フリーランスエンジニアと聞くと、「案件ごとに働く個人プレイヤー」というイメージを持つ方も多いかもしれません。正社員のように組織に所属していないため、成果を上げても“表彰”や“リーダーへの抜擢”といった評価とは無縁だと思われがちです。
しかし、フリーランスという立場でありながら、プロジェクトでの成果を認められ、全社レベルの表彰はもちろん、リーダーへの抜擢といった評価を実際に得たのがシステムエンジニアの篠原さんです。現在はチームを率いる立場として活躍されています。今回は、そのキャリアを切り拓いた秘訣を伺いました。
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今回お話を伺った篠原さんは、新卒でシステムエンジニアとしてキャリアをスタートされました。基幹システムの開発や運用に携わり、4年間で経験を積まれたのち、2019年にフリーランスとして独立。その後、複数の案件を通じてスキルと実績を重ね、2023年からは株式会社テックビズに参画されています。
一開発メンバーとして参画されましたが、現在は、フリーランスという立場でありながらチームのリーダーとしてメンバーを率いる存在へと成長されています。
突出した技術力一本で勝ち取ったものではなく、日々の姿勢や周囲との関わり方によって信頼を重ね、組織の中で存在感を築いてこられました。その歩みは、フリーランスとして活動する多くのエンジニアにとって大きなヒントになるはずです。
「個ではなく組織」であることをフリーランス自ら意識する

ーー篠原さんは、フリーランスとして参画したプロジェクトで表彰され、さらにテックビズのテック部でリーダーを務められていますね。どのようにして、そのような評価につながったのでしょうか。
篠原さん:最終的に表彰やリーダー抜擢という形で評価していただきましたが、正直、それをゴールにしていたわけではありません。私自身、もともとBtoBのクライアントワークに携わってきたので、ユーザーの声やニーズを拾い上げることが自然と身についていたと思います。開発の現場に入ってからも、「正しいものを正しく作る」という意識を常に持っていました。
単に要望通りに機能を実装するのではなく、そもそもそのシステムが本当に価値を生むのかを考えるということです。ユーザーの課題を正しく理解し、必要なものを必要な形で提供できるか。その視点を持つことで、自然と評価にもつながっていったのだと思います。
ーーなるほど。「正しいものを正しく作る」という姿勢が評価の基盤になったのですね。ただ、評価につながった要素はそれだけではなさそうです。
篠原さん:そうですね。技術や姿勢も大事ですが、それ以上に意識していたのは“人とのコミュニケーション”ですかね。一緒に働くチームのメンバーはもちろん、非エンジニアの方々や他部署の方とも積極的に会話をしました。専門用語を並べるのではなく、相手が理解しやすい言葉で説明することを心がけたり、気軽に相談できる雰囲気をつくるようにしていました。言葉だけでなく、非言語の部分も含めて「相談しやすい人」であることは、結果的に信頼につながるのだと思います。
ーー確かに篠原さんは「話しかけやすい」「相談しやすい」という声をよく耳にしますね。会話するだけでなく、会話しやすい人であることやそういう雰囲気作りまで意識しているのは印象的です。篠原さんがそこまでコミュニケーションにこだわる理由はありますか?
篠原さん:私自身、ものづくりが好きで「価値あるものを正しく作りたい」という思いが根本にあります。ただ、それを実現するのはエンジニア一人の力では難しいんです。どんなに技術力があっても、最終的にユーザーに届くものはチームや組織でつくり上げるものですから。だからこそ、関わる人としっかりコミュニケーションをとり、相談しやすい雰囲気を意識的につくることを大切にしてきました。
ポイント
・個ではなく組織であることをフリーランス自ら意識すること
・コミュニケーションしやすい人でありつづけるために日々努力すること
・ユーザーの課題を理解し、本当に価値のあるものを提供する意識
フリーランスに広がるチャンスと、考えるべきキャリアの未来
フリーランスが単純にスポットで呼ばれて終わる時代は過ぎつつあります。
データでもその変化は明らかで、エン・ジャパンが2025年に発表した調査では約6割の企業が「今後フリーランスをもっと活用したい」と回答しています【エン・ジャパン調査】。特に成長企業ほど活用意欲が高く、フリーランスをイノベーションの担い手と捉える傾向も見られます【PR TIMES調査】。企業にとってフリーランスは、もはや一時的な補完戦力ではなく、事業成長に関わるパートナーへと位置づけが変わりつつあるのです。
こうした流れを後押しする制度として、2024年11月には「フリーランス新法」が施行されました。正式名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」で、契約条件の明示や報酬支払い期日の明確化など、フリーランスが安心して働ける環境を整えるためのものです。背景には、報酬未払い・契約の不透明さといった従来の課題や、急速に拡大するフリーランス人口の存在があります。制度面でも「フリーランスを一時的に利用する存在」としてではなく、健全な働き方として位置づける準備が進んでいるのです。
ただし、活躍の場が広がる一方で、キャリアをどう築くかは個々人に委ねられています。インタビューで篠原さんが語ったように、「正しいものを正しく作る」という姿勢や、チームや他部署との円滑なコミュニケーションは、評価につながる大きな要素です。逆に言えば、技術力だけに頼るのではなく、組織に信頼される“人としての影響力”をどう高めるかが、今後ますます問われていくでしょう。
フリーランスにとってチャンスは確かに広がっています。しかし同時に、「どうキャリアを積み重ねるか」を意識しなければ、将来的に厳しい立場に立たされるリスクもあるのです。
※フリーランス新法における重要ポイントについては、以下の記事を参考にしてください。
もし、正社員からフリーランスへの一歩を踏み出すか迷っている方、あるいはフリーランスとしてのキャリアアップや今後のキャリアプランに不安を感じている方がいらっしゃれば、ぜひ一度テックビズにご相談ください。
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