はじめに ─ フリーランスに転向したいあなたへ
近年、働き方の自由を求めて「会社員からフリーランスへ転向したい」という声が増えています。しかし、自由と引き換えに、収入の不安定さやすべてを自己責任で担う覚悟も求められます。副業解禁やテレワークの普及といった時代の追い風もあり、企業に縛られずに自分の裁量で仕事をしたいと考える人が増えているのも事実です。
本記事では、そういった方々に向けて、実際にフリーランスとして活動する際に必要な書類、手続き、仕事の取り方、税務対応などをステップごとに詳しく解説していきます。
はじめの一歩を迷っている方でも、読後には「今の自分に何が足りないのか」「何から始めればいいか」が明確になるはずです。
会社員からフリーランスになる7ステップ

収支計算 & 資金準備
フリーランスになる前にまず最初にやるべきは、生活と事業を両立できるだけの「資金設計」です。特に会社を辞めてすぐに安定した収入が得られるわけではないため、最低でも3〜6ヶ月分の生活費と独立準備資金は確保しておく必要があります。具体的には、家賃・食費・通信費・税金・保険などの支出を月単位で一覧化し、月あたりどれだけの収入が必要なのかをシミュレーションしましょう。
また、税金や国民健康保険、年金など、会社員時代に「給与天引き」されていた項目が自分で納付する形になるため、その負担を見落とさないようにすることが重要です。フリーランスは収入も支出もすべて自己管理となるため、この段階で「最低限食べていける金額」を正しく把握することが、無理のないスタートを切るカギになります。
項目 | 内容の例 | 目安金額の例(幅) |
家賃 | 賃貸住宅・ワークスペース費用など | ¥60,000〜¥120,000 |
食費 | 自炊・外食・飲料など | ¥30,000〜¥90,000 |
通信費 | スマホ、Wi-Fi、業務用サービス含む | ¥7,000〜¥15,000 |
光熱費 | 電気・ガス・水道 | ¥8,000〜¥15,000 |
保険料 | 国民健康保険(地域により変動) | ¥15,000〜¥30,000 |
年金 | 国民年金(2024年度:月額約¥16,520) | ¥16,520(固定) |
雑費・交際費 | 日用品、外出費、書籍など | ¥10,000〜¥20,000 |
事業経費 | ソフト、PC維持、交通費など | ¥10,000〜¥30,000 |
税金積立 | 所得税・住民税などに備えて | ¥20,000〜¥50,000 |
月額想定合計:¥266,520
生活防衛資金の目安(3〜6ヶ月分)
- 3ヶ月分:¥266,520 × 3 = ¥799,560
- 6ヶ月分:¥266,520 × 6 = ¥1,599,120
さらに生活防衛資金として、この金額の3〜6ヶ月分を事前に用意しておくことが、
安心して独立するための現実的な備えとなります。
急な生活費が必要になった場合の備え
フリーランスは報酬の支払いが翌月末などになることも多く、急に現金が必要になったときに不安を感じる方もいます。そんなときに活用できるのが、TECHBIZの即日払いサービスです。
TECHBIZでは、稼働した分の報酬を最短で即日受け取ることが可能なサービスを提供しています。そのため、たとえば急な出費があっても「給与日まで我慢する」必要がなく、安定した生活リズムを保ちながらフリーランスとして働くことができます。
業務環境の整備
収支計算と資金準備ができたら、次に取り組むべきは業務環境の整備です。会社に所属していたときとは異なり、フリーランスは仕事をするための設備もツールもすべて自分で用意する必要があります。(案件によっては、PCなどを提供してもらえるところもあります)
最低限、安定したインターネット回線、高スペックのノートPC、業務用のメールアドレスやクラウドストレージ(Google DriveやDropboxなど)は用意しましょう。
また、ZoomやSlack、Chatworkといったクライアントとのやり取りに必要なコミュニケーションツールもアカウントを整備しておくと安心です。加えて、請求書作成ツール(Misocaや請求書クラウド)、会計ソフト(freeeやマネーフォワード)、タイムトラッキングツール(Togglなど)も、後々の業務効率化に役立ちます。さらに、副業段階で信頼を得るためには、屋号・名刺・簡易ポートフォリオの準備もおすすめです。
仕事獲得ルートの開設
フリーランスとして生活するには、案件を継続的に獲得しなければなりません。そのためには、自分に合ったチャネルを複数確保することが重要です。主なチャネルとしては以下の4つがあります。
チャネル名 | 特徴 | メリット | デメリット |
エージェント | 案件営業/単価交渉及びその他業務を代行 | 安定的な案件受注が可能、継続案件が多い、交渉不要、トラブルなどの対応もお任せ可能 | ・手数料が差し引かれる |
クラウドソーシング | プラットフォームを利用し自分で仕事探し | 好きなタイミングで案件を選んで申し込むことが可能 | ・報酬が安くなりがち |
SNS発信(X、note、YouTube など) | 自分の活動や専門性を発信して問い合わせも受ける | 自由度が高く、信頼・ファンが生まれやすい | ・影響力が必要 |
直接紹介・リファラル | 人脈ベースで仕事を受注 | 信頼性が高く高単価になりやすい | 人脈がないと得られない、新規開拓が難しい |
チャネル別解説:
■エージェント
営業を代行してくれるため、技術や実績がある人にとっては安定した案件供給源になります。マージン(手数料)による報酬差引が発生しますが、企業との条件交渉や単価調整などもしてくれるため、面倒な部分は効率化できるとも言えます。
※手数料はエージェントによって違います。
ポイント
案件獲得の手間が少ない
単価交渉・契約対応も任せられる
登録審査やマージンの存在に注意
■クラウドソーシング
好きなタイミングでプラットフォーム上に登録されている案件を選んで申し込むことが可能な点が魅力です。短期・単発案件が多く、副業スタートにも適していますが、報酬が安くなりがちで、応募数も多いため受注難易度は高めです。また、プラットフォームを利用している企業のみの案件に絞られるため、機会損失になる可能性もあります。
ポイント
実績ゼロでも始めやすい
案件数が多く、副業向けにも適している
低単価・競争激化に注意
■SNS発信
自分の知識・活動を継続的に発信することで、信頼構築や案件につながるケースが増えています。ブランディングにもつながりますが、継続力や戦略が必要です。また、そもそものアカウントパワーが必要になるため、最初から案件を受注することは難しくなります。
ポイント
自己ブランディングと信頼構築に有効
自由度が高く、潜在的に高単価案件もありうる
継続投稿と発信戦略が求められる
■紹介・リファラル
過去のクライアントや知人経由での紹介案件は、高単価・信頼性のある仕事につながることが多いですが、人脈が広がるまでには時間がかかります。今の業務先でフリーランス契約に切り替えることができる人には特におすすめです。
ポイント
高単価かつ長期案件につながりやすい
信頼関係を前提に受注できる
人脈構築に時間がかかる
これらのチャネルを組み合わせて使い分けることで、自分のステージやスキルに応じた安定した営業体制が構築できます。
開業届の提出(税務署)
次に行うべきは「開業届」の提出です。これは税務署に対して「私は個人事業主として開業します」と申告する手続きで、正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」といいます。提出方法は、税務署の窓口持参、郵送、e-Tax(オンライン)の3通りがあり、書類は国税庁のWebサイトからダウンロード可能です。屋号を記載する欄もあり、フリーランスとしてのブランド構築にも一役買います。原則、開業から1ヶ月以内の提出が推奨されていますが、実務上は遅れても大きな問題にはなりません。ただし、この書類を提出しなければ、青色申告の承認申請もできず、各種控除や節税メリットを受けられないので注意が必要です。屋号を使って銀行口座を開設する場合も、開業届の控えが求められるケースがあるため、早めの提出をおすすめします。
青色申告承認申請書の提出(希望者のみ)
開業届を提出したら、次に検討したいのが「青色申告承認申請書」の提出です。これは、確定申告時に青色申告制度を適用するために必要なもので、開業から2ヶ月以内に提出する必要があります。青色申告を選択することで、最大65万円の所得控除、赤字の繰越、家族への給与支払いの経費計上など、さまざまな節税メリットが得られます。一方で、帳簿の付け方が複雑になり、「複式簿記」と呼ばれる記帳方式に対応する必要があります。これに不安がある方は、会計ソフト(freeeや弥生など)を利用するか、税理士にサポートを依頼するのがおすすめです。税務処理は“知っているかどうか”で手取りが大きく変わる重要な領域です。苦手意識がある場合こそ、プロの力を借りることが将来の安定と安心につながります。
銀行口座・契約書・請求書の整備
事業用の銀行口座を開設し、フリーランスとしての取引環境を整えましょう。特にプライベートと事業の口座を分けることは、経理処理を明確にし、確定申告の際にもミスを防げる重要なポイントです。また、請求書や契約書のテンプレートも整備しておくと、案件が発生した際にすぐ対応できます。契約書は「業務委託契約書」が基本で、報酬額・納品物・納期・守秘義務・支払いサイトなどを明記します。請求書はインボイス制度対応を意識して作成し、請求番号・振込先・振込期限などの項目を含めましょう。最近では請求書作成ツール(Misocaなど)や電子契約サービス(クラウドサインなど)を使うことで、効率よく管理できます。こうした基盤整備は、信頼あるパートナーとして見られる第一歩です。
社会保険・税金の切替(会社退職後)
会社員を辞めてフリーランスになると、社会保険や税金の手続きがすべて「自分で行う」必要があります。まず、健康保険は「国民健康保険」に加入し、年金は「国民年金」に切り替えます。これらは住んでいる自治体の窓口で手続き可能で、退職後14日以内が目安です。また、前年の所得に基づいて住民税が課税されるため、これも個別で納付します。さらに、所得税は翌年2月〜3月の確定申告で申告・納付が必要です。税金関連の処理は多くの人が不安を抱く領域ですが、適切に対応すれば不要な支出を避けられ、逆に還付を受けられることもあります。不安がある場合は税理士や市区町村の無料相談窓口を活用するのも賢い選択です。社会保障制度の変更点を理解しておくことが、フリーランス生活の土台を安定させる大切なポイントになります。
このように、退職後の手続きには以下のような煩雑な業務が含まれます。
- 国民健康保険・年金への加入切替
- 住民税の個別納付
- 所得税の確定申告
- 税額の見積もりや納付管理
こうした税務・保険に関する対応は、初めての方にとっては不安が大きく、誤ると手取りが減ってしまう要因にもなり得ます。
開業届の提出〜社会保険の切替までに関する手続きは、TECHBIZのサポート対象となります。
「税金の計算が不安」「手続きが面倒」と感じる方でも、税務の専門家が無料でサポートしてくれるため、これからフリーランスを目指す方にとって大きな安心材料になります。
フリーランスになった際に準備しておくべきもの

事業用通帳・クレジットカード
フリーランスとして事業を始める際は、プライベートと事業のお金を明確に分けて管理することが重要です。そのために、事業専用の銀行口座とクレジットカードを用意するのが基本です。個人名義の口座でも構いませんが、可能であれば屋号付きの口座を開設すると、請求書や契約書との整合性が取れて信頼性が高まります。クレジットカードも、事業経費を記録する専用のものを持つことで、会計処理がスムーズになります。確定申告時にも経費の判別がしやすくなり、ミスや漏れを防げるので、事業開始前からしっかり整備しておくことが推奨されます。
複式帳簿の勉強
青色申告を選ぶ場合、「複式簿記」と呼ばれる帳簿付けが必要になります。これは難しそうに思われがちですが、最近ではfreeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを使えば、知識がなくても操作で対応できる仕組みが整っています。
とはいえ、帳簿付けの原理や税務の考え方を理解していないと、「何が経費になるか」「何を記録すべきか」判断に迷う場面も多くなります。税務知識が乏しいままだと、手取りが減るだけでなく、申告ミスによるペナルティが発生するリスクも。
少しでも不安があるなら、税理士に相談する、あるいはセミナー・書籍などで基礎を固めておくと安心です。税務は“知らないと損をする”領域です。だからこそ、最初からプロの力を借りる選択肢も真剣に検討しましょう。
TECHBIZでは、専属の税理士があなたの税務をサポートします。 開業届や確定申告だけでなく、日々の帳簿管理や経費処理、青色申告の対応まで、煩雑な作業を任せることで、本業に集中できる環境が整います。
印鑑(屋号印)
印鑑は必須ではないものの、取引先との契約書に屋号入りの印鑑があると「事業者としてきちんと活動している」という印象を与えることができます。特に法人と契約する際は、署名よりも押印を求められるケースもあるため、1本は用意しておくと安心です。屋号入りの認印(角印)やゴム印などは、ネット注文で数千円程度で作成できます。請求書や納品書への押印用としても便利で、事業の信用性を補強するツールの一つと捉えてください。
フリーランス支援サービスをうまく活用しよう
案件獲得の方法として、前述したチャネルの中でも特に初心者にとって心強いのが「エージェント」の存在です。エージェントは、手数料が取られるという印象が強いですが、実はうまく活用すると安く効率化ができるサービスです。
案件の紹介だけでなく、条件交渉、単価設定、面談調整、契約管理なども代行してくれるため、「営業が苦手」「単価交渉に不安がある」といった方にも非常におすすめです。特にエンジニア職のように、スキルアップも重要な職種は、本業に集中できる環境を作れるため費用対効果が良いでしょう。
ITフリーランスエージェント「TECHBIZ」は、
- 40,000件以上の案件を保有
- 独立経験のある専属コンサルタントが面談や職務経歴書の添削、条件交渉、稼働後フォローまで一貫してサポート
- フリーランス向け福利厚生サービスも無料で適用(案件参画者限定)
- 確定申告などの税務を専属の税理士が無料でサポート(案件参画者限定)
その他も、会社員からフリーランスになる方向けのサポートが手厚いです。
初めてのフリーランスでも安心してチャレンジできる環境を提供してくれます。
会社員からフリーランスになる上でよくある質問と解決方法
Q:開業届はいつまでに出す必要がありますか?
A:原則として開業から1ヶ月以内ですが、遅れても罰則はありません。ただし、青色申告の承認を受けるには、開業から2ヶ月以内に申請が必要です。
Q:副業からでも始められますか?
A:もちろん可能です。副業として案件を受けながら実績を積み、生活資金に余裕ができたら本業化する人も多くいます。
Q:税務処理が不安です。自分でできますか?
A:クラウド会計ソフトである程度対応可能ですが、不安があるなら税理士とのスポット契約や記帳代行サービスの利用がおすすめです。
Q:健康保険はどうすればいい?
A:会社を辞めたら、14日以内に住民票のある自治体で国民健康保険への切替手続きが必要です。退職後の任意継続や扶養制度との比較検討も可能です。
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