フリーランスが法人化するメリットは?検討すべきタイミングや注意点も合わせて紹介

近年、労働環境の変化に伴い会社に所属することなくフリーランスで自由に働きたいと考えている方も増えてきています。
IT関連の仕事においては人材不足の影響もあり、フリーランスに対する需要は高まってきているため、フリーランスを目指すのであればチャンスは大きいでしょう。

フリーランスを目指す方の中には、法人化するべきか検討している方もいるのではないでしょうか。ただ、法人化のメリットやタイミングを具体的にイメージできていない方も多いでしょう。

そこで、今回は「フリーランスと法人の違い」から「フリーランスが法人化するメリット」「フリーランスが法人化するデメリット」「フリーランスが法人化すべきタイミング」「フリーランスが法人化する手続き方法」などフリーランスが法人化するメリットについて解説していきます。

法人化を検討したいけれど知識がなくて不安だと感じている方はこの記事を最後まで読んで、ぜひ参考にしてください。

  • 法人化とは
  • フリーランスと法人の違い
  • フリーランスが法人化するメリット
  • フリーランスが法人化するデメリット
  • フリーランスが法人化すべきタイミング
  • フリーランスが法人化する手続き方法

これからフリーランスエンジニアとして独立をしたいと考えている人は「【決定版】フリーランスになるには?必要な手続きや準備」や「【6ステップ】フリーランスエンジニアになるには?」をぜひ読んでみてください。

フリーランスエンジニアになる前に準備しておくことや必要なスキルから、独立した後の成功の秘訣や案件獲得方法についてまで、独立前に知っておくべきことの全てをまとめてあるので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

法人化とは

法人化とは、フリーランスの方が自身の事業を法人として設立することを指します。つまり、フリーランスの方が法人化をすることで、法人格を持つ企業として事業を行うことになります。

法人化すると個人と法人の資産が分離されるため、個人資産の保護や、融資や契約などがしやすくなるなどのメリットがあります。また、消費税の支払いや源泉徴収税などが法人側で行われるため、個人としての納税手続きが減り、税務申告の手間が省けるといったメリットもあります。さらに、法人化することで事業を拡大しやすくなる場合があるため、経営戦略の1つとしても注目されています。

フリーランスと法人の違い

フリーランスと法人は、それぞれ会社に所属せずに独立した働き方をすることができる方法です。それでは個人事業主であるフリーランスと会社形態である法人には具体的にどのような違いがあるのでしょうか。以下では、手続きの違いや税金、経費の違いについて解説します。

手続きの違い

フリーランスと法人のどちらも、働き始める際には書類を届け出る必要があります。フリーランスの場合は、個人事業主として自分で所轄の税務署に届け出を行います。一方で法人の場合は、商業登記簿に登記する必要があります。また、設立時の手続きだけでなく、後日の定款変更や株主総会の開催などの手続きが必要になることもあります。

税金や経費の違い

フリーランスは、所得税や消費税を個人で納め、自己負担で社会保険料を払う必要があります。一方、法人だと法人税や事業税を企業として納め、社会保険に加入することができるという違いがあります。

また、経費の扱いも異なります。フリーランスは、必要な経費を個人で支払うことになりますが、法人の場合は会社が経費を負担することができます。経費の範囲もフリーランスよりも広くなるケースが多いでしょう。

以上のように、フリーランスと法人では手続きや税金、経費の扱いに違いがあります。自分に合った働き方を選ぶためにも、それぞれの特徴を理解することが大切です。この後で詳しく説明しますので、気になる方はぜひチェックしてみてください。

フリーランスが法人化するメリット

フリーランスとして活動することは自由で魅力的ですが、その一方で様々な課題もあるのが現状です。それらの課題を解決するために法人化することは1つの選択肢といえるでしょう。

以下で法人化するメリットをいくつか紹介しますので、法人化を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

社会的に信用されやすい

法人は、個人事業主と比較して信用されやすいとされています。法人化することで、取引相手や顧客に信頼性の高いビジネスパートナーであることが認知され、仕事を受注しやすくなる可能性もありでしょう。

特に、大企業との取引においては法人であることが前提となるケースも多く、大企業との取引を検討しているフリーランスの場合、法人化することでビジネスチャンスが広がる可能性があります。

社会保険に加入できる

前述したように、法人になると社会保険に加入することができます。健康保険や厚生年金保険などへの加入が可能になるため、今後社員を採用する可能性がある場合は法人化しておくことで働く環境を整えることができるでしょう。

消費税の支払いを最大2年間免除できる可能性がある

法人になると、消費税の支払いを最大2年間免除できる可能性があります。事業が安定するまで、消費税の負担は会社の経営を逼迫するケースも考えられます。

フリーランスとして消費税の支払いを苦痛に感じている方は、法人化することでメリットを享受できるでしょう。

役員報酬や退職金を経費にできる

法人になると、役員報酬や退職金などを支払うケースも出てきますが、これらは経費として認められる場合があります。きちんと手続きをすることで税金負担を大きく軽減できますので、確実に経費計上できるように準備を怠らないようにしてください。

経費の範囲が広がる

法人はフリーランスよりも経費の範囲が広がる可能性が高いといえるでしょう。例えば、フリーランスだと認められなかった分の交際費や旅費、家賃や通信費などが経費として認められるようになるため、節税効果が期待できます。

決算期を選べる

フリーランスの場合は、毎年決められた時期に確定申告を行う必要がありますが、法人化すると自由に決算期を選ぶことができます。決算期によって税金の納付時期や確定申告の期限が異なるため、自身に合った決算期を設定することで税金の負担を抑えることができます。

節税効果が期待できる

法人化することで、個人として納める税金よりも法人として納める税金の方が割安になる場合があります。また、法人化することで税金の控除や減税の対象となることがあります。税理士や公認会計士などに相談して、最適な節税方法を見つけられると良いでしょう。

有限責任にできる

フリーランスとしてビジネスを行う場合、自身がビジネスに関連する借金や紛争に直接責任を負うことになります。一方、法人化することで、事業が債務超過に陥った場合でも個人資産が保護される有限責任に変更することができます。これは、個人の信用情報が損なわれることを防止するためにも重要です。

欠損金の繰越控除期間を延長できる

法人化することで、欠損金の繰越控除期間を延長することができます。つまり、事業で損失を被った場合でも、その損失を次の年度以降に繰り越し利益が出た際に控除することができます。

消費税が免除される可能性がある

法人化すると事業者免税点制度によって、消費税の支払いが最長2年間免除できる可能性があります。資本金1,000万円未満の法人の場合、法人化から2年間は免税事業者として、消費税の支払いを免除することができます。

また、法人化から2年以上経過していても前々年、もしくは前々事業年度の課税売上高が1,000万円以下の場合は、その課税期間において免税される仕組みになっています。

助成金をもらえる可能性がある

フリーランスの場合、助成金を受け取ることは難しいですが、法人化することで、助成金の対象となる可能性があります。

例えば、女性や障害者の雇用促進、新規事業の創出、環境保護などの分野で、様々な助成金が提供されています。法人化するのであれば、助成金をもらえる可能性がないか一度調べてみることをおすすめします。

フリーランスが法人化するデメリット

ここまではフリーランスが法人化するメリットについてお伝えしてきましたが、法人化にはデメリットも存在します。ここではデメリットについて詳しく説明するので、法人化を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

設立の手続きに時間とお金がかかる

フリーランスが法人化するためには、会社の設立手続きが必要です。法人設立に必要な書類や手続きをすべて自分で行う場合は、手間や時間がかかるでしょう。また、代理店や弁護士を利用して手続きを行う場合、多額の費用がかかることもあります。

個人事業主の手続きよりも時間とお金がかかることを覚悟して法人化の手続きをするようにしましょう。

毎月の給与が固定される

法人化すると、役員や従業員に対して給与を支払う義務が発生します。この給与は毎月決まった金額が支払われるため、売上が不規則な場合は給与を支払うこと自体が困難になる場合もあります。長期的に給与を支払い続けることが可能な経営状況なのか判断した上で法人化を検討するようにしましょう。

社会保険料への加入が必須になる

法人化すると、役員や従業員に対して社会保険料を支払う必要があります。このため、法人としての社会保険料負担と個人の社会保険料を加味すると、総じて社会保険料の負担が増えることがあります。

赤字でも税金を支払う義務がある

法人化すると、法人としての所得に対して法人税を支払う必要があります。法人が赤字の場合でも法人税を支払う必要があるため、経営が厳しくなる可能性があります。

少なくとも数年間の事業計画を立てた上で、黒字が見込めることを確認して法人化できると安心ですね。

役員報酬は簡単に変更できない

法人化すると、役員報酬は決算後に配分されます。このため、年間を通して役員報酬が変更できないことがあります。そのため、フリーランスが法人化する場合は、事業の収支予測をしっかりと行い、役員報酬を設定する必要があります。

事務手続きが煩雑になる

フリーランスが法人化する場合、法人としての事務手続きが必要になります。例えば、毎月の給与計算や源泉徴収、決算書作成、確定申告など、煩雑な手続きが発生することがあります。また、法人は役員報酬や配当金に対して源泉徴収を行わなければならず、個人事業主の場合と比較して、手続きや書類作成に時間や労力がかかる可能性があります。

このような手続きや書類作成を自分で行うのが困難であれば、専門家に依頼する必要があるでしょう。

登記のための場所が必要になる

さらに、法人化する場合は登記のための場所が必要になります。個人事業主として自宅で業務を行っている場合には、法人の登記に使用する住所を別に確保する必要があるでしょう。これには法人利用が可能な物件を探す必要があるため、費用がかかる可能性があります。

フリーランスが法人化すべきタイミング

フリーランスの法人化のタイミングは、一定の売上額を安定して超える場合が適しているといえるでしょう。具体的には、売上高が1,000万円を超えた場合、または課税所得が900万円を超えた場合が挙げられます。

売上高が1,000万円を超える

前述したように、課税売上高が1,000万円を超える場合、その年の2年後から消費税の納税義務が発生します。法人化することで消費税の支払いを最大2年免除できるため、課税売上高が1,000万円を超えた年の2年後に法人化すると、消費税の納税義務を2年分先送りにすることができるでしょう。

課税所得が900万円を超える

個人事業主の場合に課税される所得税は累進課税制度によって、所得が高ければ高いほど税率が高くなる仕組みになっていますが、一方法人税の税率は年800万円超の所得で最大23.2%となっており、これ以上高くなることはありません。(令和5年3月時点)

課税所得が900万円を超えると、所得税の税率が23%から33%に引き上がるため、課税所得が900万円を超える方は所得税より法人税の方が安く済むため、法人化をすることで節税効果が期待できるでしょう。

また、課税所得が900万円以下の場合も、金額や条件によっては法人税の方が安く済むケースもあるため、自身の課税所得の場合の所得税と法人税を計算してみることをおすすめします。

フリーランスが法人化する手続き方法

ここまで読み進めて実際に法人化を検討するフリーランスの方もいるでしょう。次は、フリーランスが法人化する際の実際の手続き方法について説明します。

司法書士に相談

フリーランスが法人化する際、まずは司法書士に相談することが重要です。司法書士は法人設立に必要な手続きや書類の作成をサポートしてくれますし、相談内容によっては、税理士や社会保険労務士などの専門家を紹介してくれることもあります。法人化にかかるコストや手続きの流れ、所要期間など全体を把握するためにも、まずは司法書士に相談すると良いでしょう。

設立登記の申請

法人化するためには、まずは設立登記の申請が必要になります。設立登記に必要な書類や手続きは、司法書士がサポートしてくれるでしょう。登記の際には、法人の名称や目的、代表者の氏名や住所、資本金額などを記載する必要があるので、あらかじめ考えておけると良いですね。設立登記が完了すると法人格が発生し、法人としての活動が可能になります。

法人口座の開設

法人化すると必要になるのが、法人専用の銀行口座です。個人口座とは別に開設され、法人としての収支や資金管理を行うために利用されます。法人口座を開設するためには、設立登記を完了させておく必要がある場合もあるので、設立登記をした後で法人口座の開設を進めるようにしましょう。

役員報酬の決定

次に、役員報酬を決めましょう。役員報酬は、役員に支払われる給与として経費することができます。ただ、一度設定した報酬金額は事業年度が終わるまで変更できないため、売上予測を立てた上で、税理士や社会保険労務士などの専門家のアドバイスを受けると良いでしょう。

経費になるからと高く設定しすぎてしまうと、売上が下がった時に苦しくなってしまったり、毎月の社会保険料が高くなってしまったりというデメリットが発生することに注意が必要です。

諸官庁への届け出

法人化すると諸官庁への届け出も必要になります。例えば、国税庁への法人税の申告や社会保険庁への社会保険の加入申請、労働局への労働保険の加入申請などがあります。これらは、設立登記とは別に行わなければならないので忘れずに行いましょう。届け出には書類の提出や手続きの期限などの細かなルールがあるためスケジュールに余裕を持って手続きを進めるようにしましょう。

資産と債務を移行する

フリーランスが法人化する場合、個人名義であった資産や債務を法人に移行する必要があります。具体的には、銀行口座や不動産、債務などを法人名義に変更することが必要です。また、移行に伴って手続きや費用が発生することもあります。手続きは複雑になるケースが多いので、事前に司法書士と相談して進めると良いでしょう。

顧問税理士と契約締結

法人化した場合、確定申告や帳簿管理などの税務手続きが必要になるため、顧問税理士を雇うことが一般的です。顧問税理士は、法人の業務内容や規模に合わせて、税務に関するアドバイスや手続きをサポートしてくれます。費用や契約内容などを鑑みて適切な顧問税理士との契約を進めましょう。

事務所の決定

法人化するにあたり、法人利用が可能な物件を事務所として登記する必要があります。これまで自宅を職場にしていたフリーランスの方で法人利用が不可の場合は、新たに事務所を確保する必要があるでしょう。

業種や業務内容に応じて、自分の仕事に最適な場所を選ぶことが大切です。

資本金の設定

法人化するにあたり、資本金の設定も必要不可欠です。資本金は、株主や投資家が会社に出資したお金のことを指しますが、フリーランスが法人化する場合は自己資金を投資することになるケースがほとんどでしょう。

1円から設定することが可能ですが、ビジネスでは資本金が多いほど会社の信用が得られやすいという傾向があるため、適切な資本金を設定するようにしましょう。資本金は会社が成立する前に全額を納める必要があるため、自己資金を投資する場合は納金の準備も忘れないようにしてください。

まとめ

このページでは、「フリーランスと法人の違い」から「フリーランスが法人化するメリット」「フリーランスが法人化するデメリット」「フリーランスが法人化すべきタイミング」「フリーランスが法人化する手続き方法」などフリーランスが法人化するメリットについて解説しました。

全てのフリーランスが法人化に向いているわけではないため、それぞれのメリットとデメリットを踏まえて、自分のスキルやキャリアプラン、働き方に合った選択をすることが大切です。

このページの情報を参考に自分にあった働き方を見つけ、フリーランスとしてのキャリアを充実させていきましょう!

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