・正社員からフリーランスとして独立するベストなタイミング
・正社員からフリーランスとして独立する前に身につけておくべきこと
・正社員からフリーランスとして独立する前の準備
現在、正規雇用として働いているものの、自由な労働環境を求め、また、収入を自身で管理したいと思っている方が、フリーランスへの道を検討していることでしょう。フリーランスとして働く利点は確かに多いです。自分の働く時間や場所を選択でき、また、収入もある程度自己決定できます。
しかし、適切な準備なしに突如フリーランスへと飛び込むことは避けるべきです。そのような場合、正規雇用時代よりも苦労することもあります。独立のタイミングを見極めることが重要なのです。
この改訂版記事では、正規雇用からフリーランスとして独立する際のタイミング、また、独立する前に準備すべきことについて解説します。独立後も安定して働き続けるための情報を提供することを目指します。ぜひ参考にしてください。
正社員からフリーランスに独立するタイミングに正解はない
正社員からフリーランスへと独立するタイミングに絶対的な正解は存在しません。それぞれの状況によって、適切なタイミングは変わってきます。
それでも、サラリーマンを辞めてフリーランスの道を選ぶという考えを抱きつつ、不安を感じている人も少なくないでしょう。仕事の獲得や安定した収入の確保など、フリーランスとしての生活に対する懸念は誰しもが感じるものです。
こういった不安があると、なかなか独立の決断を下すことが難しくなり、フリーランスへの一歩が踏み出せない場合もあります。そこで重要なのは、「この条件が整ったら独立する」と自身で決めることです。
「貯金が一定額たまったら」「副業で一定の収入を得られたら」など、明確な判断基準を設けておくことが良いでしょう。
正社員からフリーランスになるタイミングとは
ではどこのようなタイミングで、正社員からフリーランスになるタイミングを決めればいいでしょうか。
以下にいくつか挙げてみました。
フリーランスになるタイミングを決める上での判断軸
①仕事を受注できる経路が確保できているか
②貯金が半年から1年間生活できるだけ貯まっているか
③今の職場に迷惑がかからないか
④健康上に問題はないか
⑤独立後の生活がイメージできるか
⑥家族の理解を得られているか
⑦必要な手続きが理解できているか
それぞれ詳しく見ていきましょう。
①仕事を受注できる経路が確保できているか
独立する際に、仕事を受注できるルートが確定しているか否かは、重要な判断基準の一つです。フリーランスとなると基本的に自ら仕事を探さなければなりません。
それゆえ、独立する前に一定量の仕事を受けられる見込みが立っていない場合、独立後に仕事がなくなるリスクが高まります。仕事がない状態になると焦り、条件の良くない仕事を選ぶ、あるいは自身の希望とは違う仕事を選ぶといった事態に陥りやすくなります。
そのため、現在独立を行った場合にどれくらいの仕事を獲得でき、それによってどれほどの収入が見込めるのか、事前にシミュレーションしておくことをおすすめします。収入の見込みが全くつかない場合は、クラウドソーシングサイトやエージェントを利用し、1案件あたりの平均単価を確認すると良いでしょう。
フリーランスとしての案件獲得について詳しく知りたい方は、是非この情報をご参照ください。
②貯金が半年から1年間生活できるだけの貯金はあるか
フリーランスとして独立する際には、必要な機器をそろえたり、事務所をレンタルしたりするための初期費用が必要となります。そのため、独立するために必要な費用を見積もり、それに見合った貯金を計画的に行うことが求められます。
また、独立してすぐに仕事が安定的に収入をもたらすとは限らないため、一定期間、収入が大幅に減少することを想定して貯金をすることも重要です。貯金額の目安としては、仮に収入がゼロとなった場合でも、「半年~1年間程度」生活できる額を確保しておくことをお勧めします。さらに、開業時に大きな出費が必要な方は、それとは別に半年~1年分の生活費を貯めておくことが望ましいでしょう。
③今の職場に迷惑がかからないか
独立を決める際には、現在の職場への影響を考慮することも重要です。参画中の職場に不利益を与えないようなタイミングで退職することを心掛けるべきです。辞めるからといってその関係性を切り捨てるのは早計で、フリーランスとして独立した後も、参画中の職場の人脈から新たな仕事の依頼が来る可能性もあります。
また、すぐに仕事が来なくても、将来的に何らかの形で繋がり、仕事に繋がる可能性もあります。したがって、円満に退職することが望ましいです。
会社を辞める意向は、できるだけ早く伝え、引き継ぎ等の業務をきちんと完了することが重要です。ただし、フリーランスになるための退職を引き止められ、結局独立できないという事態もあり得るため、企業を過度に優先させすぎないように注意が必要です。
④健康上に問題はないか
フリーランスになる前には自身の健康状態を確認しておくことが重要です。会社員の場合、労災保険に加入しているため病気や怪我などで休業した場合でも補償を受けることができますが、フリーランスの場合、通常は労災保険の対象外となります。そのため、病気や怪我で働けなくなった場合、自身の貯金を用いて医療費等を支払う必要があります。
健康上の問題が既にある場合、独立を急ぐよりもまず健康状態を回復させることを優先し、安定して働ける状態になってから再度独立を考えることをおすすめします。
ただし、2021年9月より、ITフリーランスも労災保険に特別加入できるようになりました。保険料は自己負担となりますが、これにより労災保険の補償を受けることが可能となりました。これは、自身のリスクを低減する一つの手段となるかもしれません。
・ITコンサルタント
・プロジェクトマネジャー
・プロジェクトリーダー
・システムエンジニア
・プログラマー
・サーバエンジニア
・ネットワークエンジニア
・データベースエンジニア
・セキュリティエンジニア
・運用保守エンジニア
・テストエンジニア
・社内SE
・製品開発/研究開発エンジニア
・データサイエンティスト
・アプリケーションエンジニア
・Webデザイナー
・Webディレクター
とはいえ、特別加入は、個人が直接申し込むものではありません。ITフリーランスを構成員とする団体がまず申請をします。
団体が特別加入団体として認められれば、団体員が団体を通して、加入手続きを行えます。現時点では特別加入団体になっている団体はありませんが、今後増えていくでしょう。
⑤独立後の生活がイメージできるか
フリーランスとして独立する前には、独立後の生活をしっかりとイメージすることが大切です。「どれくらいの生活費が必要か」、「どれくらいの収入があれば足りるか」、「いつ働き、いつ休むか」など、自分の生活リズムを自己管理することが求められます。
フリーランスの魅力の一つは、収入や働く時間、休む時間を自分でコントロールできる点にあります。しかし、その自由度の高さゆえに自分自身で厳密に管理する必要があります。時間管理や仕事の受注数を誤ってしまうと、収入が不安定になったり、過度のストレスに見舞われる可能性があります。
そのため、独立を考える前には現実的に独立後の生活をイメージし、収入や働く時間、休暇などをどのように管理するのか、具体的な計画を立てておくことをお勧めします。自己管理が求められるフリーランスの生活を成功させるためには、緻密な計画とそれに基づいた行動が必要となります。
⑥家族の理解を得られているか
独立してフリーランスとなる前には、家族との十分な話し合いと理解が必要です。フリーランスとなると、収入が不安定になったり、休日にも働かなければならないことがあります。これらの変化は家庭生活に大きな影響を与え、家族に負担をかける可能性があります。家庭の経済状況が変化することで、家族間のトラブルが生じ、最悪の場合、離婚に至ることもあります。
そのため、フリーランスとして独立する前には、家族との十分な話し合いが必要です。具体的には、独立後の収入の見込みや働く時間、それに伴う生活の変化について詳しく説明することが求められます。家族に理解と協力を得ることで、独立後の生活がスムーズに進む確率が高まります。独立を成功させるためには、自身の生活だけでなく、家族との関係性も大切にすることが重要です。
⑦必要な手続きが理解できているか
フリーランスとして独立するには、様々な手続きが必要になります。独立する前にどういった手続きが必要になるのかは把握しておくようにしましょう。
以下の代表的なものを載せておきます。
・開業届を出す
・国民年金の手続き
・国民健康保険に加入する
・青色申告承認申請書を提出する
・etc……
正社員であれば、会社がやってくれていたことも、フリーランスになると全部自分でしなくてはいけなくなります。どのようなものがあるのか、いつまでにする必要があるのか確認し、忘れないようにしましょう。
確定申告についても把握しておく
確定申告とは1年間(1月1日~同年12月31日)の所得を報告するための手続きです。確定申告で報告した所得に応じて、国民保険料や住民税などの金額が決まってきます。
確定申告をしないと、脱税になってしまうため、必ず行わなければなりません。独立前にどのようなものなのか、年間を通じてどのようなことが必要になるのか確認しておきましょう。
クレジットカードの発行や賃貸契約も独立前にしておく
フリーランスとして独立する前に、クレジットカードの発行や賃貸契約をすることは確かに賢明な選択です。独立直後にこれらを試みると、確定申告がまだ行われていないため、所得がどの程度あるのかが確認できず、審査に落ちる可能性が高くなります。
通常、確定申告を1年から2年行い、安定した売り上げや所得があることを示すことができれば、クレジットカードの発行や賃貸契約の審査を通過しやすくなります。そのため、独立前に既にクレジットカードが必要な場合や、賃貸契約を結ぶ予定がある場合は、独立する前に手続きを済ませておくことをお勧めします。
正社員からフリーランスになる前に身に付けた方がいいスキル
独立前には以下のようなスキルも身につけておけるといいでしょう。
独立する前に身につけた方がいいスキル
①業務に関わるスキル
②コミュニケーション能力
③自己管理能力
④営業力
それぞれ見ていきましょう。
①業務に関わるスキル
確かに、業務に関連するスキルはフリーランスになる前に必ず身につけるべきです。スキルがなければ、フリーランスとして仕事を獲得するのが困難になるためです。
自己評価だけでなく、自身のスキルが実際の仕事で役立つレベルにあるかどうかを判断するには、副業を行い、直接仕事を受けてみることが有効です。副業を行うことで、自分のスキルでどの程度の単価の仕事が受けられるのか、また、それが自身の生計を立てていくうえで十分かどうかを把握することができます。
フリーランスとして独立するためには、自分自身のスキルと市場価値を把握することが重要です。その一環として副業を行い、実際に受注経験を積むことは非常に有益な行為といえるでしょう。
②コミュニケーション能力
フリーランスにとってコミュニケーション能力は非常に重要です。仕事の成果だけでなく、取引先とのコミュニケーションがスムーズに行えるかどうかは、フリーランスが仕事を獲得できるかどうかに大きく影響します。
仕事の成果が良ければ信用を得ることができますが、コミュニケーションがしやすいという点も大きな信用要素となります。コミュニケーション能力が高ければ、自身の人脈を広げることも可能となり、これにより仕事を紹介してもらえる機会も増えるでしょう。
独立前の職場では、周囲の人とのコミュニケーションを大切にし、コミュニケーションスキルを伸ばすよう心がけましょう。それはフリーランスとして成功するための大切な要素の一つです。
③自己管理能力
フリーランスとして働くには、自己管理能力が不可欠です。自由に働ける反面、自分自身で仕事のスケジュールを組み、納期を守り、仕事を完了させる必要があります。自己管理能力が低いと、納期ギリギリになることや、納期を逃してしまうリスクが高まります。
また、お金の管理も重要です。自己管理能力が不足していると、キャッシュフローが滞り、生活を維持することが難しくなる可能性があります。
したがって、フリーランスとして成功するためには、会社員の時期から自分自身をどのように管理すれば良いかを考え、そのスキルを身につけておくことが重要です。仕事、お金、生活全体の管理能力を磨いておくことで、フリーランスとしての活動がより円滑になり、成功につながります。
④営業力
フリーランスとして成功するためには、営業力が非常に重要となります。自分から積極的に仕事を探し、自己PRを行い、より良い条件の仕事を獲得するための手段として営業力は必須のスキルとなります。
もし営業が苦手であると感じているなら、エージェントの利用を検討することも一つの解決策となるでしょう。エージェントは、あなたに代わって営業活動を行い、適切な仕事を探してくれます。これにより、営業力に自信がない人でも、より多くの仕事を獲得できる可能性があります。
また、営業力を身につけるための具体的な方法を学ぶこともおすすめです。本を読んだり、セミナーに参加したり、経験者からアドバイスを得るなど、多くの方法で営業スキルを向上させることが可能です。
独立を検討する前に、自分の営業力を評価し、必要なスキルを身につけるための方法を検討し、エージェントの利用などの代替手段についても考えておくことが重要です。これにより、フリーランスとしてより成功する可能性が高まるでしょう。
まとめ
フリーランスになるタイミングを決める上での判断軸
①仕事を受注できる経路が確保できているか
②貯金が半年から1年間生活できるだけ貯まっているか
③今の職場に迷惑がかからないか
④健康上に問題はないか
⑤独立後の生活がイメージできるか
⑥家族の理解を得られているか
⑦必要な手続きが理解できているか
正社員からフリーランスになる最適なタイミングは人それぞれで、絶対的な正解は存在しません。特定の時期に独立したからと言って、それが必ずしもフリーランスとしての活動に有利とは限らないからです。
それでも重要なのは、しっかりと準備をすることです。具体的には、スキルアップ、経済的な準備、確定申告についての知識習得、営業能力の向上などが挙げられます。これらの準備を行うことで、フリーランスとしてスムーズにスタートを切ることができるでしょう。
逆に準備が不十分な状態でフリーランスになってしまうと、予想外の困難に直面することもあります。これらの事態を避けるためにも、準備段階を軽視せずに、じっくりと時間をかけて独立の準備を進めていくことがおすすめです。
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