・秘密保持契約書を交わす理由は?
・フリーランスが安易に結んでいい契約か分からない…。
「秘密保持契約書」は別名「NDA」とも呼ばれています。聞き慣れない人もいるでしょう。
全てのクライアントが用意している書類ではないものの、業務契約を結ぶ時に交わすこともあるため覚えておいた方が良いです。とは言っても、何も考えずに契約を交わすとご自身の事業に支障をきたすことがあります。
そこで今回は、秘密保持契約書の概要、取り交わす目的や結ぶ時のチェックポイントを中心に見てみましょう。
秘密保持契約書って何?
秘密保持契約書とは、クライアントがワーカーへ提供した情報を外部へ漏らしたり、悪用したりすることを防ぐために結ぶ契約書のことです。
クライアントはワーカーへ仕事を任せる時に、どうしても自社の情報を伝えなければいけないケースがあります。たとえば「自社商品の開発」「自社での仕事の進め方」など、色々なものが存在します。しかし、これらの情報の中には他社へ漏れてはいけないものもあります。企業情報が外部に漏れてしまうと、競合他社に市場を奪われたり、自社の売上が減ったりして、会社に多大な損失を与える恐れも…。企業からすると、たまったものではありません。
そこで登場するのが「秘密保持契約書」です。万が一、受注側が企業内部の情報を漏洩して発注側に損失を与えると、損害賠償請求や契約解除の対象となる恐れも…。そのため、秘密保持契約書を結んだら情報を漏らしてはいけません。
ちなみにフリーランスが秘密保持契約書を交わす時は「業務委託契約書」も提出しなければならないことが多いです。業務委託契約書の内容は、こちらの記事に載っていますので参考にしてみてください。
秘密保持契約書を結ぶ時のチェックポイント
ここでは秘密保持契約書を結ぶ時のチェックポイントを3つ見てみましょう。
秘密保持の対象内容
「自社の製品やサービスについて漏らしてはいけない」というように、秘密保持の対象となる内容が明記してあります。つまり企業内部の情報でも、秘密保持の対象ではない情報もあるということです。
しかし秘密保持対象外の情報であったとしても、漏洩するとクライアントに迷惑をかけてしまいます。そのため、対象外の情報も漏洩しないようにしましょう。
秘密保持の対象期間
秘密保持を守らなければいけない対象期間も見ておきましょう。たとえば「契約を結んだ日より2年間」などと書いてあります。「2,3年」程度で設定されることが多いです。
秘密保持契約書を結んでトラブルになることもある
秘密保持契約書を結んで、フリーランスがトラブルに巻き込まれる場合もあります。
ここでは、どのようなトラブルに発展する恐れがあるか見てみましょう。
他のクライアントへ実績を紹介できない
フリーランスが新規案件を獲得するための営業をする時に、過去の実績を提示することもあるでしょう。しかし秘密保持契約書の対象になっているものについては、自身が制作に携わったとしても、許可なく外部へ公表することは許されません。
秘密保持契約書は、極端に言えばクライアントの情報を漏らしてはいけない契約です。クライアントによっては、制作に携わったことすら伝えてはならないと言ってくることもあります。それが足かせとなり、営業活動に支障をきたしてしまうのです。
賠償金を請求される
外部に情報を漏らした結果、クライアントに多大な被害を与えてしまい損害賠償請求されるケースです。被害の規模によっては、何千万円・何億円単位の損害額を請求されます。
フリーランスの中には、損害賠償請求によって廃業に追い込まれる人がいます。したがって、業務上知り得た情報は喋らないようにしましょう。
秘密保持契約書を結ぶ時の注意点
秘密保持契約書を結ぶ時の注意点は、自身の事業に支障をきたさない内容か確認することです。
さきほども話しましたが、過去の成果物を実績として公表できない場合、自身の営業活動に悪影響を及ぼします。提示できる成果物がない場合、営業先からの印象が悪くなることも…。そのため目先の利益ではなく、1,2年先のことも頭の中に入れてから契約を結びましょう。
まとめ
秘密保持契約書について紹介しました。
まとめると、こちらです。
①秘密保持の対象内容
②秘密保持の対象期間
①他のクライアントへ実績を紹介できなくなる
②賠償金の請求
秘密保持契約書はただ結べば良いわけではありません。秘密保持を契約した結果、事業に支障をきたす恐れがあるため慎重に契約を結んだ方が良いです。
経済産業省のホームページには、秘密保持契約書のひな型が載っています(参考:経済産業省)。内容が不安な人は、そちらの情報も参考にしながら契約を交わしてみてください。
※本記事の情報などは2020年9月現在の内容です。