・フリーランス向けの産休や育休を支援してくれる制度はある?。
・フリーランスが産休や育休を取る場合どんな準備が必要?
フリーランスで、産休・育休を取りたいけど、どのようにしてその期間の収入を確保すればいいか悩む人は多いと思います。実際、会社員と違い、フリーランスは産休・育休を取るのは難しいと言えるでしょう。
とはいえ、産休・育休を取っているフリーランスがいるのも事実です。ではどのようにして産休・育休を取っているのでしょうか。
この記事では、フリーランスが産休・育休を取るときに利用できる支援制度についてお伝えします。またそれ以外にも、フリーランスが産休・育休を取るときに準備しておくべきことも紹介。
当記事を参考にして、安心して産休・育休が取れるようにしていきましょう。
フリーランスは産休や育休が取れない場合もある
会社員の場合は、育児・介護休業法で定められているため、一定期間の産休や育休を取ることができます。例えば、産休は出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から取得でき、出産日、出産の翌日から8週間(6週間経過後に医師が認めた場合は、請求することで就業可能)は就業することができなくなります。また育休は諸々と条件はあるものの、通常子どもが1歳になるまで取得可能です。
フリーランスの場合は、このような法律による定めなどはなく、自分で産休や育休をどれくらい取るかを決めなければなりません。産休や育休で長い間休んでしまうと「収入が全くなくなってしまう」「継続案件の契約を切らなければならず、再度復職する場合、1から仕事を探さなければならない」などの問題が出てきます。
そのため、出産してから1ヶ月以内に復帰するフリーランスも多くいるようです。
フリーランスは「育児休業給付金」や「出産手当金」ももらえない
会社員であれば産休・育休期間中、給料の5~7割に相当する給付金や手当金を受け取ることができます。「育児休業給付金」や「出産手当金」と言われるものです。
フリーランスの場合は、育児休業給付金や出産手当金の対象になっていないため、受給することはできません。
フリーランスが利用できる出産・育児支援制度
フリーランス専用の制度はないものの、出産や育児に関する支援制度はいくつか用意されています。
①出産・育児一時金
②児童手当
③子ども医療費助成
④幼児教育・保育の無償化
⑤妊婦健診費用助成
⑥国民年金保険料の免除
それぞれ具体的にどのような制度なのか、見ていきましょう。
①出産育児一時金
出産育児一時金とは、健康保険や国民健康保険などの被保険者またはその被扶養者が出産したときに支払われる一時金のことです。子どもひとりにつき、42万円が支給されます。
ただし、在胎週数が22週に達していないなど、産科医療補償制度加算対象出産ではない場合は、39万円となります。基本的には、出産育児一時期金の請求も受け取りも医療機関が代理で行ってくれます。
ただし、小規模の医療機関の場合は、手続きが必要になることもありますので、医療機関に事前に確認しておくと安心です。
②児童手当
児童手当とは、0歳から中学校卒業までの児童を養育している人に支給される手当てのことです。支給される金額は子どもの年齢や子どもの数によって変わってきます。
年齢 | 第1子・第2子 | 第3子以降 |
0〜3歳未満 | 月額15,000円/人 | 月額15,000円/人 |
3歳〜小学校修了まで | 月額10,000円/人 | 月額15,000円/人 |
中学生 | 月額10,000円/人 | 月額10,000円/人 |
ただし所得制限が設けられており、世帯主の年収が960万円程度(子ども2人の専業主婦世帯の場合)を上回る場合は、支給額は子ども1人につき月額一律5,000円となります。また2022年10月からは、世帯主の年収が1,200万円程度を上回る場合は、給付対象から外れるようになります。
③子ども医療費助成
子ども医療費助成とは、医療機関等で受診されたときに支払う自己負担金の一部をまかなってくれる助成金のことです。支給対象は自治体によって異なってきますが、基本的には0歳〜中学生、もしくは18歳までの子どもが対象になる場合が多いです。
また支給額も自治体により違いますが、中には自己負担金の全額を助成金として支給してくれる自体体もあります。詳しくは自分が住む自治体に問い合わせてみてください。
④幼児教育・保育の無償化
幼児教育・保育の無償化とは、幼稚園、認可保育所、認定こども園など(他に地域型保育)で、3〜5歳児クラスのすべての子どもの保育料が無料になった制度のことです。0〜2歳児クラスの子どもの場合でも、住民税非課税世帯であれば、無料となります。
ただし、対象施設ごとに上限金額が決まっており、それを超える場合は自己負担となります。さらに「保育料」には、通園送迎費や食材料費、行事費などが含まれていないため、注意が必要です。
具体的に通園したい幼稚園や保育園などが決まっている場合は、施設に事前に問い合わせておくといいでしょう。
⑤妊婦健診費用助成
妊婦健診とは、妊娠期間中の胎児と母親の健康状態を確認するための検診です。妊娠週数の経過と共に、受診する間隔や回数が変わってきます。
妊娠週数 | 受信間隔や回数 |
妊娠~24週 | 4週間に1回 |
25週〜35週 | 2週間に1回 |
36週〜 | 1週間に1回 |
大体出産までの間に、14回ぐらい受診するのが平均です。その受診費用の一部を負担してくれるのが、妊娠健診費用助成です。
補助内容や金額などは、自治体によって異なってきます。厚生労働省の調査によると、全国平均は2018年4月時点で105,734円です。都道府県別の平均額では石川県が最も高い137,813円で、最も低いのは神奈川県で71,417円でした。
具体的な申し込み方法などは、各自治体ホームページを確認するようにしましょう。
⑥国民年金保険料の免除
国民年金保険料を免除してもらえる制度もフリーランスは利用できます。出産前後の一定期間国民年金保険料が免除されます。
子ども数 | 免除期間 |
1人 | 出産予定日or出産月の1ヶ月前〜2ヶ月後までの4ヶ月間 |
2人以上(双子など) | 出産予定日or出産月の3ヶ月前〜3ヶ月後までの6ヶ月間 |
対象期間の国民年金保険料を先に支払っていたとしても申請すれば還付されます。ただし、この制度は自分から申請しないと適用されません。
フリーランスで国民年金に加入している場合は、年金事務所に申出書を提出することで申請できます。母子健康手帳など出産予定日が確認できるものも必要ですので、併せて提出するようにしましょう。
フリーランスが産休・育休によって苦しまないための対策
利用できる出産・育児支援制度があると言っても、会社員よりも負担が減るわけではありません。そのためフリーランスの場合は、自分でも対策を練っておく必要があります。
例えば以下の5つのような対策が考えられます。
①産休・育休中の生活設計を立てる
②出産前までに貯金をしておく
③パートナーに育休を取ってもらえないか相談する
④子どもを預けられる場所を見つける
⑤リモートワーク案件を見つける
それぞれ見ていきましょう。
①産休・育休中の生活設計を立てる
まず産休・育休を取るのであれば、その期間の生活設計を立てることが大事です。家族と話し合いの場を設け、以下のような話をしておくといいでしょう。
・産休・育休を取った場合、パートナーだけの収入で生活できるか
・子どもの世話はどちらがどれだけするのか
・家事はどのように割り振るか
・etc……
子どもが生まれてみたいとわからないことも多々あると思いますが、想定外のことが起きた場合どうするのかも話し合えておけると、対応に困ることを減らせるはずです。
②出産前までに貯金をしておく
出産までに貯金をしておきましょう。産休・育休で収入が減ってしまうこともありますし、出産後には出費が増えることが想定されるためです。
生活設計をした上で、必要になりそうな金額を出し、それよりも少し多いぐらいの貯金があると安心です。早い段階から貯蓄をしておけば、産休・育休になった際、経済的負担で苦しむ確率を減らせます。
③パートナーに育休を取ってもらえないか相談する
パートナーが会社員の場合、パートナーに育休を取ってもらえないか相談することもひとつの手です。パートナーが育休を取得できれば、子育てをある程度任せて、仕事に復帰することもできます。
また会社員なら「育児休業給付金」がもらえる可能性もありますので、相談してみるほうがいいでしょう。
④子どもを預けられる場所を見つける
育児中にフリーランスとして働きたいのであれば、子どもを預けられる場所を見つけておくことも大事です。家族や親戚、もしくは保育園などの施設を検討するようにしましょう。
地域によっては、待機児童が多く、施設を利用できない場合もあります。早い段階から、調べておき、自分たちが住む地域で利用できる施設はないか探しておくといいでしょう。
⑤リモートワーク案件を見つける
子育てしながら働けるようにリモートワークの案件を見つけるのもひとつの手です。在宅で仕事ができれば、子育てや家事をしながら、隙間時間で働くこともできます。
ただし、出産前と同じぐらいの業務量にしてしまうと、子育てとの両立が難しく、こなし切れない場合も出てきます。出産前よりも少なめの業務量にしておき、子育てとの両立に慣れてきたら、徐々に増やしていくようにしましょう。
まとめ
①出産・育児一時金
②児童手当
③子ども医療費助成
④幼児教育・保育の無償化
⑤妊婦健診費用助成
⑥国民年金保険料の免除
フリーランスは、会社員のように産休や育休を取得するのが難しい部分もあります。経済面や仕事面で、安心できる方法をパートナーと話し合いながら見つけていくといいでしょう。
会社員ほど充実はしていませんが、フリーランスでも利用できる出産・育児支援制度もあります。活用していけば、多少は子育ての役に立ちますので、申請できるものは申請しておくようにしましょう。