人事のキャリアにお悩みならHRBIZ
「人事職はやめとけ」が生まれる3つの潜在的要因とは?

①成果が見えにくく、評価されにくい
採用がうまくいっても「現場が育てた」と言われ、評価制度を整備しても「当たり前」と受け取られる。人事の仕事は、成果が数年後にじわじわと出るものが多く、成果が人や組織の変化として現れる職種です。
そのため、自分の貢献が見えづらく、周囲から正当に評価されていないと感じる場面も少なくありません。こうした「頑張っているのに報われない」という感覚が、「人事職はやめとけ」と言われる一因になっています。
②板挟みになりやすく、精神的な負荷が高い
経営からは「コストを抑えて採用してほしい」、現場からは「もっと良い人材を」と求められる。退職者の最終面談で本音を受け止め、ハラスメント調査では双方の言い分を中立的に聴取する。こうした場面は人事の日常にあります。
人事は、経営と現場、会社と従業員の間に立つ役割を担うため、どちらか一方の立場だけを優先することができません。その結果、感情的な対立や難しい意思決定の場面に関わる機会も多く、精神的な負荷が高い仕事だと感じる人も少なくありません。
こうした「常に調整役を求められる環境」が、人事職に対して「やめとけ」と言われる理由の一つになっています。ただし、人事に求められるのは問題を一人で解決することではなく、公平な立場で事実を整理し、適切な意思決定を支援することです。自分の役割と責任範囲を明確に意識することで、過度な負担を抱え込みにくくなります。
③専門性が分散しやすく、強みが見えにくい
採用・評価・育成・労務・組織開発などとカバー領域が広い人事は、「何でもそれなりにできる」状態になりやすい。前述した調査結果でも、キャリアを描けない理由の上位に「ロールモデルが見つからない(31.1%)」「自分のスキルがどの程度通用するか分からない(26.9%)」が挙げられています。

しかしこれはキャリアの設計次第で十分に乗り越えられます。「自分の軸となる専門領域を一つ意識して決める」ことが、長く活躍するための土台になります。後述するキャリア設計の3方向性も参考にしてください。
*出展:株式会社テックビズ『人事の6割は"望まない配属"だった。それでも7割以上がやりがいを実感。「人事」という専門職の知られざるキャリア実態』
人事職でやりがいを感じるためにすべきことは?
約6割が希望外配属で人事になったにもかかわらず、7割以上がやりがいを感じている。そのやりがいの上位は「人や組織の成長に関われる(55.7%)」、「経営に近い立場で組織全体に影響を与えられる(39.6%)」、「幅広い業務経験・スキルが身につく(34.6%)」でした。

人事職として充実感を持ちながら長く活躍していくためには、どのような考え方や行動が必要なのでしょうか。ここでは、人事歴25年の筆者が考える「人事職でやりがいを感じるために大切なこと」をご紹介します。
①採用を「入社がゴール」にしない
採用した人の「その後」に関心を持ち続けていますか?人事のやりがいのひとつは、採用した人が現場で活躍し、「この会社に入ってよかった」と感じながら働いている姿を知ることです。
そのためには、入社後も現場の声に耳を傾け、「思っていた環境と違う」というギャップが生まれていないかを確認し続けることが欠かせません。
実践として有効なのは、入社3ヶ月・6ヶ月時点での簡単なフォローヒアリングを採用担当者自身が持つ仕組みです。「採った人が活躍しているか」を自分で確認することが、採用精度の改善にも、自身のやりがいにもつながります。
②評価・育成を「制度整備」で終わらせない
制度を導入して満足している組織は、数年後に形骸化の問題に直面することが多くあります。1on1制度はあるのに面談が形式的、eラーニングを導入したが活用されてない、など。これは人事が「作った」ことに満足して「使いこなす文化を育てる」プロセスを省くことで起こります。
管理職への評価者研修を年1回のイベントから四半期サイクルに変える、1on1の導入支援を人事が主導する、などの「運用を育てる」アプローチが、人事の本質的な価値を発揮する場面です。
経営に近い立場でやりがいを感じている人事ほど、制度設計より「制度を活かす文化の定着」に時間を使っています。
③AIと人間の役割のすみ分けを考える
JD作成・面接質問設計・研修コンテンツのたたき台・労務書類の下書きなど、生成AIで効率化できる作業は増えています。しかし、採用における人物判断・組織の文脈を踏まえた施策設計・当事者への共感を要する面談等はAIが代替できない領域です。
本調査において、慶應義塾大学大学院の岩本隆氏も、「AIの進化により人事の仕事が経営に直接的な影響を与える戦略的な仕事にシフトしており、それがやりがいを高める要因になっている」とコメントしています。
AIで空いた時間を経営との対話・現場マネージャーとの関係構築・組織課題の発見に使えるかどうかが、これからの人事担当者の価値を分ける分岐点ではないでしょうか。
人事キャリアを設計する3つの方向性と実践のポイントは?
調査では、過半数(60.0%)が「今後も人事領域でキャリアを築きたい」と回答しています。一方で、3人に1人(33.4%)は「将来像を具体的に描けていない」という実態もあります。

この「やりがいはあるが将来が見えない」というギャップを埋めるために、キャリアの方向性を3つご紹介します。
①専門特化型|一領域を深掘りして「専門家」として立つ
採用・労務・組織開発・HRテックなど、一領域に特化してプロフェッショナルとしての地位を確立する方向性です。「広く浅く」から抜け出したいなら、早めに領域を決めることが鍵。HR顧問・採用コンサルタント・社労士など、社外での活躍にもつながります。
②管理職・HRBP型|経営と現場をつなぐ戦略人事へ
HRビジネスパートナー(HRBP)や人事部長として、組織全体に影響を与える役割を担う方向性です。採用・育成・評価を横断的に経験した上で「組織をどうデザインするか」という視点を持てる人が向いています。経営判断に近い場所でやりがいを感じたい方に適した路線です。
③独立・副業型|複数組織に関わりながら価値を発揮する
調査でもフリーランスという働き方を「キャリアアップ」と認識する人が55.2%に上る一方、実際に踏み出した人は5.5%に留まりました。
踏み出せない主な理由は「価格交渉や契約手続きへの不安(47.9%)」、「案件を継続獲得できるか不安(47.9%)」「自分のスキルが通用するか分からない(37.0%)」といった、スキルの市場価値や継続的な仕事獲得への不透明感です。
しかし企業側では、人事部門の約8割が人手不足を感じており、特に人材開発・組織開発と採用領域での専門人材ニーズは高いことがうかがえます。

実際に近年は、採用代行(RPO)や採用広報、人事制度設計、組織開発、人材育成などの領域で、業務委託や副業人材を活用する企業が増えています。専門性や実績を積み重ねることで、複数の企業を支援しながら働くという選択肢も現実的なキャリアパスになりつつあります。
自分に合う方向性を選ぶ起点は「どの仕事をしているときにワクワクするか?」。「採用面談が好き」「制度設計が好き」「現場の管理職と話すのが好き」 その感覚を手がかりにしてください。
まとめ|明日から実行できる、人事キャリアの作り方
人事という仕事は、人と組織の両方を深く知ることができる、数少ない職種のひとつです。採用・育成・評価・組織開発を横断的に経験した人材は、どの時代においても、どの会社組織においても必要とされます。
25年間、人事の現場を見てきた筆者が確信しているのは、「人事としてのキャリア設計の上に積み上げた人事キャリアは、積み上げるほどにキャリア資産が増す」ということです。
最後に、明日から実行できる3つの要点を整理します。
1. 自分の仕事を「数字と言葉」で記録する習慣を始める
採用後の定着率、育成施策後の行動変容、評価運用の改善など、小さな成果でも記録しておきましょう。それがキャリアストーリーになり、市場価値の言語化につながります。
2. 「自分の軸」を一つ決める
人事業務を広く担うことは人事の宿命ですが、「ここは誰よりも詳しい」と言える領域を一つ持つことが、社内でも転職市場でも差別化になります。
3. キャリアの方向性(専門特化/HRBP/独立)を意識して、日々の仕事を選ぶ
方向性を意識しているかどうかで、同じ経験から得られるものの深さが変わります。今日の仕事の積み重ね方が、3年後のキャリアの土台になります。
「今後、人事でどのようなキャリアを築いていくか悩んでいる」「フリーランスという働き方に興味がある」といった方は、一人で悩まずにぜひお気軽にご相談ください。
人事フリーランス市場に精通したコンサルタントが、一人ひとりのキャリア志向やこれまでのご経験に寄り添いながら、今後のキャリアプランを一緒に考えさせていただきます。まずはご自身の市場価値を知る機会として、そして将来の選択肢を広げるための第一歩として、ぜひご活用ください。








