいると思います。
そこで今回は老後対策が必要な理由を解説しつつ、老後対策の方法などを紹介します。
老後対策が必要な理由
様々な理由から老後対策は必要です。
はじめに、必要な理由を見てみましょう。
老後に働けなく可能性があるから
老後になっても、現在の仕事が続けられるとは限りません。
仮にシステムエンジニアであれば、年齢を重ねるにつれて「体力がもたない」「字が読みづらい」「新しい言語が誕生しても学習に時間がかかる」などの理由で、働けなくなる恐れがあります。
また若年層であっても、突然病気を発症したり、現在の職種が必要とされなくなったりして、仕事がなくなる確率も0とは言えません。早いうちから自分の身を守る意味でも、老後対策は必要です。
年金受給額が減ってしまうから
日本の人口ピラミッドは、高齢者が増加していて現役世代が減っています。これに伴い、将来受給できる年金額も減少すると言われています。仮に受給額が大幅に減らなかったとしても、受給開始年齢がさらに遅くなる確率も十分にあります。
そうなると老後対策をしていなかった人たちは、老後の生活を送れなくなる恐れも…。年金のみで生活が送れない現代において、老後対策は必須です。
老後破産を防ぐため
老後破産とは、老後に入ってからの生活が破綻する状況を指します。
これは貯金が少なかったり、年収が低かったりする人のみに起こる現象ではありません。貯金が多かったり、年収が高かったりする人に起こる場合もあります。
老後破産が起こる主な理由はこちらです。
- 収入と支出のバランスを計算していなかった
- 多額のローンを組んでしまい生活できなくなった
- 貯金を全くしていなかった
しかし上記の内容は、老後対策を行えばある程度防げます。経済的困窮に陥らないためにも、老後対策は必要です。
フリーランスは会社員よりも老後対策に力を入れざるを得ない
フリーランスは会社員と比べると、老後対策に力を入れざるを得ない状況と言えます。ここではその理由を見てみましょう。
収入が不安定
フリーランスは会社員と比べて収入が不安定になる確率が高いです。なぜなら会社員のように、毎月の給料が保障されているわけではないからです。
大半の会社員は、退職するまで給料が支払われます。しかしフリーランスだと、仕事がなくなって翌日から収入が0になる恐れがあります。
会社員と比べて収入の変動が大きい分、フリーランスは老後対策を行うべきです。
仕事がなくなった後の保障が少ない
会社員の場合、たとえ解雇されても「失業手当」が支給されます。さらに病気やケガなどで働けなくなった場合は「傷病手当」を受け取ることも可能です。これらの給付金は国や自治体が設けている制度で、条件に合致している会社員であれば受け取れます。
しかしフリーランスに、これらの制度はありません。つまり仕事がなくなったり病気やケガで働けなくなったりしても、一銭たりとももらえません。フリーランスは保障が薄い分、老後対策に力を入れるべきと言えます。
年金受給額が少ない
大半の会社員は「厚生年金」に加入しています。厚生年金の特徴は、国民年金と比べて受給額が高いことです。しかも厚生年金の場合、会社が半分支払ってくれるため従業員は半分の負担で済みます。
給料が増えるにつれて負担額が増えるものの、その分受け取れる年金額も増えます。
一方、フリーランスは国民年金です。国民年金は全額自己負担です。さらに厚生年金と比べて年金受給額も少ないため、老後対策に力を入れざるを得ません。
過去には老後に2000万円以上貯めておかないと生活が厳しくなる問題(2000万円不足問題)が話題になりました。この話題を聞いて、老後までに2000万円貯めようと思った人もいるでしょう。
しかし、この時に紹介された事例は厚生年金を受け取れる会社員です。フリーランスは会社員と比べると年金受給額が少ないため、2000万円よりも多い金額が必要となります。
関連記事:フリーランスの年金ルールとは?免除申請・老後対策も解説します!
フリーランスができる老後対策を紹介!
老後対策は早いうちから行うに越したことはありません。
ここでは、フリーランスができる老後対策を5つのステップに分けて見てみましょう。
ステップ1:収支の見直し
まず行うのは収支の見直しです。現在の収入と支出の内容を全て書き出しましょう。
たとえば、このような形です。
(毎月の平均)収入
〇〇円
(毎月の平均)支出
家賃 〇〇円
食費 〇〇円
交際費 〇〇円
項目ごとに書いていきます。書き終わったら無駄な支出がないか見てみましょう。「携帯電話代金が高い」「食費がかかりすぎてる」など、色々なことが見えてきます。
分析した結果を基に支出を削ると、貯金の増加につながります。
ステップ2:ライフプランの設計
次にどのような生活を送りたいかライフプランを立てましょう。
たとえば「〇歳で結婚したいから結婚資金が〇円いる」、「〇歳の時に子供が大学へ入学するから〇円必要」というように、何歳までにいくらの資金が必要か考えながらライフプランを立てるのがコツです。
ライフプランを立てれば、必然的にどのくらいの資産を作るべきか分かります。
もし1人でライフプランの設計をするのが難しい場合は、ファイナンシャルプランナー(FP)など専門家に頼むのも手です。
ステップ3:体のメンテナンス(健康維持)
体のメンテナンスも大事です。先ほど話した通り、フリーランスは病気で仕事がなくなっても失業給付金や傷病手当金がありません。
年齢を重ねても稼ぎ続けるには、健康であることが大事です。運動をしたり栄養バランスが摂れた食事をしたりなど、様々な方法があります。年齢を重ねれば、必然的に体は衰えていきます。衰えを少しでも遅らせる意味でも健康維持は大事です。
ステップ4:貯金
貯金をする時は、貯金専用口座を作るといいでしょう。報酬が入るたびに、その通帳へ自動で送金される仕組みを作っておけば、貯金が苦手な人もお金を貯めやすくなります。ある程度の貯金があれば、急な出費が発生しても困ることは減るでしょう。
関連記事:フリーランスが貯金すべき理由とは?仕方や節税方法も紹介!
ステップ5:積み立て・投資
最後のステップが積み立てや投資です。資産を増やすために大事な工程になります。
なお税金を減らしたい人は、下記のように節税効果が期待できる積み立てや投資を行うといいでしょう。
小規模企業共済
小規模企業共済とは、経営者や個人事業主などが利用できる積立制度です。積立額は毎月1,000円~7万円の間で設定でき、500円単位で変えられます。全額「所得控除」扱いですので、掛け金が増えるほど節税効果も大きくなります。
ちなみに積立額は、廃業(もしくは退職)した時に受け取れます。受け取り方は、一括でも分割でも可能です。
IDECO
IDECOとは「個人向けの確定拠出年金」を指します。確定拠出年金とは、掛け金の運用実績によって将来の受給額が決まる年金のことです。
運用先は定期預金・株式・債券など、色々な種類があります。毎月の掛け金は自分で決められますが、人によって上限額が異なります。こちらも積立額は、全額「所得控除」扱いです。
ただしIDECOの場合は原則、60歳を超えないと受け取れません。したがって長期向けの積立と言えます。
株式投資
株式投資とは企業の株式を売買しながら、資産を増やしていく投資のことです。国内株式であれば、「東証一部」「東証二部」「東証マザーズ」など、証券市場に上場している株式が対象となります(一部買えない株式もアリ)。
株式投資で利益が発生すると、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)の税金がかかります。
なお株式投資で資産を増やす方法は、大きく2種類です。
キャピタルゲイン
株価の変動を利用して得る利益を「キャピタルゲイン」と呼びます。
たとえば、1株100円の株を1,000株買ったとします。その後、1株が110円に上がった時に1,000株売ったとします。買った時の価格は10万円、売った時の価格は11万円です。つまり、1万円の利益が発生したことになります(売買手数料・税金は除く)。
株の中には、株価が1日で10%以上変動する場合もあります。
インカムゲイン
インカムゲインとは、その資産を持っておけば継続的に受け取れる利益のことです。
株式投資の場合は「配当金」が該当します。配当金とは、株を持っている人に配るお金のことです。たとえば「1株につき25円の配当」などと載っています。この場合、100株持っていれば2,500円、1,000株持っていれば2万5,000円の配当が受け取れます(税金は除く)。
ただし過去に配当金を出していた企業でも、業績悪化などにより配当金を0にするケースもあるので気を付けましょう。
「NISA」を利用すれば、税金を0にすることも可能です。NISAとは毎年決められた額までの投資であれば、利益が発生しても税金がかからない制度のことです。
たとえばNISAの設定枠が毎年40万円だとすると、40万円までの出資であれば利益が発生しても非課税になります。
関連記事:個人事業主が知っておくべき資産形成につながる投資の方法
まとめ
フリーランスの老後対策を中心に紹介しました。
まとめるとこちらです。
①収入が不安定
②仕事がなくなった後の保障が少ない
③年金受給額が少ない
①収支の見直し
②ライフプランの設計
③体のメンテナンス(健康維持)
④貯金
⑤積み立て・投資
老後対策に力を入れることが、老後を迎えても快適な生活を送るコツです。早いうちから準備しておけば、老後を迎えた時に後悔することが減るかもしれません。今回紹介した内容を参考にしながら、自分の将来を考えてみてください。
※本記事の内容は2021年4月現在の情報です。