未経験からITエンジニアに挑戦することは、決して容易ではありません。基礎を学ぶだけでも多くの時間と努力を要し、さらに実務として成果を出すまでには数々の壁を乗り越える必要がございます。
今回は、接客業からキャリアチェンジし、現在はフリーランスエンジニアとしてプロジェクトマネージャーを務める林修斗さんにお話を伺いました。挫折や苦労のリアル、そして乗り越え方から学んでまいります。
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この度インタビューに応じていただいた林修斗さんは現在32歳。エンジニアとしてのキャリアは約3年でいらっしゃいますが、もともとは接客・サービス業に従事されておりました。新卒時にはレザー製品を扱うベンチャー企業に入社し、年商1億円規模の店舗を任されるなど、店長として売上管理やVMDを担われた経験をお持ちです。
「さらなる成長の場に挑戦したい」と決意され、ITエンジニアの道へ進まれることを決心しました。
注目すべきは、その後のキャリアです。未経験からエンジニアとして歩み始め、わずか3年でバックエンドエンジニアから大手企業のPMOポジションを任されるまでに成長されています。通常であれば長い時間を要する道のりを、林さんはスピード感をもって切り拓かれました。本記事では、その驚くべきキャリアチェンジの裏側に迫ります。
未経験エンジニアがフリーランスになり、3年でPMOになれた方法

ーー未経験からエンジニアを志し、わずか3年でPMOに就任されるのは驚異的なキャリアだと思います。どのようにその機会をつかまれたのでしょうか?
林さん:正直に申し上げると「運の要素も大きかった」と思っています。私が最初に参画した案件では、バックエンドエンジニアとして参画したのですが、その現場で当初PMを務めていた方が、クライアントとの意思疎通に苦労されていたんです。プロジェクトの進行に遅れが生じ、関係者の間で調整が難しくなっていた状況でした。
ーーなるほど。そこから林さんに声がかかったのですね。
林さん:はい。私は途中からプロジェクトに参加したのですが、クライアントから「他の方に変わってほしい」とリクエストがありました。そのタイミングで、元請けの方から「プロマネ的な役割を担ってほしい」と打診を受けました。正直、自分にできるかどうかは分かりませんでしたが、迷わず「やります」と答えたことが転機でした。
ーーとはいえ、まだエンジニア3年目で経験も浅い林さんに、なぜPMOという大役の声がかかったのでしょうか?
林さん:私自身、技術力ではベテランの方々に到底及ばないと自覚していました。ですので、普段から「相手の立場を考えた伝え方」を強く意識していたんです。たとえば、クライアントへの報告では専門用語をできるだけ噛み砕いて説明する、社内のやり取りでも一度で意図が伝わるように工夫するなど、小さなことの積み重ねを大事にしてきました。
そうした姿勢を見ていただけたのか、気づけば「林さんならクライアント対応を任せても大丈夫」と信頼を得られるようになっていました。最終的には、そういったコミュニケーションを評価していただけたのだと思います。
ーーいわゆるコミュニケーション能力ですね。多くの方が未経験からエンジニアを目指すとき、プログラミングスキルの習得に注力されると思いますが、林さんご自身の経験から見て、本当に差がつくポイントはどこにあると感じますか?
林さん:もちろん技術スキルは重要です。言語を扱えるようになることや基礎的な知識を身につけることは、エンジニアとしてのスタートラインに立つために欠かせません。ただ、未経験からエンジニアになる場合、正直それだけでは周りとの差別化が難しいと感じました。
未経験であるからこそ、「別の武器」が必要です。私の場合は、接客業時代に培ったコミュニケーションやユーザー視点が、それに当たったのだと思います。
ポイント
・評価されたのは、専門用語を噛み砕き、一度で伝わる工夫をする“相手目線の伝え方”
・チャンスをくれるのは”人”。目の前の業務をいかに自分らしくこなすかが大事
・未経験だからこそ、他業種で培ったコミュニケーション力やユーザー視点を武器にできた
エンジニアにとってのコミュニケーション能力の重要性
そもそも現代の開発現場においては、技術力だけで成果を出すことは難しくなっています。特に大規模化・複雑化したシステム開発では、「いかに誤解なく伝えるか」が、プロジェクトの成否を左右するといっても過言ではありません。
実際に、BCG(ボストンコンサルティンググループ)が2024年に実施したグローバル調査では、ソフトウェアプロジェクトが失敗する主要因として、「技術とビジネス側で目的認識がずれていること」が挙げられています。そのほかにも、非現実的なスケジュール設定やリソース不足といった要素があり、いずれも「関係者間の合意形成や情報共有の不足」に起因するものだと分析されています【BCG】。
さらに、学術研究でも「ソフトウェア開発プロジェクトにおける失敗要因の多くは、コミュニケーション不足にある」と指摘されています。日々の進捗共有や相互理解の不足が、炎上や手戻りを引き起こす大きな要因となっているのです【PMC論文】。
つまり、技術力の不足よりも“伝え方の不十分さ”こそが炎上や失敗の原因になりやすいのが現代の開発現場の実情です。
一方で、現場では「技術職=技術力がすべて」という先入観が根強く、エンジニア自身がコミュニケーション力の重要性を過小評価してしまう傾向もあります。実際には、エラー報告をする際に「どの操作をして、何を調べ、どこまで試したのか」を整理して伝えるだけで、相手の評価は大きく変わります。また、チャットやメールでラリーが何度も続くようなやり取りを避け、最初から必要情報をまとめて提示できるエンジニアは、クライアントからもチームからも高く信頼されます。
このように、コミュニケーションは技術力を補完するどころか、それ以上に評価を左右する力になりつつあります。特に未経験からキャリアを築こうとする方にとっては、専門知識だけで差別化するのが難しい分、相手目線で伝える力を武器にすることが大きな成長の鍵になります。
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