・貯金をするコツってあるの?
・自分は貯金が苦手…。
フリーランスへの転身を考えている人の中には、上記のように貯金の悩みを持つ人もいます。
「会社員よりも不安定だから、貯金は難しいのでは…?」と思う人もいるでしょう。
しかしフリーランスでも、コツをつかめば貯金できます。
フリーランスの中には、多額の貯金をしている人も存在します。
そこで今回は、フリーランスが貯金すべき理由、貯金の仕方を中心に見てみましょう。
フリーランスの中には、貯金できない悩みを持つ人もいる
ライフネット生命が2014年に発表した調査結果では、フリーランスの平均貯金額が約431万円、会社員が約359万円であることが分かっています(参考:ライフネットジャーナルオンライン)。
調査結果のみを見ると、フリーランスの方が平均貯金額は多いです。
しかし、フリーランスの中には貯金がほとんどない人もいます。
そのため、貯金の開きはフリーランス間で激しいと考えた方が良いでしょう。
フリーランスが貯金すべき5つの理由
ここでは、フリーランスが貯金すべき理由を具体的に見てみましょう。
仕事が0になる恐れがある
フリーランス歴がいくら長くても、仕事が0になる恐れはあります。
悪い評判が広まったり、病気で仕事を請け負えなかったりなど、最悪の事態にいつ襲われるか分かりません。
専門的なスキルを持っていても、クライアントに必要ないと思われた段階で、業務は終了です。
ときには、身に付けたスキルが役に立たなくなることもあります。
そのため、どのフリーランスも仕事が0になることは、あり得ると思った方が良いでしょう。
報酬が振り込まれない場合がある
業務が完了しても、報酬が振り込まれないケースがあります。
主な理由は、こちらです。
- クライアントへ伝えた振込口座が間違っていた
- クライアントへの請求書送付を忘れていた
- クライアントが振込むのを忘れていた
このように、いつイレギュラーが起こるか分かりません。
クライアントのなかには、報酬の振込依頼をしても「仕事が忙しい」、「あと1カ月後に振り込む」などと理由をつけて、なかなか振り込まない場合もあります。
フリーランスの資金額によっては、報酬の振込が数日遅れただけで、事業が回らなくなるかもしれません。
その状況を回避するためにも、貯金は必要です。
会社員と比べて税金の支払割合が大きい
会社員は、健康保険料や厚生年金保険料を会社と折半して払うため、単純に言えば50%の支払のみで済みます。
しかし、フリーランスは全額自己負担です。
よって会社員と所得が同一だった場合は、フリーランスの方が支払額は多くなります。
税金の支払で苦しむ個人事業主もいるため、貯金は大事です。
退職金がない
一部の会社員は退職金が支給されますが、フリーランスにはありません。
会社員のように退職金を生活に充てられない分、老後のことを考えて貯金をすべきです。
ただし、フリーランスにも退職金代わりになる制度はあります。
こちらの記事でも、退職金代わりになる制度を紹介してますので、ご覧ください。
会社員と比べて年金受給額が低い
会社員は厚生年金ですが、フリーランスは国民年金です。
老後に受給される1年間の年金額は、厚生年金を満額支払った人で100~300万円台、国民年金を満額支払った場合で、78万100円となります。
つまり、厚生年金加入者の方が受給額は多いのです。
フリーランスの中には、老後2,000万円問題のニュースが気になって、65歳までに2,000万円を貯めようと決意した人もいるでしょう。
とは言っても、ほとんどのフリーランスは2,000万円では足りません。
なぜなら、厚生年金加入者を基に計算された金額だからです。
国民年金加入者は厚生年金と比べて受給額が少ない分、もっと貯める必要があります。
しかもライフスタイルによって、老後で必要な金額は変わります。
そのため、老後2000万円を鵜呑みにしない方が良いかもしれません。
フリーランスの貯金の仕方を紹介
フリーランスの中には、貯金が苦手な人もいるでしょう。
そこで、ここからはフリーランスが貯金をするコツを5つのポイントに分けて紹介します。
目標貯金額を決める
目標貯金額は、無収入でも最低1年間は生活を送れる額が良いでしょう。
仮に毎月の生活費が15万円であれば「15万円×12カ月」で、目標貯金額は180万円です。
独立前の人は会社員時代に、独立した人も収入の一部を貯めて、目標貯金額に近付くように貯めましょう。
貯金額を控除した金額が収入だと考えて生活を送る
貯金額を控除した金額が収入だと考えて生活を送るのも大事です。
仮に1カ月間の収入が25万円のうち、4万円貯金する場合は、21万円が収入だと思って生活を送るということです。
収入が25万円だと思って生活を送ると、お金が足りなくなった時に貯金に手を付ける恐れがありますが、収入が21万円だと思えば、貯金に手を付けることはありません。
よって、貯金額が減ることもなくなります。
貯金専用口座を作る
貯金のみの口座を作れば、他の支払いデータが通帳に印字されないため、貯金額が明確に分かります。
引き落とさない限り貯金が貯まる一方ですので、モチベーションアップにも良いでしょう。
ちなみに貯金をする時は、一定期間引き出せない定期預金を利用するのがベストです。
引き出せない分、お金が貯まりやすいからです。
お金が足りなくなった時に引き出してしまう人には、ピッタリな方法といえます。
しかも、ほとんどの金融機関では普通預金よりも定期預金に預け入れた方が利率が高いです。
そのため、受取利息の額を少しでも増やしたい人にも、定期預金は向いています。
貯金額を定期的に確認する
貯金額を定期的に確認するのも忘れてはなりません。
口座に50万円貯金があると思っていても、実際は30万円しか貯金がなかったというように、想定外の事態に襲われる恐れがあるからです。
貯金額が想定より少なかった状態で独立の準備をした場合、資金繰りに失敗して廃業に追い込まれるかもしれません。
廃業後に、在籍していた会社へ戻りたいと思っても、退職届を出しているため、復職が認められない確率が高いです。
つまり、八方塞がりの状態になるのです。
「時すでに遅し」の状態にならないためにも、常日頃から貯金額を確認して、思い込みによるダメージを減らしましょう。
無駄遣いしている箇所を節約する
貯金できるお金がなければ貯められません。
無駄遣いしている場合は、毎月の出費を見直して節約することも大事です。
節約する時は、3つの観点からみると見直しやすいです。
プライベート費用の削減
買い物に行ったり外食をしたりと、プライベートで多額のお金を使う人もいるのではないでしょうか?
自分では浪費していないと思っても、フタを開けると相当浪費している場合もあります。
そのため、プライベートの費用を計算して、抑えられる場所を削りましょう。
「飲み会に週1回行ってる場合は、2週間に1回に減らす」、「1回の外食で毎回3000円以上使ってる場合は、2000円以下にする」というように、少し工夫するだけで数千円、数万円の節約になります。
金銭感覚が狂っている場合もあるため、必ず確認しましょう。
固定費の削減
固定費とは、毎月の支払額が変わらない費用のことです。
たとえば、このような項目があります。
- 家賃
家賃は、不動産業界で収入の2~3割程度と言われています。
その範囲を超える賃料を払っている人は、家賃が安い場所へ引越すのもアリです。
なかには、解約違約金を払ってでも賃料が安い物件へ引越す人もいます。
- 駐車場代
駐車場代も負担になっている場合があります。
仮に毎月の駐車料金が1万円だと、年間で12万円です。
自宅から1~2分程度歩いた場所の駐車場に変えただけで、安くなる場合もあります。
場所が少し変わっただけで、駐車料金が安くなるケースもあるため、探してみてください。
- インターネット代
毎月のインターネット代を抑えるのも効果的です。
仮に毎月4000円の費用を3000円に抑えれば、年間で1万2000円の節約となります。
契約内容を光回線からwi-fiルーターのレンタルに変えたり、契約プランを変更したりして、費用が安くなることもあります。
他メーカーの契約から乗り換えてくれた人に、キャッシュバックする業者もあるため、上手く活用するとプチボーナスがGETできるかもしれません。
変動費の調整
ここでいう変動費とは、毎月の支払いは発生するものの、月によって料金が異なる費用のことです。
たとえば、これらの費用が該当します。
- 食費
- 水道光熱費
- 消耗品費
費用をどう抑えるかも、貯金の可否に大きな影響を与えます。
たとえば、電気代やガス代の場合は「契約プランの見直しや契約する会社を変える」。
食費や消耗品費であれば「複数の店舗を比較して安い場所で買う」、「無駄なものを買わない」ことを意識すると、節約につながります。
フリーランスは節税をすると貯金額を増やせる
節税も貯金額を増やすカギです。
節税を知ってるか知らないかで、税金が数十万円変わることも…。
どうせなら、税金額を抑えて貯金額を増やしたいですよね?
そこで最後に、フリーランスにとっておきの節税術を5つ紹介します。
青色申告特別控除の利用
青色申告対象者に認められている制度で、所得から最大で65万円の控除が認められているのが特徴です。
青色申告特別控除の有無で、どのような違いがあるのか、健康保険料を例に見てみましょう。
例.所得が200万円だった場合
・青色申告を利用していない人の場合
→課税額は200万円に対して
・青色申告特別控除の利用で65万円控除した人の場合
→課税額は135万円に対して(200万円-65万円)
健康保険料は、課税額が高くなるにつれて上がります。
すなわち、青色申告特別控除を利用すれば税金が安くなるのです。
ただし、青色申告特別控除は全員利用できるわけではありません。
利用できる条件は、こちらの記事に載ってますので参考にしてみてください。
関連記事>>フリーランスの青色申告の仕方を解説!概要・メリットとは?
小規模企業共済等掛金控除の利用
小規模企業共済等掛金とは、個人事業主(フリーランス)の退職金代わりに、積み立てる掛け金のことです。
事業の廃業時などに今まで積み立てた掛け金(共済金)を受け取れます。
特徴は、掛け金を全額控除できることです。
仮に1年間で50万円積み立てた人の場合、50万円が丸々所得控除扱いになります。
すなわち、掛け金が多くなるほど節税効果は高くなるのです。
せっかくなので、小規模企業共済等掛金の特徴も見てみましょう。
積立金額を自由に選べる
小規模企業共済等掛金は、毎月の掛金は1,000円~7万円です。
1,000円以降は、500円単位で掛金を決められます。
掛金を変更する時は、掛金月額変更申込書を提出するだけで大丈夫です。
自身の経済状況に合わせて、積み立てられるのはメリットといえます。
共済金を受け取る時は一括or分割で選べる
共済金を受け取る時は、一括or分割を選べます。
多額の共済金を受け取りたい人は一括、少しずつ受け取りたい人は分割を選択します。
なお共済金は、受取り方によって「退職所得」or「雑所得」かに分かれるため、税金のことを考えて受け取り方を選ぶべきです。
どちらを選ぶかで、税額が大幅に変わることもあるため、ご注意ください。
貸付制度がある
加入者向けに貸付制度があるのも特徴です。
貸付可能額は、今までの掛金によって異なります。
一般貸付の他に、緊急経営安定貸付、廃業準備貸付など、いろいろな制度が用意されているため、資金面で困った際は活用すると便利です。
しかも、金融機関と比べて低金利で融資を受けられる場合もあるので、利息を抑えたい人もおすすめです。
生命保険料控除の利用
民間会社に生命保険料を支払っている場合は、支払額の一部が所得控除扱いになります。
上限額は「医療保険・介護保険・個人年金」の3つを合わせて、最大12万円です。
各保険の上限額は最大4万円ですので、それに合わせて保険を選ぶと、効果的な節税が期待できます。
所得控除額のことを考えて保険を選びたい時は、保険会社もしくはファイナンシャルプランナーに相談しましょう。
月々の支払額が同じ保険でも、保険の種類によって所得控除に入れられる金額が違うからです。
そのため、契約前に確認することをお忘れなく。
経費を増やす
経費を増やすのも節税に効果的です。
経費の額が増えれば、所得額が減って税金が安くなるからです。
プライベートの費用を経費として計上するのは違法ですが、事業に関する費用をたくさん使って、経費として計上するのは合法です。
取材をたくさん入れて交通費を計上したり、仕事で必要な消耗品を買ったりなど、経費を増やす方法はたくさんあります。
なお経費を増やす時に大事なのが、年間利益額の推測です。
とくに、赤字が確定している時は、経費を増やさない方が良いでしょう。
赤字である以上、赤字額がいくらであっても所得税・住民税の額は同じだからです。
つまり、経費を増やしても所得税・住民税額は安くなりません。
逆に黒字の年であれば、経費を増やすと所得税や住民税の額が安くなるため、節税の効果は大きいです。
そのため、利益が黒字になりそうな年のみ、経費を増やすべきといえます。
ふるさと納税の利用
ふるさと納税とは、自治体に寄付すると特産品が贈られる制度のことです(特産品を送ってこない自治体もあり)。
寄付する自治体は、自分で選べます。
なお、ふるさと納税を申請する時の流れは、こちらです。
- 寄付したい自治体・返礼品を決める
- 自治体に寄付をする(クレカ払いを利用できる自治体もあります)
- 寄付した後に、自治体から返礼品と寄附金受領証明書が送付される
- 「寄附した金額-2000円」の金額が、寄付金控除として課税対象額より引かれる
ふるさと納税で寄付した金額の2000円を超えた分は、全額所得控除扱いになります。
これが、2000円で返礼品が手に入ると言われる理由です。
ただし、ふるさと納税で控除できる上限額は決まっています。
フリーランスの収入や扶養人数によって異なるため、上限額を調べてから利用しましょう。
こちらにも、節税に関する情報が載ってますので、参考にしてみてください。
関連記事>>フリーランスに必要なお金の知識を解説|資金不足を防ぐコツも紹介!
まとめ
フリーランス向けに、貯金の仕方を中心に紹介しました。
まとめると、こちらになります。
①仕事が0になる恐れがある
②報酬が振り込まれない場合がある
③会社員と比べて税金の支払割合が大きい
④退職金がない
⑤会社員と比べて年金受給額が低い
①目標貯金額を決める
②貯金額を控除した金額が収入だと考えて生活を送る
③貯金専用口座を作る
④貯金額を定期的に確認する
⑤無駄遣いしている箇所を節約する
フリーランスは会社員と違って、毎月決まった収入があるとは限りません。
フリーランスの中には、事業資金が回らなくなって困る人もいます。
意識的に貯金ができない場合は、報酬の一部が自動的に貯金専用口座へ送金されるサービスを使うと良いです。
自動で送金されるため、自分の意志とは関係なく勝手に貯まります。
ぜひ、ご自身の性格も考えながら、貯金をしてみてください。