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なぜ成長企業に「組織の壁」がやってくるのか?

創業期や少人数のチームでは、組織は「空気感の共有」だけでも動くことができます。経営者の目が全員に届き、採用の基準も評価の軸も、明文化されていなくても何となく共有されている。それは、少人数だからこそ実現できる強さでもあります。
一方で、組織が成長するにつれて、その強みを次のステージでも再現できる「仕組み化」が求められるようになります。
少人数の組織は全員が直接つながれる「網目状」の関係ですが、人数が増えると必然的に「階層」や「グループ」が生まれ、情報は媒介を経て伝わるようになります。
組織が大きくなるほど、この『「感覚共有」から「言語共有」への進化』が必要となり、それまで機能していたコミュニケーションの前提や暗黙のルールが、だんだんと通用しなくなっていくのが「組織の壁」の原因といえます。
4つの「組織の壁」の原因と、その乗り越え方は?
10人の壁|“創業チーム”から“組織”へ変わり始める

10人前後で起きるのは、「これまでの強みを、どう次のフェーズへ広げていくか」という変化です。
創業メンバーだけで走ってきた時期は、全員がミッションを体感として理解し、阿吽の呼吸で動けていました。採用もこのステージでは「知人の紹介」や「創業者の直感」で行われていることがほとんどです。
それ自体は悪いことではありませんが、人数が増えるにつれ、採用基準が「創業者との距離感」に依存している状態が浮き彫りになってきます。そのため、10人フェーズの段階で「うちに合う人とはどんな人か?」を言葉にする必要が出てきます。
次の成長フェーズへ進むために、整え始めたいこと
創業期から関わってきた人たちは暗黙知を持っており、後から入ったメンバーとの情報格差が広がっていきます。
また、全員が何でもやる状態から役割分担が必要な状態への移行が遅れると、特定の人への業務集中が始まります。「この人がいるから回る」という、良い意味での属人化の強みがある一方で、再現性ある仕組みづくりも求められるようになるでしょう。
しかし、創業期の成功体験が強ければ強いほど変化への抵抗感も生まれやすく、「今まで通りでいい」という判断が無意識に続いてしまいます。
10人フェーズで始めたい、組織づくりの土台
このステージでやるべきことは、「言語化」の一点に尽きます。
まず取り組むべきは、MVVの明文化です。創業者の頭の中にあるミッションや大切にしている価値観を、チームで共有できる言葉に落とし込む。
次に、役割と責任範囲の簡易的な定義を行います。「誰が何に責任を持つか」を明示することで、意思決定のスピードが上がり、メンバーが安心して動ける環境が生まれます。
精緻な組織図や職務記述書を作る必要はありませんが、「この判断は誰がする」「この業務は誰が責任を持つ」という最低限の合意をとりましょう。
採用プロセスも、このタイミングで最低限の言語化を始めてください。「どんな人と一緒に働きたいか」をチームで話し合い、カルチャーフィットの定義を3〜5項目で言葉にしておく。
リファラル採用が続くこの時期だからこそ、基準を言語化しておくことで、30人の壁で起きがちな「採用の属人化」を未然に防ぐことができます。
30人の壁|カルチャーを“仕組み”でつなぐフェーズへ

30人前後では、自然に伝わっていたカルチャーを、意識的に共有するフェーズへ入ります。
創業メンバーの間では自然に共有されていた価値観や仕事の進め方が、新しく入ってきたメンバーには届かなくなる。
採用の場面では、面接官によって見るポイントがバラバラになり始め、「なんとなく合わなかった」という面接官ごとの価値観や視点の違いが見え始めます。
次の成長フェーズへ進むために、整え始めたいこと
採用基準の属人化が続くと、入社後のミスマッチが増え始めます。オンボーディングが特定の先輩社員に依存したままであれば、その人が繁忙期を迎えたり、新規メンバーが多くなったりした途端に機能しなくなります。
そのため、組織文化を“偶然伝わるもの”から“設計して伝えるもの”へ変えていく必要が出てきます。
30人フェーズで始めたい、組織づくりの土台
このステージで求められるのは、言語化した内容を採用・オンボーディングの「仕組み」に落とし込み、誰が担当しても同じ基準・同じ体験が再現できる状態を作ることです。
採用では、MVVを面接の評価基準として実装することから始めます。例えば「挑戦を楽しめる人」というValueがあるなら、行動面接の質問に変換するだけでなく、その回答をどう評価するかの基準を面接官全員で共有しましょう。
オンボーディングは、入社後のマイルストーンを設定し、誰が担当しても同じ体験が提供できるプロセスをドキュメント化します。スキルや業務習得の手順だけでなく、MVVの背景と意図を伝えるセッションを組み込むことで、カルチャーの継承が特定の人の熱量に依存しなくなります。
加えて、このステージから「採用基準と評価軸の整合」を確認しておくことも重要です。採用時に重視した行動特性が、入社後の評価でも同じ言葉で問われているか。ここがズレると「採用時に期待されたことと、実際に評価されることが違う」という混乱が現場で生まれます。
採用・オンボーディング・評価を一本の線でつなぐ意識を、このステージから持っておくことが大切なポイントになります。
50人の壁|マネージャー育成が、組織成長の鍵になる

50人前後で浮き彫りになり始めるのが、マネージャーの「役割の空洞化」です。
プレイヤーとして優秀だった人がマネージャーに就いた途端、プレイヤー時代とは異なるマネジメントスキルが求められるようになります。
しかし「マネージャーとして何を期待されているか」が定義されていないことには、各々のマネージャーが自分なりのマネジメントをしはじめ、メンバーの混乱や組織としての一体感の喪失が生じるきっかけとなります。
次の成長フェーズへ進むために、整え始めたいこと
50人規模になると、マネジメント教育を受けていないマネージャーでは、全メンバーの強み・課題・キャリア志向を把握しきれなくなっていき、メンバーは「何を期待されているのか」「どこまでできれば次に進めるのか」が曖昧なまま業務を進める状態が生まれやすくなります。
「人が増えたことで、育成やマネジメントの難易度が一気に上がった」という現場の実感が出始めるフェーズと言えるでしょう。ここで、評価制度やマネージャー育成を制度として整え始められるかが、100人の壁を越えられる組織との大きな差になります。
50人フェーズで始めたい、組織づくりの土台
最初にやるべきは、マネージャーの「要件定義」です。「何ができる人をマネージャーと呼ぶのか」を明文化し、選抜基準と育成の方向性を定めましょう。
- マネージャーに期待する役割(プレイングか専任か、など)を経営陣と合意する
- 役割に紐づくコンピテンシーを5〜7項目で定義する(例:目標設定・フィードバック・1on1の実施・部下のキャリア支援)
- 現マネージャー全員に開示し、育成計画に落とし込む
評価制度は「完璧なものを一気に作る」必要はなく、シンプルでも運用できるものを優先し、現場に定着させてから精度を上げていく順番がうまくいきます。
育成を「やれたらやる」から「やらなければ評価に響く」に変えていきましょう。
関連記事『プレイングマネージャーの限界|部下が育たない組織にある3つの課題と、その現実的な解決策とは?』
100人の壁|制度と現場を再接続するフェーズへ

100人を超えると、部署ごとの独自性が強まり始めます。他部署が何をやっているのかわからず、連携が必要な場面でのコミュニケーションコストが上がっていく。
採用基準も、このタイミングで部門ごとの独自解釈が進みがちです。
次の成長フェーズへ進むために、整え始めたいこと
100人規模の組織になると、これまで機能していた評価・等級制度と、現場の実態に少しずつズレが生まれ始めます。それは制度が悪いというよりも、事業や組織が次のフェーズへ進み、多様な役割やキャリアが生まれてきた証でもあります。
実際、このタイミングでは事業部ごとに求められる人材像やマネジメントスタイルが変化し、「自部門に合ったやり方」を模索する動きが自然と増えていきます。だからこそ、各部門最適だけではなく、「組織全体としてどう成長していくか」という視点が重要になってきます。
また、このフェーズでは制度を部分的に調整し続けるよりも、採用・評価・育成を一つの設計として見直すタイミングに入っていきます。
等級制度、採用基準、育成方針をそれぞれ個別に考えるのではなく、「どんな人材が活躍し、どう成長していく組織を目指すのか」を軸に再接続していくことが、次の成長フェーズへの突破口になります。
100人フェーズで始めたい、組織づくりの土台
このステージでは、「制度を増やすこと」よりも、「組織全体の設計思想を揃えること」が重要になります。
採用・評価・育成を一本の線でつながったものとして見直し、「自社はどんな組織を目指すのか」「どんな人材が活躍するのか」を、経営と人事が共通言語として持つことが、組織進化の土台になります。
また、デジタルやAIツールの活用も、“効率化のため”だけではなく、「どんな組織課題を解決したいのか」という視点から考えることで、より効果的に機能し始めます。
そしてこのフェーズは、人事の役割そのものが大きく変わるタイミングでもあります。採用や制度運用の実務だけではなく、経営と並走しながら組織全体を設計していく役割が求められるようになります。
HRBPや組織開発の専任人材、あるいは外部の専門人材の活用を含め、「今の組織に、次の成長を支える視点をどう取り入れるか」を考え始めることが、100人フェーズを乗り越える大きな鍵になります。
まとめ|組織の壁と向き合い、次の成長機会に変える3つの視点

1. 自社は今どのステージにいるか
組織課題は、会社の成長フェーズによって大きく変わります。今起きている変化が、「次のステージへ進むための自然な変化」なのかを正しく捉えることが、人事設計の第一歩です。
採用・評価・育成・カルチャー浸透のどこに変化の兆しがあるのか。現場の声を丁寧に拾いながら、今の組織フェーズを見極めていく視点が重要になります。
2. 制度より先に「言語化」から始める
採用基準・評価の考え方・マネージャーへの期待などは、制度化する前に「言葉」として共有されていることが重要です。
MVVも採用要件も、言語化されて初めて組織の共通言語になります。「自社は何を大切にしているのか」を言葉にすることが、すべての組織設計の土台になります。
3. 採用・評価・育成を縦につなぐ
採用だけ、評価だけ、育成だけを個別に最適化しても、組織全体としては噛み合わなくなることがあります。
理念浸透やチーム評価の視点も含め、採用・評価・育成を一つの流れとして設計することで、組織の一貫性や現場の納得感は大きく高まっていきます。
制度設計・採用基準の言語化・マネージャー支援といった課題は、社内リソースだけで抱え込まず、その領域に精通した専門人材を必要なタイミングで活用することが、壁を乗り越える現実的な打ち手のひとつになります。
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貴社の成長ステージに合った人事のプロフェッショナルを、必要な期間・範囲でご活用いただけます。









