・税金について詳しくないけど節税できるの…?
・フリーランスとして、できるだけお金を残したい…。
フリーランスになっったら、税金対策を知りたい人もいるのではないでしょうか?
最初に言ってしまうと、フリーランス向けの節税対策は多く、活用すれば年間の税金を数万円~数十万円抑えられます。
そこで今回は、フリーランス向けの節税対策を紹介します。記事の終盤には「節税と脱税の違い」も解説してますので、税金関連を学びたい人も必見です。
フリーランスの税金は会社員と比べて支払う割合が多い
とくに違いが出るのは「健康保険料」と「年金保険料」です。
健康保険組合に加入している会社で働いている人は、会社と折半するため負担額は半分で済みますが、フリーランスは全額自己負担です。
よって、会社員と比べてフリーランスの方が、支払う割合が多いといえます。
フリーランスは会社員と比べて、税金を抑えやすい
フリーランスは会社員と比べて、税金を抑えるための制度が、たくさん用意されています。
しかし、制度の種類が多くても知らなければ活用できません。
今回は、3つの項目に分けて紹介しています。利用できそうな節税方法があれば、どんどん活用しましょう。
フリーランスが税金を抑える時にチェックしたい項目
ここからは、実際にフリーランスが税金を抑える時に、チェックすべき項目を紹介します。
経費
経費とは、事業の活動で発生した費用のことです。
経費を増やせば、所得が減ります。所得が減れば税金も減るため、節税につながるのです。
しかし経費といっても、いろいろな種類があります。
代表的な費用を見てみましょう。
旅費交通費
旅費交通費は、出張で発生した宿泊費や交通費などのことです。
これらの内容が、旅費交通費に含まれます。
- ホテル代
- 電車代(定期も含む)
- 航空券代
- ガソリン代
- 高速道路代
会議で遠方へ行ったり、取材で動いたりすることが多い人は、旅費交通費を活用すると、節税できます。
ただし、プライベートと仕事が一緒になってる場合は、按分してなければなりません。按分とは、プライベートの費用と経費を分けることです。プライベートの費用は経費の対象外となるため、按分が必要となります。
下記のパターンに当てはまっている時は、按分が必要です。
- 仕事をしつつ、プライベートの観光をした
- 定期券を買ったが、プライベートでも使用している
- 回数券の一部をプライベートで使用している
上記の内容は、プライベートの時間と仕事の時間が混ざっているため、按分の対象です。
旅費交通費を按分時は、時間を基に按分するケースが多いです。
実際に例を見てみましょう。
この場合、仕事の時間が50%を占めています。
そのため、経費として計上できる旅費交通費は、5000円の可能性が高いです。
しかし、按分にはハッキリとしたルールが定められていません。
税務署員に説明して納得してもらえそうな金額の、按分を心掛けましょう。
会議費
会議費は会議で発生した費用のことです。
これらの項目が、会議費に含まれます。
- 会議室のレンタル料金
- 会議資料の作成で発生したプリント代やインク代
- 会議の時に配ったお菓子や食事代
上記内容のものが、会議費に含まれます。
ただし、お菓子や食事代の金額には気を付けてください。高すぎると、会議費として認めてもらえない場合があるからです。1人あたり3,000円以内で抑えておくのが妥当です。
なお、内容によっては会議費ではなく「接待交際費」での計上もできます。「居酒屋で仕事の話をした」、「クライアントをBARへ連れて行き、仕事の打ち合わせをした」といったケースです。
もちろん、事業とかけ離れている費用は、経費として認められないため、ご注意ください。
減価償却費
減価償却費とは、固定資産の価値が下がった部分の金額を指します。
計上方法には「定額法」と「定率法」の2種類あります。
- 定額法
→耐用年数に応じて、毎年同じ金額の減価償却費を計上する
- 定率法
→償却率に応じて、減価償却費を計上する。計上額は毎年異なる
2つの方法があるものの、一般的には定額法で計算するケースが多いです。
せっかくなので定額法を例に、減価償却費の計算方法を見てみましょう。
この時の計算式は
(2000万円-2000万円×10%)÷10年
となるため、1年間の減価償却費は180万円です。
耐用年数は10年ですので、10年間は毎年180万円の減価償却費が計上できます。
その他に、減価償却費を計上する時は、このようなルールがあります。
①購入価額が10万円未満の固定資産は経費として一括計上できる
購入価格が10万円未満であれば、一括での経費計上が認められています。
10万円未満のパソコンや業務用のスマホ、中古自動車などといった形です。
この時は、減価償却費ではなく「消耗品費」で費用として計上します。
また、購入価額が10~20万円未満(一括償却資産)の場合は、3年間に分けて減価償却費を計上してください。
たとえば18万円のパソコンであれば、毎年6万円ずつ計上する形です。
特例として、認められています。
②少額減価償却資産の特例を使えば、購入価格30万円未満の固定資産は一括計上可
少額減価償却資産の特例を利用すると、購入価格30万円未満の固定資産を一括計上できるため、一期で減価償却費を増やしたい人にピッタリです。
ただし、この制度を利用する時には、いくつかの注意点があります。
- 青色申告対象者でないといけない
青色申告対象者のみに与えられているため、白色申告者の人は利用できません。
- 上限額が決まっている
少額減価償却資産の特例による減価償却は、1年間で300万円までと決まっています。
例を出して見てみましょう。
例. 帳簿価格22万円の固定資産を14個減価償却費として計上する場合
1~13個目→減価償却費として一括計上できる(22万円×13個=286万円)
14個目→300万円を超えるため、通常通り、数期に分けて減価償却しなければならない
このようなイメージです。
ただし、開業日~12月31日までの期間が1年未満の時は、月数×25万円が上限です。
仮に4月1日の開業であれば、確定申告までの期間は9カ月ですので、その年は225万円(25万円×9カ月)までしか、一括計上できません。
③減価償却費の計上方法を変える時は税務署の許可が必要
減価償却費の計上方法を、「定額法→定率法へ」というように、途中で変える人もいます。
しかし、計上方法を変える時は税務署の許可が必要です。自分で勝手に変えるのは許されません。
「減価償却資産の償却方法の変更の承認の申請」に記入し、最寄りの税務署へ提出します。
もちろん、認められなければ変更できません。
水道光熱費
オフィス代わりに利用している建物で発生した、水道光熱費の一部も経費として計上できます。
仕事中につけた電気やエアコン代、ストーブ代などは経費です。
按分するかは、その建物の扱いで変わります。
その建物が、完全にオフィスとしてのみ利用している場所であれば、水道光熱費は全て計上できる可能性が高いです。
しかし住居兼オフィスの場合は、プライベートで発生した水道光熱費が含まれているため、按分が必要となります。
たとえば電気代を按分する時は、仕事の時に使っていたコンセントの数や、時間、スペースなどを基に計算します。
フリーランスの中には、仕事をした時間や電気使用量などをエクセルにメモして、税務調査時に見せる人もいるようです。
支払家賃
住居兼オフィスとして使用している場合は、家賃の一部を経費として計上できます。
その他に、更新料や仲介手数料、礼金なども一部経費として扱えます。
この場合は、仕事場として使っている時間やスペースを基に按分するのが基本です。
具体例を見てみましょう。
(5万円×50%×12時間)÷24時間=1万2,500円(計上できる1カ月分の支払家賃)
このように、具体的に数字を当てはめて計算しておけば、税務署員に納得してもらえる可能性が高いです。
もちろん、税務署員の中には自宅の間取りや、自宅に置いてある資料などを確認して、支払家賃が高すぎると言われることもあります。
その時は、修正に応じるのが基本です。
通信費
通信費とは、事業を経営する上で必要となった通信費用を指します。
具体的に、このような内容があります。
- インターネットの月額代金
- 携帯電話料
- 切手代
- はがき代
- ファックス代
これらの費用が、通信費に含まれます。
インターネットの月額代金や携帯電話代金も、プライベートと事業用で同じものを使っていた場合は按分します。
プライベートと仕事で使った時間を基に、計算してください。
諸会費
事業と関係する会費を払ってる場合は、諸会費と呼ばれる勘定科目を使います。
主な内容は、こちらです。
- 会計ソフトの会費
- 青色申告会の会費
- 商工会議所の会費
上記のような会費関連が該当します。
ただし諸会費の支払時期によっては、二期以上に分けて計上しなくてはいけません。
具体例を見てみましょう。
9~12月分の会費は当期分として計上できます。
しかし、1~8月分の会費は、次期に繰り越さなければいけないため、仕訳ではこのような形で処理します。
(借方)諸会費1万円 (貸方)現金3万円
前払費用2万円次の年になったら、前払費用を諸会費に振り替えます。
(借方)諸会費2万円 (貸方)前払費用2万円
諸会費では、1年間の会費を一括で払うパターンもあるため、前払費用への振替が必要か確認してから、会計処理をしてください。
青色申告特別控除
フリーランスは、青色申告特別控除も覚えておくべきです。
青色申告対象者にのみ与えられた特権で、多くの個人事業主が活用しています。
最大の特徴は、所得から最大で65万円控除されることです。所得が減るため、税金も減ります。
さらに、青色申告対象者は前述で紹介した「少額減価償却の特例」の利用も認められています。
ただし、青色申告特別控除を活用するには、開業届や青色申告承認申請書を提出したり、複式簿記での記帳を行ったりなど、いくつかの条件をクリアしなければなりません。
こちらの記事に、青色申告の条件が詳しく載っていますので、参考にしてみてください。
関連記事:フリーランスの青色申告の仕方を解説!概要・メリットとは?
所得控除
所得控除とは、所得額から差し引く金額のことです。
所得税や住民税の計算をする時は、所得から所得控除額を引いた数字を基に、税額が決まります。つまり、所得控除額が大きくなれば、所得税・住民税ともに安くなるのです。
ここでは、所得控除を3つ紹介します。
小規模企業共済掛金控除
小規模企業共済掛金控除の最大の特徴は、掛金を丸々所得控除に入れられることです。
つまり、掛金を大きくするほど所得控除額は増えます。
資金に余裕がある人は、掛金を増やすと良いでしょう。
ちなみに小規模企業共済掛金とは、廃業時に受け取るための積立金で、別名「経営者の退職金制度」とも呼ばれています。
掛金は月額1000円からで、それ以降は500円刻みで掛け金を決められます。
最大で、7万円まで設定可能です。
掛金が増えるほど、所得控除の額&受け取れる額が増えるため、一石二鳥の制度といえます。
社会保険料控除
社会保険料控除とは、1年間で支払った健康保険料と年金保険料が控除される制度です。
この制度でも、支払った額が丸々控除に含まれます。
しかし注意点もあります。
それは請求金額ではなく、支払った金額が控除されるということです。
たとえば、2019年に請求された健康保険料と年金保険料が20万円、内18万円支払っていた場合だと、その年の控除額は18万円です。
残りの2万円は、支払った年の確定申告で所得控除に計上することになっているため、ご注意ください。
医療費控除
医療費控除とは、医療費の一部を所得控除に含められる制度のことです。
年間の医療費が10万円を超えている人が対象で、10万円を超えた部分のみ所得控除扱いされます(対象外アリ)。
たとえば、対象となる医療費が年間で15万円だった場合は、5万円を医療費控除に入れられます。
ちなみに医療費控除には、このようなものが対象です。
- 診察費
- 処方箋
- ドラッグストアや薬局で購入した医薬品や医薬部外品
- (医療費控除対象の診察で)病院へ行くためにかかったバス代や電車代
上記で挙げた内容の年間支払額が10万円を超えたら、医療費控除として計上できます。
セルフメディケーション税制も大事!
年間の医療費が10万円を超えない人は、医療費控除の特例として「セルフメディケーション税制」を利用できる可能性があります。
これは、ドラッグストアや薬局などで購入した対象商品の金額が、年間で1万2,000円を超えた分に対して適用される税制です。
仮に、年間の購入費が5万円だった場合は、3万8,000円がセルフメディケーション税制として、丸々控除されます。
病院での医療費や処方箋代は含まれませんが、ドラッグストアなどで薬などを買う機会が多い人は、覚えておいた方が良いです。ただし、医療費控除とセルフメディケーション税制は併用できません。
節税と脱税は違う
節税だと思ってやったことが、実は脱税になっている場合もあります。
節税とは、法律を守って税金を安くすることです。
一方、脱税とは法律を守らず不正に税金を抑えることです。
脱税だと認定されると加算税が発生し、本来払うべきだった税金の以上の金額を請求されます。
ちなみに加算税には4段階あり、悪質性が高くなるにつれて、加算率も上がっていきます。
- 過少申告加算税(加算率が最も低い)
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税(加算率が最も高い)
人によっては、本来払う予定だった税額の40%以上加算されます。
締切日までに払えない場合は、延滞税も追加されるため、相当重いペナルティを受けることになるでしょう。
最後に、脱税のパターンを説明します。
架空の経費を計上する
発生していない経費を、あたかも発生したかのように計上した場合は脱税です。
架空の経費を計上する手法として、このようなパターンがあります。
領収書の偽造
領収書に書いてある金額を変えたり、発生していない経費を勝手に領収書に書いたりするパターンは、この内容に当てはまります。
タチが悪くなると、領収書を渡した店側に「金額をごまかしてくれ」、「正規の領収金額を1ケタ増やしてくれ」などと言って、不正を分かりにくくする人もいるようです。
しかし、店に税務調査が入ったり店主が白状したりするとバレます。
税務署も、いろいろなパターンの領収書偽造を見てきているため、隠し通すのは難しいです。
出金伝票による経費の水増し
出金伝票を不正に発行して、経費の水増しをするパターンもあります。
出金伝票とは、現金で支払った経費を計上する時に使う伝票で、領収書が発行されない時に使うことが多いです。
電車代やバス代、香典費など、領収書が発行されない費用の時に用いられます。
これを悪用し、出金伝票を発行して経費を不正に計上する人もいるのです。
ペーパーカンパニーとの取引
ペーパーカンパニーとは、企業としては存在するものの、一切事業を営んでいない会社のことです。
事業の実態がない会社から受け取った、領収書を経費として計上するのは違法です。
なぜなら、事業の実態がないから。実在しない業務の領収書を、経費にしたということで「脱税」になるのです。
事業と関係しない費用を経費にする
事業と関係しない費用を経費にするのも脱税です。
たとえば、こんなパターン。
- プライベートの飲み会なのに経費にした
- プライベートで着る服の購入代を経費にした
- 自宅兼事務所として使っている建物なのに、全ての費用を経費にした
つまりプライベートの費用を経費にしたら、脱税扱いされるということです。
経営者の中には、飲食代を全て経費にしている人もいますが、事業に関係しない飲食代は対象外です。
仮に、仕事の会議で飲食代が発生したとしても、常識を超えた金額の計上は認められません。
飲食代の経費計上は、1人あたり3~5000円程度が、限界だと思った方が良いでしょう。
売上を減らす
売上を減らす行為も脱税です。
2つのパターンを見てみましょう。
パターン1:売上を隠す
本来あった売上を過少に申告し、残りの売上を隠すパターンです。
飲食店など、お客様から現金で受け取ることが多いフリーランスに多く見られます。
また、口座振り込みで売上を受け取っているフリーランスの中にも、隠し口座を作って売上を隠す人もいるようです。
パターン2:売上を来期に回す
売上の一部を来期に回せば、今年度の利益が減るため、支払う税金も少なくなります。
しかし、売上は発生した年度に計上するルールですので来期に回す行為は脱税です。
ただ、なかには売上が立った年と入金の年が違った時に、売上をどの年に計上すべきか疑問を感じる人もいるでしょう。
その時は、売上が立った年に計上します。
たとえば、2019年12月に売上げて、2020年1月に入金された取引であれば、2019年の売上になります。
まとめ
フリーランスにおすすめの節税方法を中心に解説しました。
まとめると、こちらです。
①経費を増やす
②青色申告特別控除の利用
③所得控除額を増やす
①経費の水増し
②事業と関係ない費用を経費として計上する
③売上を減らす
節税を意識すれば、税額も減るため手元に残るお金を増やせます。
節税と脱税は、似て非なるものです。ルールを守って、確定申告をしてください。