住民税とは!?フリーランス向けに計算方法や支払方法を紹介

・住民税とは
・フリーランスはどうやって住民税を支払ったら良いのか
・住民税額の計算方法とは

フリーランスの中には、住民税の計算方法や支払い方に関して不明点や不安を抱えている人もいるでしょう。周囲に相談できる状況でない場合もあるかもしれません。特に新たにフリーランスとして活動を始めたばかりの人たちにとって、住民税に関する仕組みや支払い方法は分かりにくいこともありますよね。

この記事では、住民税の概要を詳しく解説し、計算方法や支払い方法などについても紹介します。これにより、住民税に関する不安や疑問を解消し、確定申告に臆せず取り組む手助けとなるでしょう。

そもそも住民税って何?

住民税と聞いたことがあるものの、どのような税金か知らない人もいると思います。

はじめに、住民税の概要や特徴を見てみましょう。

住民税とは、都道府県民税と市区町村民税を合わせた税金

住民税は、都道府県民税と市区町村民税を合わせた税金の総称です。毎年度ごとに納税額が決まり、課税期間は通常、4月1日から翌年の3月31日までです。納税通知書は通常、6月に発送され、納税地は1月1日現在の登録住所になります。この税金は地方自治体に納められ、自治体の運営資金として活用されます。

納税額は所得割額+均等割額で決まる

住民税の納税額は、所得割額と均等割額の2つが合わさって決まります。

所得割額と均等割額の概要は、こちらの通りです。

所得割額

所得側額とは、前年1月1日~12月31日までの所得を基準に計算する税額です。

所得から所得控除額を引いた課税標準額に、税率をかけて計算します。

税率は10%のケースが多いですが、自治体によっては違う税率で計算しているようです(名古屋市など)。

計算する時の公式は、下記の通りです。

  • 所得-所得控除額=課税標準額
  • 課税標準額×税率-税額控除額=所得割額

仮に、所得が150万円、所得控除額が50万円、税率が10%、税額控除額が5万円だった場合は、

  • 150万円-50万円=100万円
  • 100万円×10%-5万円=5万円

となるため、年間の所得割額は5万円です。

均等割額

均等割額は、自治体によって設定された一律の金額で、納税者の所得に関係なく適用される税金です。例えば、福岡県福岡市の場合、市民税の均等割額が年間3,500円、県民税の均等割額が年間2,000円となっており、これらの均等割額を合計すると、年間で5,500円が均等割額として納められます。均等割額は、市町村や都道府県によって異なり、その地域の税制度に従って設定されます

住民税と所得税との違い

住民税の他に、所得税もあります。

なかには、住民税と所得税の区別が付かない人もいるのではないでしょうか。

しかし、これらの税金にはいくつかの違いがあります。

ここでは、住民税と所得税の3つの違いを見てみましょう。

税区分が違う

住民税は自治体へ納めるため「地方税」です。

一方、所得税は国が管轄している税務署に納めるため「国税」となります。

用いられる税率が違う

住民税と所得税における税率について、詳しく説明しましょう。住民税では、通常、所得割額を計算する際に10%の税率が一般的に適用されます。一方、所得税の計算においては、所得額に応じて異なる税率が適用される累進課税制度が採用されています。具体的には、「5%、10%、20%、23%、33%、40%、45%」の7つの税率が設定されており、所得が高いほど高い税率が適用される仕組みです。

この仕組みにより、所得が増加すると、それに応じて納税額も増えるため、高所得者は高い税率が適用されます。一方で、低所得者には低い税率が適用され、所得に比例して税金の負担が分かれることとなります。

累進課税制度は、所得の公平な課税を促進し、社会的な格差を軽減するための仕組みであり、多くの国で採用されています。税制改正などにより、税率が変更されることもあるため、最新の情報を確認し、適切に税金を計算し納付することが大切です。

参考:国税庁

計算方法が違う

住民税では所得割額と均等割額を合算した値で決まると言いました。

一方、所得税の公式は、このようになっています。

  • 所得-所得控除額=課税標準額
  • 課税標準額×税率(7段階のうちのいずれか)-課税控除額=所得税額

住民税よりも所得税の方が計算方法は簡単ですし、在住地による税額の違いもありません。

なお、税率と課税控除額の概要は、国税庁のホームページに載っていますので、ご覧ください。

住民税を支払う時期は会社員と異なる

住民税の納付方法について、会社員とフリーランスとで異なる点があります。会社員の場合、通常は毎月の給料から住民税が天引きされ、納付書による支払いは必要ありません。このため、手続きを自身で行う必要はありません。

一方、フリーランスの場合は、住民税の支払い方法が異なります。通常は、自治体から送付される納付書に基づいて住民税を支払うことになります。支払い期限や分割払いのオプションについても納付書に記載されています。したがって、フリーランスは自身で支払い手続きを行う必要があります。

支払い方法や期限については、自治体によって異なることがあるため、確定申告後に送付された納付書をよく確認し、指示に従って住民税を支払うことが重要です。納期を守り、正確に支払いを行うことで、滞納や遅延によるペナルティを防ぎ、納税義務を果たすことができます。

副業でフリーランスの活動をしている場合は納税方法を選べる

フリーランスの中には、会社員で働きながら副業として活動中の人もいるでしょう。

その場合、納税方法は2つあります。

ここでは、2種類の納税方法を見てみましょう。

特別徴収(会社で天引してもらう)

特別徴収とは、会社員とフリーランスとしての収入を合算し、住民税を会社で天引きしてもらう支払方法のことです。この方式では、会社が従業員の給与から住民税を天引きし、自治体に納付する役割を担います。特別徴収を選択することで、フリーランスとしての収入に関しては、個別に住民税を支払う手続きを自身で行う必要がありません。

ただし、特別徴収の利用にはいくつかのポイントがあります。一つは、副業やフリーランスとしての収入がある場合に、その収入を含めた合算額を基にして住民税が天引きされることです。これにより、フリーランスとしての収入も会社の給与から天引きされ、自身で別途住民税を支払う必要がなくなります。

ただし、この方式にはフリーランスとしての収入が経理担当者や会社に知られる可能性がある点に留意する必要があります。特別徴収を利用することで、会社と個人の収入が合算されるため、経理担当者は全体の所得状況を把握することになります。したがって、フリーランスとしての収入についても一定の情報が会社内で共有されることになります。

普通徴収(自分で納付)

普通徴収とは、住民税を自身で納付する方法の一つです。この方式では、住民税を自分で計算し、自治体に納付する手続きを行います。通常、会社からの給与からは住民税が天引きされず、給与から天引きされるのは所得税のみです。そのため、住民税の納付は個人の責任となります。

普通徴収を選択する場合、副業やフリーランスとしての収入についても、自身で住民税を計算し、納付する必要があります。この方法を選ぶと、会社に副業やフリーランスとしての収入がバレない利点があります。会社からは給与天引きされた所得税のみが分かり、住民税の支払い情報は会社に共有されません。

一方で、普通徴収にはいくつかのデメリットも存在します。まず、特別徴収と比べて手間がかかる点が挙げられます。自分で住民税の計算と納付手続きを行わなければならないため、手続きに時間と労力を要します。また、支払い漏れや期限の忘れが起こりやすいというリスクもあります。ただし、一部の自治体ではクレジットカードやキャッシュレス決済を利用できる場合もあり、ポイントを貯める機会としても活用できることがあります。

住民税を延滞すると、どうなるか?

住民税を延滞すると、納税者にとって不都合なことが起こる場合も…。

ここでは、実際に起こることを3つ紹介します。

役所から書面が届く

延滞すると、自治体からの通知が届くことがあります。通常、初回の通知は支払いが確認されていない旨を優しく伝えるものです。しかし、この通知を無視したり、放置したりすると、督促状や最終通告などの厳しい内容の通知が届くことがあります。自治体によって通知の内容や名称は異なりますが、支払い督促の段階が進んでいることを意味します。

さらに、通知を無視し続けると、自治体の担当者が訪問したり、電話で連絡を取ろうとすることもあります。このような状況は避けるべきであり、延滞が続かないように支払い期限を守るか、支払い困難な場合は自治体に早めに相談することが重要です。自治体は支払いの相談に対して柔軟な対応を行うことがありますので、適切な対処をすることでトラブルを避けることができます。

延滞税がかかる

延滞税とは、住民税を支払い期限内に納めなかった場合に課される追加の税金です。支払期限を過ぎた日数が増えるほど、延滞税の額も増加していきます。住民税を数カ月または数年間滞納し、結局延滞税だけで数万円以上の追加負担を払うことになることもあります。余計な税金を支払わないためにも、住民税の納期限内に支払うことが大切です。適切な計画と予算を立て、滞納を避けるよう心がけましょう。

資産の調査が行われ、差し押さえられてしまう

住民税を納期限を過ぎて滞納すると、資産調査が行われ、場合によっては差し押さえが行われる可能性があります。差し押さえの際、給料から一部が天引きされたり、自宅に役所の職員が訪れて財産を差し押さえ、オークションに出品されることもあります。その後、差し押さえで得た金額が税金の支払いに充てられます。

差し押さえは生活に大きな影響を及ぼすことがあり、生活が不自由に感じることも考えられます。そのため、納期限を守り、滞納を避けることが重要です。滞納が不可避な場合でも、自治体との連絡を取り、支払い計画を相談することが賢明です。適切な対応をすることで、差し押さえを回避する可能性も高まります。

住民税を支払えない時の対応法

フリーランスは会社員と比べると収入が不安定であるが故に、住民税を支払えないケースもあります。

その場合は、今から紹介する3つの方法を実践すると、資産を差し押さえられずに済みます(一部例外アリ)。

ここでは、その方法を見てみましょう。

担当者に支払えないことを報告する

住民税の納期限までに支払えない場合、役所の職員に早めに報告しましょう。納付書に記載されている役所の収納課に電話で連絡をし、担当者と話をすることができます。もし電話番号が分からない場合は、役所の総合窓口に連絡をし、担当者につなげてもらいましょう。こうした対応をすることで、支払いの相談や猶予の申請を行うことができます。

いくらであれば支払えるか伝える

住民税を支払えない旨を伝えると、担当者から「いつまでに支払えるか」や「いくらであれば支払えるか」という話をされるので、自身で支払えそうな金額を提示してみましょう。

伝え方には、このようなパターンがあります。

  • 〇月〇日までであれば、全額支払えます。
  • 今週中に〇万円を支払って、来月末までに〇万円であれば支払えます。
  • 3回にわけてなら支払えます。

上記のように納税者側から、支払期日の延長申請や、分割払いの提案をできます。

その後、役所の担当者が承認すれば、あなたが提案した方法で支払えます。

新しい納付書を送ってもらい支払う

役所から届いた新しい納付書を利用して、コンビニや金融機関などで住民税を支払いましょう。納期限を守ることが非常に重要であり、納期限を過ぎると役所から一括請求される可能性があるため、必ず納期限内に納税しましょう。ただし、役所へ連絡してから支払う場合でも、本来の納期限を過ぎているため、延滞税が加算されることがあることに注意が必要です。延滞税を避けたい場合は、もともとの納期限で納税するよう努力しましょう。

所得額によっては住民税の免除がある

所得が低い人に対して、減免制度を設けています。

たとえば東京都中野区では、このような方々が住民税非課税となっています。

・1月1日現在、生活保護法による生活扶助を受けている方
・障害者・未成年者・寡婦・寡夫の方で、前年の合計所得が125万円以下の方
・前年の合計所得が、次の計算式により得られた金額以下の方
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の人数)+21万円
同一生計配偶者・扶養親族がいない場合の住民税がかからない限度額は、35万円。

出典:中野区

また、住民税非課税に該当していない人でも、所得割額が非課税となる場合もあります。

前年の総所得が、次の計算式により得られた金額以下の方
35万円×(本人・同一生計配偶者・扶養親族の人数) +32万円
同一生計配偶者・扶養親族がいない場合の所得割額がかからない限度額は、35万円。

出典:中野区

このように、所得が低い場合は住民税の減免が認められています。

ただし減免をする時は、自身で役所に申請をして、審査を通過しなければ認められませんので、ご注意ください。

まとめ

フリーランスが、住民税を支払う時の内容を紹介しました。

まとめると、このようになります。

✓住民税の概要
①住民税とは都道府県民税と市区町村民税を合わせた税金
②課税額は所得割額+均等割額で決まる
③会社員とフリーランスでは支払う時期が異なる
✓住民税を支払えない場合の対処法
①担当者に支払えないことを報告する
②いくらであれば支払えるか伝える
③新しい納付書を送ってもらい支払う

住民税の支払いは、国民の義務であり、支払えない状況になっても放置することは避けるべきです。支払えないと分かった段階で、役所の担当者に相談しましょう。ただし、役所の担当者への相談は、本当に支払えない場合に限られます。納期限内での支払いを最優先し、困難な状況になった場合には適切な対応を取るよう心がけましょう。

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