フリーランスが加入する年金とは?免除申請・老後対策も解説します!

・フリーランスが加入する年金は?
・フリーランスで年金を支払わないとどうなる?
・支払えない場合、何か対処方法はある?

フリーランスは自身で年金を支払う必要があります。会社員の場合は、給料から天引きされることが多いため、年金について考える必要はなかったかもしれません。

しかし、フリーランスの場合は、会社員よりも受給額は低くなりやすいため、年金について理解を深めておかないと将来困ることになります。また仕事が安定せず、支払えないことも考えられるため、免除制度についても把握しておくことは重要です。

そこで今回は、フリーランスが加入する年金、年金を支払わないとどうなるのか?、フリーランスが活用できる免除制度、個人年金について解説します。

フリーランスの年金事情について理解し、老後安心して暮らせるように、対策をしていきましょう。

フリーランスが加入する年金とは?

フリーランスが加入する年金とは?

フリーランスとして独立後、加入する年金は「国民年金」です。国民年金は、個人事業主や経営者、学生や無職の人が対象(第1号被保険者)の年金で、本人が全額支払います。保険料は収入に関係なく支払額が決まっており、年度によって変わってきます。(2020年度の支払額は16,540円/月)

一方、会社員の場合は、厚生年金を支払うことになります。厚生年金は、国民年金に上乗せされる年金です。主に会社員や公務員などが加入する年金で、支払いは会社との折半です。ただし、厚生年金は年収によって、支払うべき保険料が変わってきます。

受け取れる年金の額は、国民年金は平均約5万円ぐらいなのに対し、厚生年金は平均約14万円ぐらいです。国民年金分も受け取れるため、大体20万円ほど受け取れると思っておくといいでしょう。

とはいえ、所得によって受け取れる額も違ってくるため、平均受給額よりも下回る場合もありますし、大きく上回ることもあります。

それ以外にも、厚生年金の人だけが受け取れる加給年金というものもあります。加給年金とは、加入者が65歳になったときに、加入者に生計を維持されている配偶者や子どもがいる場合に受給できる年金です。受給額は、一般的には1~2人目の子は1人年22万4700円、3人目以降は年7万4900円です。

一般的に、フリーランスが加入する国民年金よりも会社員が加入する厚生年金の方が手厚いと思っておくといいでしょう。国民年金や厚生年金の違いは、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。

フリーランスが年金を払わないとどうなる?

フリーランスが年金を払わないとどうなる?

国民年金は、収入に関係なく一定額で支払う必要があるため、仕事が安定せず支払いが滞ってしまうフリーランスもいるでしょう。しかし、国民年金の支払いを無視し続けるのは、かなり危険です。

国民年金の支払いを無視した時に起こることを、ステップに分けて見ていきましょう。

フリーランスが年金を払わないと起こること
①電話がかかってくる
②催告状が届く
③督促状が届く
④資産差押通告が届く
⑤資産差押えが決行される
順番に見ていきましょう。

ステップ1.電話がかかってくる

国民年金の支払いを無視すると、日本年金機構が業務を委託している民間企業から電話がかかってくることがあります。電話の内容は「いつの分の年金保険料が未納なのか」「いつ支払うことができるのか」ということです。

行き違いで電話がかかってくることもあるようですので、支払いをしている場合は、支払い済であることを伝えるようにしましょう。この電話を無視したり、約束した期限に年金を支払わなかったりすると、次のステップへ進みます。

ステップ2.催告状が届く

この段階では、催告状が送付されます。要は、年金の支払を促すための書類です。催告状には以下の2種類のものがあります。

・催告状
・特別催告状
それぞれ確認していきましょう。

催告状

催告状は、「国民年金未納保険料納付勧奨通知書」と書かれた書類が郵送されてきます。未納額と支払い期限が書かれていますので、銀行や郵便局、コンビニなどで支払いをするようにしましょう。

特別催告状

催告状が来ても、支払いをせずにいると、特別催告状が届きます。特別催告状は封筒の色によって緊急度が変わってきます。

・青色:まだ余裕がある
・黄色:要注意
・赤色:危険

赤色の封筒が届いた場合、財産の差し押さえをする可能性がある旨が書かれた書類が同封されています。必ず財産の差し押さえをされるわけではありませんが、日本年金機構からは「単に支払いを忘れているのではなく、故意に支払いをしていない人」という認識を持たれていることになります。

できる限り支払いを早く済ませるようにしましょう。

ステップ3.督促状が届く

赤色の特別催告状が来ても、支払いをしなかった場合、督促状が届きます。督促状は、本人だけではなく、家族や配偶者に届く可能性もあります。

また、督促状が届くと、通常の国民年金保険料にプラスして、延滞金を支払わなければなりません。そのため、できる限り督促状が届く前に支払う方が無難です。

ステップ4.資産差押通告が届く

督促状も無視すると、資産差押通告が届きます。あなたの資産を強制的に差押えることが載っている書類です。

この書類が届いた段階で、実際に財産の差し押さえが進んでいきます。

ステップ5.資産差押えが決行される

差し押さえられる代表的な資産としては、以下のようなものが考えられます。

・給料の最大4分の1
・貯金
・自宅などの不動産
・生活必需品以外の資産(自動車や家具など)
強制的に行われることですので、拒否することはできません。このような事態に遭わないためにも、国民年金は必ず支払うようにしましょう。

支払いをしないと将来年金が受け取れない or 受け取れる金額が減る

国民年金の支払いをしないと、財産を差し押さえられる可能性があるだけでなく、将来年金が受け取れなくなってしまいます。国民年金を受給をするには、最低10年以上、国民年金保険料の支払いをしなければならないためです。

また、10年以上払っていたとしても、未納期間があると、受け取れる金額が減ってしまいます。未納期間は2年までなら遡って支払うことができるため、未納期間がある人は支払いをするようにしましょう。

年金を払えない時に活用できるのが免除制度

年金を払えない時に活用できるのが免除制度

どうしても年金を払えない場合もあると思います。その時に活用できるのが「免除制度」です。免除制度とは、年金の支払いが免除されたり、減額されたりする制度のことです。

毎年、その年の所得に応じて免除制度の利用可否が決まります。所得額が少ない人が利用できる制度ですので、一定額の所得がある人は利用できません。

なお免除制度は、以下の4種類あります。

全額免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円

4分の3免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

半額免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

4分の1免除
前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること
158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額等

出典:日本年金機構

仮に1人暮らしであれば、年間の所得が57万円を下回ると全額免除の条件をクリアできます。免除をすれば年金保険料が減るので、金銭的負担は減ります。しかし年金受給額も減ることは覚えておきましょう。

その他に出産予定月(出産した月)から4カ月間、免除される制度(国民年金保険料の産前産後期間の免除制度)もあります。

フリーランスで年金受給額を増やしたいのであれば、個人年金制度を利用する

フリーランスで年金受給額を増やしたいのであれば、個人年金制度を利用する

フリーランスの人で、年金受給額を、増やしたい人もいるでしょう。その場合は、国民年金基金に加入する手もあります。国民年金基金とは、1991年5月に国民年金加入者向けに設立された年金制度です。

国民年金保険料のみの支払と比べて、支払額は増えるものの、その分年金受給額を増やせます。

加入するまでの流れは、こちらの通りです。

STEP1:資料請求
ホームページの「資料請求はこちら」より資料をご請求ください。

STEP2:加入申出書の提出
加入申出書に必要事項をご記入の上、ご郵送ください。

STEP3:受付・登録
加入申出書の受付後、加入登録させていただきます。

STEP4:加入員証の郵送
登録完了後、加入員証を郵送いたします。

STEP5:完了
原則としてご加入の2ヵ月後から引き落としを開始させていただきます。

出典:国民年金基金連合会

掛け金を調整できるため、自身のライフスタイルに合わせて支払額を決めたい人にピッタリです。ただし、国民年金の支払で免除や猶予制度を利用していたり、未納状態だったりする場合は、国民年金基金への加入はできません。

また、国民年金基金以外でも年金を増やす方法として、個人年金制度というものがあります。個人年金制度とは、国民年金以外で、自分で積み立てて年金を受給できる制度です。個人年金制度として使える個人年金には以下のような種類があります。

個人年金の種類
①個人型確定拠出年金(iDeCo)
②小規模事業共済
それぞれ見ていきましょう。

①個人型確定拠出年金(iDeCo)

iDeCoとは、自分で資金を積み立て、その積み立てた資金を元に金融商品を運用しながら、資産を築く年金制度のことです。自分で金融商品を運用していくため、利益が発生すれば受給額は増えますし、損失が発生すれば受け取れる受給額は減ってしまいます。

運用する金融商品は、株式や国債、定期預金など様々あります。また運用先は、下記のように、好きな割合で決められます。

・定期預金100%
・定期預金50%、国内株式30%、外国株式20%
・国内株式40%、新興国国債30%、定期預金30%

積み立てる資金は、毎月5,000円から1,000円刻みで設定でき、年に1回変更することができます。積み立て資金の上限金額は、iDeCo公式ページで確認できます。

ただし、運用した資金は、60歳になるまでは引き出すことができません。60歳になって初めて運用結果分も含めた金額が受け取れます。掛金は全額所得控除されますし、受け取り時も各種控除の対象とされ、一定額まで税金はかかりません。

そのため、フリーランスの人であれば、節税効果も期待できるでしょう。

申込~年金が受給されるまでの流れは、こちらです。

①iDeCoを扱っている会社(証券会社や銀行など)から資料を請求する
②運用方法(例.株式、債券、定期預金など)を選んで、自分で決めた額を毎月掛ける
③運用実績によって年金支給額が決まる
④60歳から年金が支給される

iDeCoの申込先によって、取り扱っている金融商品が異なります。そのため、自身に合いそうな証券会社や金融機関へ申し込むことを、おすすめします。

②小規模事業共済

小規模事業共済は「独立行政法人 中小企業基盤整備機構」が提供している積み立て制度です。年金制度ではありませんが、廃業時に積み立てた金額の80%~120%相当額を受け取れます。

会社員の退職金のようなものと理解しておいてください。小規模事業共済は、途中で解約することもできます。しかし、受取額は掛金納付月数に応じて変わってくるため、20年未満で解約してしまうと原本割れしてしまいます。

逆に20年間以上の支払をしていれば、掛金より多くの金額を受給できます。毎月の積立金額は1,000円~70,000円までで、500円単位で調整可能です。

掛金全てが所得控除されますが、受け取り時は課税対象になります。フリーランスでも退職金のようなものが受け取れるため一見良い制度のように思えますが、事業を廃業せずに20年以上も続けられるかどうか慎重に考えてから、申し込むべきでしょう。

まとめ

フリーランスが年金を払わないと起こること
①電話がかかってくる
②催告状が届く
③督促状が届く
④資産差押通告が届く
⑤資産差押えが決行される

フリーランスは、会社員と違い、自分で国民年金に加入し、自分で支払いをしなければなりません。国民年金保険料を支払わないと、ペナルティが発生することもあります。

もし、経済的状況が苦しくて払えない場合は、必ず最寄りの年金事務所に相談し、免除制度を利用するようにしましょう。最悪の場合、資産を差し押さえられる場合もありますので、支払いを忘れないようにしてください。