さっきまで集中していたはずなのに、気づけばスマホを触っている——そんな経験はないでしょうか。仕事の手が止まる理由を「やる気の問題」で片付けてしまいがちですが、実は季節や環境が大きく関わっています。
集中力が切れる原因は一つではありません。夏は暑さで脳の働きが鈍りやすく、普段よりも集中力が続かなくなりがちです。加えて、仕事そのものに意味を感じられているかどうかも、季節を問わず集中力を左右する要因になります。この記事では、仕事の集中力が切れる背景にある原因を整理しながら、フリーランスだからこそ実践できる、集中力を保つための環境づくりについて考えていきます。
仕事への集中力が切れるのはナゼ?夏は原因が特に増える?
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仕事中に集中力が切れてしまう原因は、通知への反応やマルチタスク、会議による作業の分断など、季節を問わず起こるものです。ところが夏になると、ここに「暑さ」という要因が重なってきます。
気温が上がると、脳の働きは鈍くなりやすいと言われています。厚生労働省は、事務所衛生基準規則という省令で、空調のある職場の室温を「18度以上28度以下」に保つよう事業者に求めています。つまり28度は、法律上もひとつの目安とされている数字なのです。
一方、環境省の熱中症予防情報サイトによると、暑さ指数(WBGT)が28を超えると、熱中症で搬送される人が急に増えるというデータがあります。つまり「法律で認められる室温の上限」と「熱中症のリスクが跳ね上がる境目」は、ほぼ同じ数字の上に重なっているというわけです。
夏の室内は、このギリギリのラインで作業を続けていることが少なくありません。
室温が基準の範囲内であっても、体感的には汗ばむ暑さのなかで、時間をかけて集中力を保たなければならないのです。普段ならすぐに終わる単純作業でも、うっかりミスが増えてしまう、という人もいるのではないでしょうか。これでは、いつもより早く集中が切れてしまうのも無理はありません。
夏に仕事がはかどらないと感じたとき、それは気合いや根性の問題ではなく、環境そのものが集中力を奪いやすい季節だから、と捉えた方が理にかなっていそうです。
ちなみに私は集中力が切れた時は、5分ほどベッドで横になるようにしています。眠くても眠くなくても、横になって目をつむり、何も考えないようにすると集中力が回復するからです。
仕事の集中力を左右するのは、意味づけという視点
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集中力が切れる原因は、室温のような環境だけではありません。実は、仕事そのものへの意味づけやモチベーションも、集中力の続きやすさに関わっているというデータがあります。
アメリカの調査会社Gallupは、従業員エンゲージメント(仕事への熱意や関与)と業績の関係を長年調査しています。
それによると、エンゲージメントの高いチームは、低いチームと比べて生産性が14%高く、利益率は23%高いという結果が出ています。そして、エンゲージメントを高める要素の一つとして挙げられているのが「仕事に意味や目的を感じられているかどうか」です。
つまり、仕事に意味を見いだせているかどうかは、そのままパフォーマンスの差として表れてくるというわけです。
このことは、採用にまつわる取材を重ねていても実感します。
インタビューの相手として選ばれるような、いわゆる「スター社員」には、年齢や役職にかかわらず視座が高いという共通点があります。目標やビジョンを尋ねても、目先の売上や営業目標ではなく、「このチームをこうしたい」「この会社をこうしたい」「社会をこうしたい」という答えが返ってくることが少なくありません。
これは個人の資質によるところも大きいでしょう。
ただ、上司や会社が、そうした視座を持ちやすい環境を意図的に作っているケースも見えてきます。たとえば1on1のような場で、目の前の仕事の進捗ではなく、本人が本質的にどうありたいのかを引き出す取り組みです。
意味づけがはっきりしている社員ほど、モチベーションが途切れにくく、結果として集中力も長く続いていくのではないでしょうか。
集中力が続く環境を、フリーランスは自分でつくりやすい?
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これまで見てきたように、集中力が切れる原因には、室温のような作業環境と、仕事への意味づけという2つの側面があります。実は、この両方に手を加えやすいのが、フリーランスという働き方です。
まず作業環境です。
オフィス勤務であれば、室温や照明、周囲の音といった環境は、自分ひとりの都合で変えるのが難しいものです。
一方でフリーランスなら、集中力が落ちてきたと感じたときに、場所や時間帯を自分の判断で調整できます。作業する部屋を変える、涼しい時間帯にまとめて作業するといった対応も、比較的自由に選べるのです。
もうひとつが、仕事への意味づけです。
筆者自身、フリーランスとして案件を選ぶ際、正直なところ興味が湧きにくい仕事は、お断りすることがあります。会社員であれば、上司や会社が1on1などを通じて本人の意味づけを引き出す工夫をしていることは、前章で触れた通りです。
フリーランスの場合は、その意味づけを会社に用意してもらうのではなく、自分自身で仕事を選ぶことによって作り出せる、という違いがあります。
つまり、集中力が切れやすい環境そのものを避けたり、モチベーションの湧く仕事を選び取ったりする裁量が、フリーランスには元々備わっているのです。時間や作業のペースを自分でマネジメントできることは、結果的に仕事のパフォーマンスにも直結していきます。
環境を自分で選ぶことも、フリーランスの立派なスキル
集中力を保てる環境は、待っていても与えられるものではありません。ここまで見てきたように、作業場所や仕事の意味づけを自分の裁量で選び取れることは、フリーランスならではの強みです。とはいえ、それを実際にどう活かしていくかは、案外一人で悩みやすいところでもあります。
どんな案件を受けるべきか、どんな働き方が自分のパフォーマンスを最も引き出すのか。こうした問いに、明確な正解はありません。だからこそ、一人で抱え込まず、誰かに壁打ちしてもらう機会があると助かる場面も多いのではないでしょうか。
TECHBIZは、フリーランスや副業で働く方のキャリア相談に対応しています。案件選びの軸や、自分に合った働き方の整理など、この先の方向性に迷ったときの相談先として活用いただけます。集中できる環境を自分でつくるという発想を、キャリア全体の設計にも広げてみると、新しい選択肢が見えてくるかもしれません。
編集後記:組織を大きくすることだけが正解ではない時代に
以前、ある開発会社の代表に、採用広報のインタビューでお話をうかがう機会がありました。その中で印象に残っているのが、「今の時代は、組織を大きくすることが必ずしも正解ではない」という言葉です。
かつては、組織の規模がそのままリソースの大きさに比例していました。そのため、事業を拡大するには、一定の組織規模が必要とされてきたのだと思います。しかし今は、AIの力によってリソースにレバレッジがきく時代です。いたずらに人を増やすよりも、優秀な人材で少数精鋭をそろえる方が賢明だ、というのがその代表の考え方でした。
一方で、組織が小さくなるほど、一人ひとりの可動範囲や責任は大きくなります。だからこそ、それに見合ったケアが必要になるとも話していました。働きやすい環境をつくることはもちろん、納得感のある評価制度、やりたいことに挑戦できるようなコミュニケーションの機会。こうしたことは、AIが普及する以前から重要だったはずですが、組織が大きかった頃は、実現しづらい面もあったのかもしれません。
実際にその会社では、従業員が仕事に集中できる働きやすい環境をつくるため、どんな環境なら集中力が切れずに働けるか、従業員の要望に極力耳を傾けているそうです。週2日のリモートワークも、そうしたやり取りから実現した仕組みの一つだと聞きました。「言えば聞いてもらえる」という感覚があるからこそ、従業員自身も、集中できる環境を会社に提案しやすくなる。そんな好循環が生まれているようでした。
今はコンパクトな組織だからこそ、一人ひとりへの手厚いケアがしやすくなってきています。組織の大きさよりも、「人を大事にできる会社」であるかどうかが、これからより重視されていくのではないでしょうか。

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