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オフボーディングとは何か?フリーランス独立前に知っておきたいアルムナイという考え方

#学び

【記事概要】

3月は、転職や独立を検討する人が動き出しやすい季節です。年度の変わり目を前に、「このまま会社員を続けていていいのか」「フリーランスとして独立できるのか」と、働き方を見直す声が増えてくる時期でもあります。

そうした動きが活発になる一方で、いま注目を集めているのが「オフボーディング」という考え方です。退職後も企業と退職者がどう関係を続けるか——アルムナイ採用という言葉が広がるなか、辞め方そのものが次のキャリアを左右する時代になっています。今月のBizTREND+では、転職・フリーランスデビューをテーマに、オフボーディングとアルムナイの視点から、独立後のキャリアの作り方を取り上げていきます。

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退職が決まったとき、多くの人が「次のキャリア」に意識を向けます。しかし、辞めた後の働き方を左右するのは、退職してからの動きだけではありません。じつは、辞め方そのものが重要です。いま企業の間では、退職者との関係を戦略的に維持する「オフボーディング」が注目されています。

アルムナイ採用という言葉が広がるなか、企業と退職者の関係は大きく変わりつつあるのです。本記事では、その背景と、フリーランスとして独立を考える方が知っておくべき視点を整理していきます。

オフボーディングとは?アルムナイ採用が広がる時代に注目される理由

オフボーディングとは?アルムナイ採用が広がる時代に注目される理由

オフボーディングとは、社員が退職するときに企業が行う一連のプロセスのことです。書類の手続きや業務の引き継ぎはもちろん、退職者との関係をその後どう続けていくかまでを含む考え方といえるでしょう。

近年、このオフボーディングへの関心が企業の間で急速に高まっています。背景にあるのが、「アルムナイ採用」の広がりです。アルムナイとは、会社を辞めた元社員のこと。そのアルムナイを再び採用したり、業務委託として関わってもらったりする動きが、いま多くの企業で加速しています。

なぜ今なのか。大きな理由は、深刻な人手不足です。転職が当たり前になった時代、優秀な社員が会社を去るケースは珍しくありません。採用コストをかけて育てた人材が辞めていく。その繰り返しに限界を感じた企業が、「一度去った人との縁を切るのはもったいない」という発想に転換し始めているのです。

その変化は、数字にも表れています。矢野経済研究所の調査(2025年1月)によると、アルムナイ採用を支援するサービスの市場規模は、2022年度の18億5,000万円から2024年度には50億7,000万円へと、わずか2年で約2.7倍に拡大。2028年度には300億円規模に達するという予測もあり、企業の本気度がうかがえます。

退職は、関係の終わりではありません。形が変わる、ただそれだけのことかもしれないのです。

企業がオフボーディングにこだわる理由——退職者との縁を資産に変える

企業がオフボーディングにこだわる理由——退職者との縁を資産に変える

「辞めた社員は、もう関係ない」。かつての日本企業には、そんな空気が根強くありました。しかし今、その常識が静かに変わりつつあります。

退職は、関係の終わりではなく、関わり方が変わるタイミングです。そう捉えた企業が取り組み始めているのが、退職者との接点を意図的に残しておくこと。アルムナイコミュニティの整備や定期的な情報発信、交流イベントの開催など、その形はさまざまです。

実際に取材をしてきた中でも、アルムナイの活躍ぶりは印象的でした。退職後に業務委託として関わり続けるケース、一度離れた後に再採用されるケース——いずれも珍しくありません。さらに興味深いのは、「退職前より活躍している」という声を複数の企業から聞いたことです。社外で積んだ経験やスキルが加わることで、以前とは違う視点から仕事に向き合えるようになるのかもしれません。

なかには、アルムナイが新たな事業の創出につながったケースもありました。転職先とのオープンイノベーションの懸け橋になってくれたのです。社内の事情や文化を熟知しながら外部のネットワークも持つアルムナイは、プロジェクトを円滑に進める上で双方にとって貴重な存在になったといいます。

辞め方にこだわる企業が増えているのは、退職をゴールと見ていないからです。去った人との縁を丁寧につなぎ続けることが、採用戦略にとどまらず、事業そのものを動かす力になっている——オフボーディングへの注目は、そういう文脈で生まれています。

フリーランスのオフボーディング——最初のクライアントは、前の会社かもしれない

フリーランスのオフボーディング——最初のクライアントは、前の会社かもしれない

ここまで企業側の話をしてきましたが、じつはこの発想、辞める側にもそのまま当てはまります。

企業がアルムナイとの縁を大切にしようとしているように、退職者側も同じ意識で動けるかどうか。特にフリーランスとして独立を考えているなら、辞め方そのものが、最初の営業活動になり得ます。

フリーランスになって最初に壁にぶつかるのが、クライアント探しです。実績もなく、人脈も一から作り直し——そんな状況になって初めて、前職の人間関係がいかに大切だったかに気づく人は少なくありません。しかし、円満に退職し、関係を丁寧につないでおいた人には、その壁が低くなります。「あの人、今フリーランスでやってるなら頼んでみようか」。そんな一言が生まれやすいのです。

企業側の視点で見ても、まったくの外部の人間に仕事を依頼するより、社内事情を知るアルムナイに業務委託する方がリスクは低い。つまり、フリーランス転向を考えているなら、前の会社は最初のクライアント候補として十分に有力なのです。

そのために退職前にやっておきたいことがあります。まず、フリーランスになることを周囲に伝え、“自分が何をできるか”を具体的に示しておくこと。引き継ぎをドキュメントで丁寧に残し、「また頼みたい」と思われる去り際を演出すること。退職後も定期的に近況を共有し、存在を忘れられないようにすること。どれも特別なことではありませんが、意識してやる人は多くありません。

辞め方は、フリーランスとしてのキャリアの第一歩です。最初のクライアントは、意外と近くにいるかもしれません。

辞めた後のキャリアに、迷ったら

フリーランスへの転向を考えたとき、多くの人が最初にぶつかるのが「自分を、どう売り込めばいいのか」という壁です。前職でどれだけ実績を積んでいても、それを言葉にして伝えるのは、また別の話。そのギャップを埋める一つの手段が、キャリア相談です。

テックビズでは、フリーランスを目指す方のキャリア相談を受け付けています。これまでの経験の棚卸しから、強みの言語化、これからの働き方の設計まで、幅広くサポートを受けられる場があります。「自分は何者か」が整理されると、案件獲得への道筋も見えやすくなるはずです。

また、即戦力のフリーランスと協力関係を築きたい企業・チームの方にも、テックビズはヒントを提供しています。自分の強みを言語化できる人材は、プロジェクト型の仕事やリモート環境においても、円滑なコミュニケーションを発揮する傾向があります。一度きりのマッチングではなく、長く続く関係づくりの入り口として活用してみてはいかがでしょうか。

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編集後記:辞めた後も、仲間でいられるか。企業に問われる資質

仕事柄、アルムナイ関連のイベントをレポートする機会があります。取材を重ねるうちに感じるのは、アルムナイへの向き合い方が、企業によってここまで違うのかという驚きです。

以前参加したあるイベントでは、アルムナイの家族まで招待していました。子どもたちが楽しめるクイズやプレゼントが用意され、仕事に関するコンテンツでさえ、子どもが飽きないよう工夫が凝らされていました。正直なところ、そこまで手間とコストをかけるのかと驚きました。と同時に、アルムナイを巻き込むことへの本気度も、ひしひしと伝わってきました。

考えてみれば、人の縁はプラスにもマイナスにも大きく作用します。退職者に悪評を広められるリスクがある一方、アルムナイが会社の味方でいてくれれば、それは採用広告では買えない信頼になります。

これまで多くの企業は「いかに長く働いてもらうか」に力を注いできました。しかしこれからは、「辞めた後も仲間でいられるか」という問いに、真剣に向き合う時代になるのかもしれません。退職はゴールではない——それは企業にとっても、働く個人にとっても、同じことが言えそうです。

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鈴木光平

鈴木光平

10年にわたって、フリーライターとして活動。テックビズのライターとしても活動中。主にスタートアップ界隈を中心に起業家や投資家などを取材、記事の執筆などを行ってきました。貴重な話を聞いてきた経験から、少しでも役に立つ情報をお届けします。

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